若手医師の過重労働自殺2023/08/28 09:20

亡くなった方がどうのという気はないです。

【神戸・甲南医療センター26歳医師自殺】実兄が告発「『完璧主義だったから弟は自殺した』と言わんばかりでした。葬儀で院長から暴言を重ねられ…」
8/26(土) 14:12配信 文春オンライン

当直で緊急入院させた患者は週明けまでは入院させたものが担当医になるので、結果的に週末休めないシステムだったそうです。
それではチーム医療も何もない。
当直が引き継いでいけばいい話。こんなもんを放置してきたなら病院のシステムがダメ。

まー実際には、当直引継ぎにしたしまうと救外でのやりとりが面倒なので緊急入院だけさせてあとはつぎの当直にまかせてしまうやつが出るとかとかいろいろ問題は起こると思うが、それをコントロールするのが責任部長というものです。
まじめな若手がしんどくなるだけのシステムはあかんでしょ。

病院の運営サイドとしては「おまえら頭ええんやから自分でてきとうに手抜いてくれや、非難は浴びんように考えろよ」ということなんじゃないですかねえ。 

病院長がいったというセリフ(本当かどうかは知らんけど)をみると、「大人なんやからそこまでこっちに面倒見させるなよ」くらい思ってるような気がする。

僻地勤務させたい人達2020/02/07 15:05

僻地に医師が行かないからといって、とにかく行かせるためにあれこれ考えてる人たちがいるが、「いかないこと」に罰則的なものを考えてばかりなんですね。

医師少数区域での勤務経験「全病院の管理者要件に」:達増知事、自民議連で

IDPASSつきのところですみませんが、、、

「自民党の「医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟」(河村建夫会長)」の「6日の総会で」、「達増拓也・岩手県知事は」「医師少数区域での勤務経験を地域医療支援病院に限らず、全ての病院の管理者要件とすることなどを提言した。」

ということらしい。

僻地を抱える知事さんのしんどさはわかるけどねえ、、、、

管理者になんかならなくていいやという医師が増えて、結局有名無実化するんじゃないですか。
そういう手前勝手な条件って、該当者が居なかったら困る方がつけたらダメなもんですが。

そもそも病院管理者の適性と僻地勤務には関係ないんではないか。
早い話、管理者にしたい人が、僻地勤務がなくて管理者にできず、管理者にできそうな人が、どうしようもない人しかいなくても、それでもいいの?

病院会のほうも、

「議連に出席した日本病院会の相澤孝夫会長は」、「医師が中堅になり、専門性を高度に高めようと思って、都会を選ぶことを止めることはできないが、せめてその前までは強制が必要だ」と強調した。」

だそうです。
もっぺん書く。医業は免許さえあればできますんでね、アホらしい制度から逃げてけっきょくちゃんとした医師に育てなかったひとがごろごろ増えたら、困るのは受診者側ですぜ。

むかし僻地に仕方なくでもみんないってたのは、医局のなかで、そのあとましな目にあわせてくれるだろうという、それなりの信頼関係が成立してたからです。

それをぶっつぶした今になって、「僻地に行かなきゃこんなに損なめにあわせてやる」ばかり論議してるんですが、それが本当に有効なのか、自分がその立場になったらどうするか考えてみればいい。
そのうち「医者になっても仕方ねーなー」ということにたぶんなる

診断書をほしがる職場2018/09/15 16:19

水晶体再建してすぐに免許更新にいって2種免許問題なく更新したタク運転手さん、その後会社から、タクシー業務に問題ないという診断書をもらってこいといわれたそうな。

2種がとれたんだからそんなもん要らんだろうに、なにをどう勘違いしてケツをこっちにもってくるのかと、こういうときは思います。
書けるのは、視力がどんだけ、だけで、当院には深度視力計はないから2種についてはコメントできない、というか、医者の診断書がどうであっても、免許試験場で視力が出なければ免許は更新できません

