映画雑感 デッドプール22018/06/16 09:00

これも、前知識なくてきとーに入った。ネタバレします、まあネタバレしても、ぜんぜんかまわないと思う。

マーベルコミック系ですか。
メタ的に自己言及するし、ほかの映画の引用を映画のタイトル付きでするし、こういうのは好きです。
DC系のウルヴァリンを引っ張ってきて遊ぶあたりもいい。見えないやつがほんとに見えないやつだったとかのおちゃらかも楽しめます。
危険な超能力者を捕獲して隔離するわりに、脱獄したらそれっきり。想定すべき社会制度としてはわけがわからんけど、考える必要ないのだろう。
超能力者同士が殺し合っても、通常人については攻撃してこない限り直接手を出さない、でも巻き添えは仕方ない、というのがルールのようですね、こういうお話は。戦闘員的な警備員を殺しまくり、巻き添え市民もどう考えても出まくっていながら、お前はこいつを殺すな、で未来が変わってしまう。節操がなくてよろしい

正義は、個人主義である、という信念に近いものがこの手のヒーロー(アンチヒーローにしても)にはあるのですなあ。やりっぱなしが気持ちいい
社会を守っても、こわれた建物代を請求されるという日本のその手のご冗談ヒーローとは、出鱈目を語るにしても方向が違うのよねえ。何が悪いという話ではないにせよ。

ただ、ここまでくると、引用された他の映画やDC映画、デッドプール自体の前作を、わざわざ見ようなんて気が、ぜんぜんなくなってしまうのであった、、、、

感想 映画「ファントムスレッド」2018/06/03 22:06

ネタバレ注意。

くだらない動機づけから、話をはじめます。
たまには女性のいる店に行く。ええ社会人してますと、せっかく京都なんだからという流れになることもあり、祇園とかに、ひとを連れていけるお店を知ってるほうがいい。カウンタありカラオケあり女性が複数いるラウンジという、日本中どこにでもあるようなお店で、おいたボトル飲むだけなら、祇園では10K弱。地方都市なら半額以下になるでしょう。
たまには行って、ボトルをキープしつづけないといけないわけですから、そこそこまともに話し相手してくださる女性がいることが重要なのも、皆さまとかわりません。

どうでもいい前置きが長いが、、、、そこで、いわゆるヘルプと話してたら、映画の話になった。それで、ぜんぜん映画の話ができなくなってるのに気づいた。
グレイテストショーマン」が、私が機中で途中でみるのやめた 「ララランド」のスタッフで、ミュージカル映画という話が出たのだね。ミュージカルが好きなのかと訊いたら、ミュージカル映画?と聞きなおされて、おやきっちり区別してるなと心中居住まいをただした次第。
ミッドナイトサン、タイヨウのうた」にはシュワルツネッガーの息子が出ていてかっこいい、これはYUIのでた「太陽のうた」のハリウッド版とかきいて、ふむふむというしかない。
まともに話ができないのは私であった。

「ワイルダーならどうする」とか読みながら、むかしの映画のDVDをなんとなく買っては見ずに積んでいく生活ではなんのインプットもない。だからアウトプットもでない。
これはまずい、なんでもいいから見なけりゃいかんなと思って、そのすぐ後日の昼、町に出て用事済ませた後、 MOVIX にいったわけです。
なんでもその場でやってるやつにとにかく入ろう、と思って、時間などの下調べなし。

上記2作は時間があわなかった。
カンヌで賞とって物議かもしてる万引きの話は、万引きされるお店の方に感情移入したらかなりしんどいことになるんじゃないかという先入観で選択肢に入らず。

べつにこの映画が国辱のどうのという論に組してるわけではないです。ですが、たとえば、「ゆきずりの少女をレイプすることで心の平安を保つという心の病気をもつ男の、妻との心の絆を描く映画」とかいわれて、世の女性は笑顔をもってその映画を迎えられるんか、とは思う。売り方が悪いわ。
映画としてはありだと思うし、作りてとしては、現実に過剰に肩入れする人たちがそこまで腹を立てるほど、むしろしてやったりなんじゃないんですかねえ。

話を戻します。見てもいないのに書いてはいけません。

けっきょく、内容知らぬまま、そんなに待たずに入れる「ファントムスレッド」をみました。

ファッションブランド総帥の話ですね。会話は英語。でもなんとなくパリのイメージだし実際、「シイク」(字幕では「シック」ですが伊丹十三によるとこう表記するのが正しいという)を連発していた。古そうな車がでてくるし、携帯電話のいりそうなシーンでも事務室の電話を使えとかいってるし、どこまでも今制作の映画だからよくわからないが50-60年代の設定なんだろうか。主人公の見た目70近いが「初老」設定、コーカソイドは老けやすいのか、ヒロインもへんにいかついのは意図的でしょう、年齢不明。直接のエロ場面はいっさいないです。
セットは内装も調度もしっかりしていて、衣装は豪華。普段着もオサレ。カメラワークは派手な感じはなく、無理なところもなくて、実におちついてみてられる
男のスーツの仕立ての話じゃないのでその部分はいまいち興にのらないが、仕方ない。

ストーリーですが、これ、共依存の話なんかな
セックスしながら、死ぬ寸前まで相手の首をしめては手をゆるめる遊びを思わせる。

男は、ファッション総帥デザイナーだから神様みたいなもんなんでしょうな、ともに暮らす女性を、そのご威光で手も足も出ないところに追い込んでいく。いまでいうなら精神的 DV 。挙句に勝手に退屈しては、生きてる実感がなくなったと称して、その女性を捨ててきたのでしょう。
そういう男が、ついに出会った、逆襲してくる女。彼女の仕掛ける毒キノコ中毒に、あらためて生きてる実感をつかんで、もうメロメロよ、ということ、なんだろうかね。
半端な毒薬扱いで出ますが、キノコはドラッグでもある。この展開では、もっとガチなドラッグ、大麻とかマリワナとかを使えば、一気にいま風です。ジャンキー版マイフェアレディっつーのか
さらに男女をいれかえたら、女性を覚醒剤漬けにするヒモの話になって、目もあてられない。

スレッドthreadというのは「糸」ですね、まあ糸のサイズで呼び名が変わるが、衣料のなかの糸を指す。幻の糸につむがれて、がんじがらめになっていく二人、ってとこだろうか。裸の王様の意味でもあるのかもしれんけど、ぴんとこない。わかりません。
ちなみに手術に使われるレベルの細い糸はスーチュア suture といわれます、どうでもいいことですが。

退屈はしなかったです。
低レベルの感想やなあと我ながら。

井口博之氏の写真展2018/04/17 22:55

知っている方の写真展があります。



富士フィルムフォトサロン 大阪 4月20日-26日
井口博之写真展「ネパール讃歌/神々の大地に生きる」

先行して写真集も出されたのでその内容で展示されるのだと思う。
その写真は、医療ボランティア(AOCAアイキャンプ)に同行した氏による、ネパールのひとたちの、なんのことはない日常的スナップ、に、みえる。

で、私はご一緒したことがあるから知っているのであるが、、、

これ、ものすごく演出入っているのです
決して貶しているのではない。
絵になりそうな状況を見たら、遠慮なくそのへんの家の人や通行人や子供まで、片言のネパール語で動員して、場面をつくってしまわれる。洗濯物を奪い並べ、山羊をおいたてるのも見たぞ。

そうして、色も構図も破綻のない、よくできたスナップが誕生。

これは、大したもんなのですよ
そこにいろあそこに立てと片言身振りでいわれて、みんななんとなくその通りにしてしまう
現場では、感心するしかなかった。

井口氏がさっくり「これはこうしたらエエ」と作り上げた中に井口氏が入り込んだ写真を、私が撮らしてもらったこともあるのだが、イメージしたであろうように撮るのはなかなか難しく、後で、ああ撮ればよかったんやなと思いだすことしきり。