もっと単純に、炎症は大丈夫かとか安静はいらんかとかそういうことなんだろうか。こっちの感覚では白内障の術後の創そのものについては、指切って縫ったようなもんだから、怪我に包帯まいてできる仕事ならできますと言っています

これに限らず、これこれこの業務していいという言質を診断書の形でほしがる職場があるのですが、こっちが診断書に書けるのは病名や所見や検査結果で、業務ができるかはそこからそっちで判断することです。
すくなくとも眼科の分野について、私はそうしています。

病院で、ほとんど視力の出ない青年が、母親に付き添われて通ってきていた。
無水晶体、ぶどう膜炎で眼底はぼろぼろ、眼圧上がるので点眼がいるし、両眼手動弁状態なのですが、前はもうちょっとは見えたらしく、なんかの職場で休職状態であった。
で、職場のほうが、視力はどうなのか仕事はできるのか診断書を書いてもらえといってきたらしい。
見えないなら見えないでできる仕事はあるだろう、と、私は思ったので、上記同様、視力はこれこれ、この視力の許す限りにおいて就労は可能と考える、と書きました。

この青年は、けっきょく、私が診るようになって数年で、ある朝亡くなってたそうです。その数日前にも受診していて、ご母堂から、亡くなった、とハガキをいただいた。

で、あの診断書に、回復の可能性があると書かれていたおかげで、職場を辞めずに休職状態にしてもらった、と書いてあった。
そんなふうには診断書は出さなかったんですよ、嘘は書けません
わかってくれてなかったのか、わざとそう解釈したのかは不明。温情ある会社、というんだろうか、できる範囲の仕事させてやれよとは思ったが、バリアフリーにするほうが面倒だったのかもしれません。

診ていた方がなくなって、葉書でお知らせをいただくことが何度かあった。
そのあとこちらから何を言うこともなくそれで終わりにしていたのです。たかだか目医者ですからね。
内科主治医として、亡くなったら必ずお悔やみに行く開業医先生もおられる。これは、頭が下がります。

大病院部長たちの悩み2018/01/20 14:00

大病院眼科の部長ども(女医含むw)が、女医が増えた、とぼやいていた

もとより医学部の女性進学率はあがっている。
内科専門医の要求水準が高くて専門医取得に時間かかり過ぎそうなので、また最近眼科などマイナーに回帰する流れもあるらしい。

そこそこできるようになった30前後というのは、下っ端として使いたいころあいですが、女性の個人史としては、結婚して子づくりをしておきたい時期でもある。初産年齢35超えると染色体異常が増えるのはふつうに習いますからな。

で、何人も女医がいて、順繰りや同時に妊娠して産休とるということでぼやくのである。
お互い支えあいなのに、子供がどうなのでなど、権利ばかり主張していきなり当然のように休む、という
休まれて、腹を立てながらも、仕方なく穴埋めをするんですと。

そんなもん、休まれても組織が回るようにせんとはじめからしとかんとあかんやろ、というと、いうのは簡単ですけどねえ、とのたまう

いつまで人数いるだけフルに仕事詰め込む気かと、ちょっとあきれた。
いつ一人休んでも、のこりのものがわけあってちょっと頑張るくらいで回るように設計するのが、インフラである病院で専門科を管理するものの仕事ではないの、私はいつもそう思ってやってたよ。

当直なんかがまわってくるにしても、それがしんどくてまわせないならそれは当直できる病院ではないということ。無理せず院長にねじこんだらどうなのか、そうできる立場でしょうに管理部長というのは。
みんな我慢してるというなら、なんでみんなで我慢しないといけない?