言い訳すると、私は、スナップは基本的には絶対非演出という古典的な人間です。
ですので、あそこまでなんでもその場でつくりあげてしかもきれいに撮ってしまうやりようを見て、世間知らずであるが、衝撃的であった。
街角を即興のスタジオにした、といっていい。。

そしてまた、ネパール現地で、どこにでも入りこんでしまう方でもあった。
早朝のバス停のそばの集合住宅に、景色を上からみようとが階段をどんどん上がり、たまたま開いていたおうちに挨拶まくしたてながら入りこんで、ベッドの横の、火の神様の祀られた竈をみせてもらうなんて、井口氏と一緒じゃないと絶対やらない。
こういうのをコミュニケーション能力というのかは知らない。いまどきの日本ではなかなか無理やろうとも思いますが、ネパールでだって普通はやらないよ。写真撮ってるうちにそういうお方になったのか、そういうお方だからそういう写真になったのか

街角スナップに演出なんて、という人もいようが、ドアノーの有名な、パリの街角でキスする男女の写真、あれも、甥だか姪だかをつかって撮ったもので、ほんの5秒で有名になったと、ご本人は嘯いたそうではないですか。ドアノーはいうまでもないがブレッソンの盟友というべき存在。古い名前ばかりですみませんが。

ここにさりげなく立ってる男は引っ張ってこられたんやろな、子供たちはかきあつめてきたんかいな、シーツとかきれいな色やけどいらんもんは当然ぜんぶ除けたんやろねえ、というふうに製造工程を想像しながら見ると、格段に楽しめる
ようできてますやろ、という井口氏のにやにや笑いが、その写真のむこうに浮かぶのである。

つくるんだったらこれくらいやろうよ、ということで、私も学会が大阪であるので合間に行こうとおもいます。

感想 シェイプオブウォーター2018/04/12 15:45

ネタバレします。

「シェイプオブウォーター」、いろいろちゃんと伏線張ってしっかり回収、画面もよくできています。
登場人物すべてにきっちり個人史があるようにつくっている。

伏線というと、首の傷はえらそっくりと初めから思わせ、最後にきっちり活用してみせてくれた。「やっぱり」と言ってしまったが、のせられたというべきか。ただ、人間にとって解剖学的にエラにあたるのはあんな首筋じゃなくてもっと顎から耳のほうなんじゃないか、そういう問題ではないか。
水圧考えたら部屋にあんだけはたまらないでしょうけど、そこがおとぎ話。
唯一気になったのは、水門ちゃんとあかなきゃ逃げられへんのちゃうん、ということでした。下の方あいてるんですかね、潮の干満があるから密閉はしてないんでしょうけど。
退屈なセックスはわかるんだがそもそもぼかし入れんとあかんような角度からとる画面は要ったんやろか。となると、ただの正常位じゃなかったんかな、ノーカットみたひとは特にコメントしてなかったけど。

そういうのはすっとばして感じたこと。
とても胸糞が悪くて、つまりは下っ端の潰し合いのお話なのだね。

なにかというと下っ端が世界を変える映画ばかりをよく見るのです。
そういうものに慣れ過ぎたが、こっちのほうが、あたりまえですが、リアルです。
世界なんかかわらないよ。

死ぬか化けるかで、やっとそこから逃れられるというオチが、本当に鬱だ。

感想と考察w 「けものフレンズ」2017/04/12 13:02

ネタバレしますよ。

CGがひどいが、慣れます。そして、ちゃんとしたアニメでやってるところが想像できなくなる。後にいくほど動きが止まってセルっぽくなるように思う。
設定のほうは相当作りこまれています。終始いろいろ、特にどうでもいいような小物まで整合性とれてるのも、CGなのでやりなおしがセルより容易だからじゃないのかな。事前設定を甘く見すぎかw