勘違いされたら困るが、私自身は、管理部長当時、月2回程度の外科当直は嫌いじゃなかった。勉強にもなるし、よその科に対しても胸が張れるからやってた。そういうことだから、君らもやってくれと、部下たちに言ってた。
ただし、科としてうけるのが無理と思ったらいつでも返上したろう。
実際、それまであった眼科自宅待機はもうなしにして、電話相談のみにしたからね。

遅くまで手術して、だらだらカンファやって、遅帰り競争するような病院。部長本人に勉強にはなるかもしれんが、それ以上に、こんなによく働く組織でどんどん業績だす俺、に酔いたいのかと思う。

女医が増えてみな産休とるというなら、それでも回るように体制かえるええ機会やろ部下を守れるのは部長だけやでといっても渋い顔、であった。

雇われ医者の君らは、末端のトップであってトップの末端ではないのだよ。

手術や外来の人数を調整して、無理のない運営計画を立てて、長持ちする組織をつくることこそが、社会への貢献と思うのですけどねえ。

医師異動時のマタハラ2017/07/26 09:04

大阪の医療センターで、勤務予定きまったあとに妊娠した女医に対して、採用先の女性診療科長がいまどきいろいろおっしゃったらしい。

朝日新聞(朝鮮日報ではない)
採用予定の医師にマタハラ 大阪の医療センター部長
太田成美2017年7月25日01時06分
「センターが小児科の女性部長を厳重注意としていたことがわかった。」「女性医師は昨年末ごろに採用が内定し、今年4月から勤務予定だった。今年2月、妊娠がわかったと、部長にメールで伝えると、部長は「病院に全く貢献なく、産休・育休というのは周りのモチベーションを落とすので、管理者としては困っている」と記し、「マタハラになるかもしれない」としつつ、「非常勤で働くのはどうでしょうか」と送り返したという。」

ここに書かれた以上の状況も知らず、医師における一般論だけで書きます。

こういう話はぜんぜん珍しくなくて、「私は頑張ってきたんだからおまえもぎりぎりまで産休なんかとるな」と後進女医さんを蹴り上げる上司女医さんの話はよく耳にします。とある女医さんからは「女医の敵は女医」というセリフもききました

ただ、勤めていて妊娠したというならともかく、ほぼ半年後の採用がきまってから妊娠がわかって勤務開始でいきなり産休-育休となると、たぶん、医療関係ではむしろこの女性科長に同情的な向きが多いでしょう
感情移入して、中小工場で人手カツカツのばあいこんなことが通っちゃこまるというひとがいてもおかしくはない。しかしそういう工場は面接採用即勤務です。半年先なんて悠長なことは言わない。
そして、半年もあれば人間妊娠くらいします

勝手なきめつけかもしれんが妊娠年齢ですから、若手からせいぜい中堅。そういう時期の医師の異動については、おおくの場合大学医局のひも付きと思います。半年前にきまってるあたり、後期研修おわったか院をでるかのタイミングじゃないかと思わせる。
大阪医療センターは、単一医局ではなかったと思いますが、ほとんどの医師にひもはたぶんついてるでしょう、すくなくとも入ってくるに際しては。

そういう状況で大学から持ってこられた人事ってのは、診療科長にしてみたら、自分で決めたわけじゃない。で、仕事がたくさんあるのにさっさと産休なんてどうしてくれようという気分になるのはわからなくはない
まあ、病院の独自採用ということもあるかもしれんけど、なににしても、大学医局が派遣先として確保するに値する、この手の病院での診療科長の、人事異動に関する発言権なんて、まず、なきに等しいものです。

ここで科長が、自分でできることは以下です。
1) のこった人間で、一人減をカバーするように体制をつくる。
2) 人事きめてる大学医局か病院事務に、もうひとり確保させる。

1)は全体の仕事量をかえないにしてもそれを減らすようするにしてもなかなか大変ですが、だったら、2)をちゃんとやったのかというのが報道ではわからない。

ただ、Eメールのやりとりからみて、どうもそういう文脈ではなく、話をきいてお前がくると困るから、と本人にまず直接やってしまったのではないかと想像します。

大学医局人事の一環の人事異動で、くる予定の女医が産休予定なのは、むしろ診療科長としてはなんとでもいいように利用できる状況と思うのですがねえ。
独自の人事なら院内事務がからんでるだろうからそっち、あえていえば院長レベルまでケツもっていけるし。
医師もう一人もってきてくれ、無理なら楽になれるよう外来減らすなり当直減らすなり院内システムをいじってくれ、受け入れ患者数が減るのはむしろ当然だ、残った医師に負担がふえないように支援システムをつくれと、胸を張って主張できるではないですか。
営利企業のトップだとそういうわけにいかんが、公共インフラの中間管理職ですからねえw