ヒト化された動物たちは、種に応じた個性を与えられつつ「かわいい少女」に特化している。みんな仲良し、ふだんやってることは全部たーのしー「ごっこ」で、致命的なこともおこらない。思わせぶりな例外を除いて、基本的には悩みも葛藤もない。自己犠牲もほとんどためらわない。総攻撃は、感動的ですらある。
いっぽう、まじめに設定するなら、退去にせよ滅亡にせよ、この世界から人間が去る理由があるはずで、いろいろコワそうな素材が適度に撒き散らされてる。それなりにシリアスそうなネタが積み上げられていくので、みていたらそれなりにはまってしまう。

つまり、ぬるいやりとりにひたるか、世界について深読みするかしか、見る側はすることがない

しかしなんで、かばんちゃんは、体毛にもどらんのか。根本設定に属するところはもうちょっと分かりやすいほうが有難いのですが、ラスト近くに来る、悟空の毛からできた分身が居場所もとめてうろつくような座りの悪さ。余韻?w
「けもの」は「けだもの」で、毛の生えた生き物を指す。だからここに鳥や爬虫類を入れるのは本来は違うはずで、むしろ、「毛そのもの」から再生されたヒトが「フレンズ化」したという、かばんちゃんのほうが近しい。
「けものフレンズ」という題名が、かばんちゃんは何者かという謎の回答そのものだった、という誰でもしそうな考察も、しておきます。「毛者」やもんな。

ここからあと、世界はどうなっていてかばんちゃんはどうなっていくのか。
たぶん先に行くほどお気楽にすまなくなっていきそうだが、そこをどこまでお気楽に仕上げるかが、あるかもしれない第2期の課題かもね(適当)。
このまま放りっぱなしというのも、じゅうぶんありでしょう。商品として考えると、考察班がもりあがって大成功に至ったので、それを再現してこれ以上のコストパフォをもたらすのは、なかなかむつかしいのでは。

はじめのとっつきにくさを超えたら、あとは最後までひとにやさしくて、ひたってしまう。ドラッグみたいな感じです。

少女たちだけの放課後」に感情移入できん向きからは拒否反応出るでしょうな。無害だし、基本的には退屈です。それがいいのですけど。不思議の国のアリス、も、そのように形容する向きがある。
ゆっくり終わりつつある、放棄された楽園自分探しする主人公のわかりやすい成長物語。文明の痕跡をめぐる、3人組のロードムービー各種少女アニメの設定を総集編的に引用。芸を見せまくる声優陣
ニミズム的世界観日本ならではの、理屈好き大きなおともだち向けアニメの、現状における極北と思う。
まあ、そう深読みさせてくれるということですがw

いった店 台湾台中 感想 「キングコング」2017/04/05 08:54

4年ぶりの台北では、既出中央市場」にいった。一皿余分に出てきたような気がする、どっかに被害者いるんやろな。




台湾ドルも高価くなってきて、関空のいいレート選んで4円、カードなら3.8円。
一皿100元は決してすごくは安くない。注文4皿にビール2で5‐600元でした。
夜の10時過ぎてからずらずら一人で皿並べた私も私ですが。
食いきれませんでしたが「食わんの?」と店員に仕草された。
まあひともてなしてるんじゃないし、一人でなんでこんなに注文する、というのは当然の疑問。

台北は遅くついて飯食って泊まっただけ、連れたちと台中で待ち合わせたので、蛇を食う余裕もなく。早朝移動しましたが、高鐵使いやすい。自動車も台鉄も右通行なのに高鐵だけ左なのだね。
以下、台中でいった店。

台中肉員
千と千尋で、豚になる前の父親が食ってた、たぷんとしたもののモデルと言われる。肉をでんぷん質のものでつつんで揚げたりしてるようです。うまかったけど撥ねが飛ぶね。





鼎王麻辣火鍋
市内に3軒あるようでしたが、公益路の店にいった。若いチーフスタッフの深々としたお辞儀はパフォーマンスに近い。お辞儀を返すのは日本人だけらしい。
日本でもありそうなコンセプト火鍋屋。
台湾人レセプションが日本人並みに英語出来ない、わからんことにはとりあえずイエスというし、ちょっとトラブりかけた。
味をマイルドで設定注文したらぜんぜん辛くない。店は東京にもいくらでもありそうな雰囲気なので、くさいもんが好きな向きにはどうかなあ。