育休取得は就職後一年目以降可能で、それまでの場合は非常勤になると規則になってることも多いとかとか。一般病院もたいがいそのようです。大阪医療センターというと、みなし公務員で相当手篤いでしょうから実際にどうか知りませんけどね。
厚労省も、このように↓ 出してる。

2 以下の要件に該当する場合は育児休業を取得できません、.
(対象外とする労使協定がある場合に限る
雇用された期間が1年未満
②1年以内に雇用関係が終了する
③週の所定労働日数が2日以下

だから、この科長の考えたことは、実は社会のシステム上そんなにずれているわけではない、問題は、それが事前にちゃんと明文化された規則としてあるか、それをどのように説明するか、だけです。

この科長も自分でなんとかしようとせず規則にのっとるか、規則がないんだったら、上に書いたように、実際に人事決めてきた大学か病院事務や上層部に増員対策を放り出して、何ともならなきゃ業務量減らせばよかったのに、と、いちおう診療科長(いわゆる責任部長)をやったことのあるものとしては、思います。
なんせ雇われ管理職、筋を通して開き直ればけっこうコワイものがないのですよ。

中間管理職が上とか体制とかを忖度して頼まれてもないのに下を踏むなんてよくある、状況も知らずに書いてますが。
そういう忖度を、「責任感」と呼んで賞揚してきた文化ですから、この診療科長のやったことはどこにでもあるし、私もあなたもどっかでやってる

ところでこの話は、とうの女性診療科長にも病院長にもありがたくない形で終わってしまった。

「センターは、部長のメールの内容は、男女雇用機会均等法で防がなければならないと定める妊娠、出産などを理由に不利益な扱いを示唆する言動で、いわゆるマタハラだったと認定。部長を厳重注意、監督責任のある病院長を所属長注意とした。女性医師はセンターで勤務しなかったという。」

いらんこというから悪い」という扱いですかね、これは。
別の医師が定員充当したのか、けっきょく欠員のままいくのか、診療科長の扱いが今後どうなってしまうのか、もうわかることはないでしょうが、なににしても、自分に決定権のないことは、その場でなんとかしようとせず、さっさとどっかにもっていくのが安全という組織人の知恵を周囲の人たちは再認識したことでしょう。
なんとかしたら大栄転が待つような内容でもないんで。

みんなで昼寝(笑2016/06/15 18:10

病院にはたいがい医者の居場所がかためてつくってあって、医局と呼ばれる。
医局には、多くの場合、ラウンジとかいうちょっとゆっくりできる所がある。ソファがおいてあったりするわけです。

以前にいた病院では、特に昼前後だがそのほかの時間でも、出番じゃない医師が、いくつもあるソファにみなひっくり返ってごろごろ寝ていた。
死体置き場みたいやなと思った。私もそのうち死体のほうに回ったわけですが。

そういう場所もない病院もあって、せまい自分の空間で、デスクワーク用の背もたれ椅子にのけぞって寝るとかしていた。

文化勲章をもらわれたかっての恩師は、大学で教授して研究室動かしてられるとき、論文などを手入れする合間によく教授室のソファでねころがってられた。たまに、コミック雑誌もよんでられた。世界でも一線の論文です。集中すれば半端じゃなく疲れるでしょう。
夕方、教授室からでてこられた教授がそこにいた院生に「ああやってハイバラ君も一人前になるんやなあ」とかいわれて、院生は、そんな名前のひとが研究室にいたやろかと不思議がっていた。当時週刊モーニング連載中の、「ナニワ金融道」やでそれは。

ちなみにそういうコミック雑誌ですが、もちろんご自分で買われたのではない。いろいろ煮詰まると熊のようにうろうろ教授室から出てこられて、研究室をうろつかれる。誰かが買った雑誌があるとそのまま持って教授室に戻られるのである。そのうちそれを覚えたみんなが、研究室に入ってすぐの決まった場所に雑誌を置くようになって、やってきてすぐに持って帰られるようになって、みんな平和に暮らしたという話をきいたw
話がずれました。

ちょっと休みを入れてリフレッシュというのは、ですから、よくわかります。

シエスタを中学で導入したのですと。以下写真含め引用。

2016/6/15 05:30神戸新聞NEXT 午後の集中力向上へ 加古川中で「シエスタ」試行
「兵庫県加古川市の加古川中学校で14日、昼休みに仮眠を取る「加古川シエスタ」が始まった。「シエスタ」はスペインなどで伝統的に行われている「昼寝」。短時間の休憩を取ることで、午後からの授業や部活動への集中力を高めるとともに、電気を消すことで省エネに貢献しようと、同中学校生徒会が企画した。(小林隆宏)」




ううむ、、、
デスクに突っ伏して寝るのはしんどいよ。

昼休みにいままで昼寝したくてもでけんかったんやろうか、みんなそろってやらんと昼寝もでけんのかというのがちょっと不思議です。

午後の授業での就眠率のあまりのよさに、教師が生徒会にそうさせたということですかねえ。
節電て、昼休みの教室はふつうに電灯を消したらあかんのかな。廊下も消したいって?ところどころしか点けないというのはしないのか。

いまどきの中学の現場知らんもので、不思議がるポイントを外してたらごめんなさいまし。

症例の相談2015/02/18 10:33

以下、フェイクとして読んでください。
むかし一緒に働いたもと部下の医師に、勉強会であったところ、いまこういう症例があって難儀している、という話になった、との設定です。

申し訳ないけど、非常に見通しの暗い症例で、なにをやってもほぼ失明状態になりそう。いってみると、PDR の NVG で、きれいに PPV すみ CB なかばまで術中 LPC してるが眼圧がどんどん上がっている、それを、今の上司部長は抗ベバシズマブ抗体いれたきり、それでも下がらないのになにも方針が出ないどうしたらいいだろう、という感じのぼやきです。その地域中核病院では、ことのほか指導が厳しくて、もと部下はすでに専門医であるが方針はすべて今上司がきめるのですと。

全身状態不良、視力はすでに0.1切って視神経も真っ白中心もとんだというなら、ま、急いできついことやっても仕方ないということやろう、この先はまず濾過手術か毛様体破壊やろねえ、でもあの上司さんは、難しい硝子体手術が多くて緑内障まで手が回らず、緑内障症例は緑内障が売りの眼科専門病院におくってたけど全身状態が悪いと無理だし、どうなるだろうね、と、ふつうに返事。たまたまそこにいた、もと部下のいまの同僚も、ふんふんときいていた。

ところがその後日、今上司は、もと部下を、他院に情報を流すな信用できないと叱りつけたんだそうだ。いまの同僚がチクったとw で、急遽、濾過手術することになったらしい。本当に急遽なのかは知りません。

フェイクありですよもっぺん念のため。現実に似たような症例があってもたまたまです。

部長なんてものはその部局の最高決定権者です。おおよそトップというものは、部下に裏でとやかくいわれるのが半分仕事みたいなもんで、ましてや変なことをやったらあっという間に部下の世代に情報は回る。こっちの部長は白内障術後翌日ループが出てばかりだとか、あっちの部長はきつくて術中患者が泣き出したとか、それは本当だかわからないと、聞く方も心得て聞くものだ。
上司が部下に、言うなといって、それで部下が黙るわけないやろう、次は、まわりにチクりそうな人がいないかみまわしてからいうようになるだけです。そもそも異動したらもうコントロールのしようもない。