台中市役所カフェ
市役所のむかいでむかしの建物を利用してる。いい感じの喫茶、食事可。急須に葉がない




宮原眼科カフェ
むかしの眼科医院の建物を利用してる。目医者ならいかんとw
図書館ぽい内装は、ハリポタの校舎の感じがした。






路面側の店のアイスクリームが有名なようで絶えず車止めて買ってる人がいる。中のおしゃれなカフェは食事っぽいこともできますが、ここも急須に葉がない



以下、ネタバレします。

映画 「キングコング: 髑髏島の巨神」
陸上未確認巨大生物という訳で「ムートウ」も出てきて、そもそもキングコングはムートウを退治する側という話。なんかハリウッドゴジラやなと思ったら、今後そっちにつないでいく模様。極秘組織のモナークもでてきた。マーベルのヒーローもの映画のような感じで怪獣勢ぞろいかな。あの壁画はどうみてもキングギドラ。私としてはモスラさんが気になる。
原住民のでかい砦のような木造ゲートはいちばんはじめのキングコングからの踏襲で、とてもいい感じですが、キングコングじゃなくムートウ対策というのがなんだか。あそこにキングコングが立ちはだかるのがいいのに。
キングコングがヘリ相手に戦うところは、エヴァ旧劇の弐号機そのもの。監督が日本のアニメや庵野さんのファンらしい。
シンゴジラなんかは国外で一般に売れる要素はないけど、こういう制作サイドのコアなファンのおかげで、日本の特撮アニメが、世界市場での一つの流れになっているのだなあという感慨。ハリウッドゴジラでも感じましたが、平成ガメラがこうもバリエーションを生むとは

長くなったので以下にあったけものフレンズの感想は別項目にします。

感想 映画「この世界の片隅に」2017/03/23 23:30

機内でみたもので、映画を見たと胸張れないですが書く。ネタバレします。

英語題は In this corner of the world. らしい。世界のこの片隅に、やね。

戦中もの広島ネタで、すみませんが今更感があって、素材としてはなんだかです。
ほとんどなかったけど街中シーンでもっと群衆が動いたらいいのにとは思った。お金かかるからなあ。
これは個人的な好みなので先に書く。

冒頭、キリスト教会音楽に続いて、作品世界よりずっと後年のフォーククルセイダーズの「悲しくてやりきれない」をうたう能年玲奈、のんの声がかすれて流れる。この声が通奏低音のようにずっと頭に残る。
まずは主人公の声を演じる、能年玲奈が本当によかった。この人は方言ものがええんやろうか。

本編の抑えた感じの色のなかで、主人公すずが、はじめに同級生のために描く水彩の海があざやかに動き、彼女の絵は状況とともに線画のようになっていく、ついに右手は失われ、でも、失われた右手は、その後も画面の中で絵を描き続ける。丁寧な作画で、アニメ作家性のつよいものではなく、職人技に徹しています。アニメでしかできないことをアニメでちゃんとやっているのがよいです

原作が強い
でてくるのは「逝きし世の面影」にあらわれるような、枠組みの中に生きることをよしとするひとびと。流れに流されるわけではなく、そういう生き方なわけです。宮崎の「風立ちぬ」の主要登場人物たちの対極。
自覚的に、その生き方でいいのかと自分らも思ってるようで、夫が、かって想いあっていたかもしれないその同級生と一夜を過ごさせてやろうという余計なお世話までついてくる。
つまり、みんな、いい人なのですな。
その枠組みにいてもいいのかわからなくなったときに、枠組みに忠実な夫の言葉より、枠組みからちょっと逸脱する力のあるもとモガ小姑の言葉の方が重いのは仕方ない。