みんなが見ている、箸をころばしてもすぐに知られる、という自覚が、立場とともにあったほうがいいんじゃないかとと思ったものであった。いや今回の件に関しては、べつに変なことやってると思ったわけではないが、それだけに神経質さがきわだつ。

医師というのは自分のやってることがどうなのか、いつも気にしているものです。だから、いま悩んでいる症例についての相談というのが、世間話のようにふつうに行われる。下のレベルになるほどそうだ。
患者個人の特定ができるわけじゃなし、いろんな話をきいて自分でまた考えて医師は育つのであるから、うまくいかない症例の情報は囲い込まずにむしろ積極的に交換するべきでしょう。
部下が他院の先生に相談したというなら、「へえ、で、どういってたの?」と訊いてもいいくらいだ、私ならそうする。

思うように治癒しないなんて知られたら沽券にかかわると思ってるのかもしれないが、まともな医者がきけば、そういう困難な症例もあるよね、どんな経過になったか教えてほしい、でおわりの話なのだから。

医師の暴言2015/01/29 20:34

こういうことがあったらしい。

「くそ、死ね」搬送女児のブラジル人父に医師が暴言 ユーチューブ投稿動画にはキレた姿も 静岡 2015.1.28 08:33 産経ニュース

いつまでもこの医師に相手させる体制がそもそもいけません。
それ以上の医療が必要でないと医師が判断した場合には、事務がひきつぐべきで、そういうリスク管理ができてない病院ですね。

私は外来では、ここから先は自分がいても無意味と思うときにはさっさと部屋を出て事務や守衛呼ぶことにしています。
ちゃんとリスク管理できない病院からは結局医師がいなくなり、住民がこまることになるでしょう

言葉遣いが悪いことを動画でクローズアップして叩くのはどうなのかねえ。そこまでの経緯があるわけで。それでちりちり謝罪してどうするのか。
撮影の手際といい、本当か知りませんがなかばクレーマーという話もあります。医師は、ここまでアツくなるのは、まじめな人なんだろうと思う。

ちなみに、そういう威嚇的な相手に対応する部門では、警察OBが雇われることも多いようですが、ヤクザかなんかと同様の方法論を取ることがある。まず相手をおとなしくさせるために、医者に向かって「先生もしっかりしてくださいよ」とか言い出したりするのである。
私はそれされたときには、そのまま事務に怒鳴り込みましたね。

もめたら、喧嘩なんかするなさっさと逃げろと部下にはいってきました。それでもなんかあったらすぐ院長にカチコミいれる気分満々でやったのですが、幸いそういう状況はありません。

部長なんてのは、部下をまもってなんぼであって、システムに問題があるのが明らかなら、トラブルは改善のいいチャンスなのですがねえ。
そこで放置して現場にまかせておけば今回のようなことはいくらでもおこるでしょう。院長に問題をあげにくい雰囲気はないか?

穏便な体制維持」が目的でとりあえず頭下げときゃいい、という感覚の持ち主は珍しくない。下げる頭が自分のじゃなきゃ尚更のことだ。
そういう意識の蔓延した組織はつぶれても自業自得です。

セカンドオピニオンとは2014/12/02 00:38

どうも勘違いしてる人がいるようなので。

セカンドオピニオンというものです。

これは、本来、ある医療機関で診察されて診断受けて、それについて、診療データをもらった上で、別の医療機関で、そのデータの評価が正しいか意見を聞く、というものです。その別の医療機関での診療行為は一切なし、ですから保険医療にはなりません。
うちの病院では、要予約、一件30分5Kでやってると思います。これって、医者をその時間占有するコストとしては結構安いというのは知っておいたほうがいい。

この制度の当初、自分で診察しないと意見なんていえない、といってた先生もおられた。
これがふつうの医者の感覚で、気分はわかる。
あくまでも、診察はいらない保険でなくていいという人のためのもんです。
診察を受ける根拠があって診察検査ありなら当然保険医療になります。

ところで、開業知人にこういうことがあった。

かなり黒っぽいHFA静的視野を振り回す30歳くらいの、目つきのちょっとずれた人がきたそうだ。
他院での視野の検査結果についてききたい、それについてききたいだけだからここでは検査は一切してほしくないという。視力検査も、スリットも眼底もです
顔とそのデータだけみて話せということですね。

彼は、これはセカンドオピニオン相当やなと、当然思いますな。で、言ったそうな。

まったく当院での診察検査なしで、初診で、もってきたデータのみについて話するなら、これは保険診療になりません。ちょっと高くなりますがいいですか。
しかもそれは、視野だけ持ってきて病名すらわからないなら、もってきたデータについて、あーでもないこーでもないというだけで、どこまで実際の役に立つかわかりませんよ。
ある程度の検査までするなら、保険でできるし、きっちり話もできると思いますが、と。

やってきた人は、せめて視野見てどの程度というだけでもできないのか、とか、検査結果をどこかで見てもらえと渡されたのできたんだとか、いろいろいわれたんですと。
気持ちはわかるが、ちょっと医者を便利遣いできると勘違いしすぎ
目の愛護デーにやってる無料相談室じゃないんだから。

その上である。他院で取った検査の評価は、検査内容が豊富でまともならそれでもいいだろう。
しかし、視野だけというような、出所不明の非常に限られたデータを持ち歩いて、お安く見立てをしてくれといったって、そもそも本当に本人のデータなのかすらわからない。
そんな危ない話にはまともな医者は乗らないよ。

繰り返します、日本の公的医療保険では、診療なしデータのみ見るという形では初診患者を保険医療対象にはできません

その人は、結局、そのまま帰っていったそうだ。自費の値段も訊かなかったらしい。
本気で、初診料3割負担0.8Kなにがしのみでやろうとしてたのか。話聞くだけなら無料と思ったのかもしれない。
計算すると、初診料に、視力検査、眼圧、スリット、それに無散瞳でちらっと眼底見て、そのうえでもってきたハンフリー眺めるだけなら、3割負担でも3Kかからないのですが。

治療について一二を争うところで保険がどうのといってられないし、幸い日本ではまだある程度その感覚が通じますが、それはほんとに緊急での話です。
今回はあきらかに本人がなにか医療制度について勘違いしてるとしか思えない。

あとでネットで不評ばら撒かれるんかも知れんな、でも、保険医療の筋は通さざるをえないし、実感として、地雷踏むよりましやろなあと、言っておりました。

マスクや手洗いをする意味2014/11/18 13:14

厚生労働省は、他の人への感染を防ぐため、「咳エチケット」をキーワードとした普及啓発活動を行い、マスクの着用や人混みにおいて咳をする際の注意点について呼びかけることとします。


認識としては正しいんだけど、そもそも飛散させるような発病状態の人は表に出るなというのが抜けてますよw

マスクは、感染(うつ)されることに対する予防策としては、ほとんど意味がないという認識が、日本では一般に共有されてないのですね。

たとえば医療者もマスクしてますけど、医療者のマスクは喋る時に唾液等飛ばないよう、にするのが大きい。処置するときに起こす感染の細菌は結構口腔内のものが多いという。
人間の消化管というのは基本的には「外界」であります。

接触型の感染起こすものには、手洗いや医療用の手袋は重要とは思う。知人によると、手袋していちいち手を洗うようにしてから、明らかに流行性角結膜炎の院内感染が減ったそうだ。それまでも手は洗ってたんだが、汚れが落ちやすいように思うと言ってた。

マスクも手袋も手洗いも、うつされない、ではなく、うつさない、ためのもんで、もっと効果的なのは、隔離、が世界標準ですが、我が国では、ケガレの観念と相まってか、よくわからない発達をしてます。
手洗いは禊ぎ、マスクは結界なんでしょう、日本では

ただ、医療者のマスクに関してはぶっちゃけると、昨日焼肉食ったとか、時にとんでもなくにおう受診者がいるとかいうのもあると思うw
とくに、目医者は顔が近いので、そんなに珍しくない「医療者あるある」と思います。