あくまでも、コミックのすぐれたアニメ化であって、とことんを追求したトップクオリティアニメではないけれど、いろんなものが補い合って、よい映画になった。ほんわかしているが、よかったと手放しにいうには、ちょっときつくてつらい。

終わり近く、孤児のシーンだけ違和感あった。
それまではすずの視点でゆっくり時間が経過していたのに、子供がいきなり原爆の下でわざとらしく右手に受傷したおそらく母親に死なれて、コマおとしで死体にハエがたかり、そこから、ころがした海苔巻き(?)に寄ってくる描写までは、時間のリズムが違いすぎる。
このシークエンスを入れたいのはわかります。原爆下というのが日本以外ではわかるかな。
場面としては原作どおりなんでしょうが、コミックは自分のペースで読めるがアニメは時間が一方的に流れる。リズムが違うのがそのままきてしまう
難しいですね、ここは。こういうコマ落としが、すずと関係のないところであと2か所くらいあったら馴染めたと思う。
孤児になった経緯はなしにして、弁当食うふたりのところに孤児がただ暗闇からでてくるのでもええようには思いました。
でもまあ、違和感がないからいいとは限らないし。

すべての登場人物がいとおしい。
悲しくてやりきれないので原作を読む気にならないw ネタがネタだけに聖地巡礼はせんやろなあ。
クラウドファンディングで最後に名前のでる快感を覚えた人が、これで増えたらいいと思います。

Star Trek Beyond 感想2016/10/23 23:51

いつも映画を集る娘がたまたま帰ってきておりますが、これは好みじゃないらしく、「早いな」の一言でするーされました。

で、ちょびっと感想。ネタばれします。

TOSの時間軸とは完全に切れてしまうようだし、続けるにしても仕切り直しでしょうかねえ。
作品自体は、お話のええ加減さはもう仕方ないとして、中国人スールーけっこう格好良かったのは中国市場への配慮か?アリババも制作に入ってる。

音を送り込んで相手がつぶれる、という戦法は「マーズアタック」でもつかわれたもので、そのもとはゴジラの「怪獣大戦争」ですね、知ってたんかどうか知りませんが。
「気休め言うな」というスポックにマッコイが「どうこうなったら死ぬぞ」とストレートに連発するシーンはちょっと笑いましたが、むしろマッコイには「He's dead, Jim」をどっかでやってほしかった。

旧スポックもしっかり死んだし、その遺品からでてくる、オリジナルのクルーの集合写真なんかはひとつの区切りとして使われてるんじゃないですかね。旧作の墓碑銘みたいなもんで、まあ決別するしかない設定ですが、シャトナーまだ生きてるけどもうええんかなw

役者が違うんでキャラも違ってきてるわけで、このへんで完全に違う世界にしてしまわないと、ちぐはぐさがもうどうしようもなさそうな。

再会の映画と、アニメ「君の名は。」2016/10/09 15:24

再会、というのは映画でも重要なモチーフです。

めまい」そっくりな女性と思ったら本人で、殺人の謎解きの挙句また失う。
雨月物語」死んだ妻に一夜だけ出会う。  田中絹代はもうこのときおばさんですが、再会からラストまではすごいです。
黒い瞳」一度は追った女性のもとに再びいけなかった男が、落魄してのち知り合った男。その妻が、どうやらその女性らしい、顔を合わせることになるであろう前に映画は終わる。
天井桟敷の人々」クラウンのパントマイム役者が、5年想い続けた女性と一夜だけ過ごす。謝肉祭の朝、追う男を、クラウン仮装の大騒ぎが阻む。

再会のモチーフをもちいた映画に一時はまっていた私を、再会映画ファンと呼んでくださいw

一度は愛し合った男女を、どう再会させるか、ストーリーを考える人たちは苦労してきたらしい。
昭和28年の「君の名は」については、再会なかなかしないのが見せ場と星新一が書いてたような。amazonではプライム無料ビデオじゃないのであらすじだけみると、再会した後それぞれの相手が入り乱れて gdgd なようでして、アニメとは主点が違う。あたりまえですが。

で、アニメ「君の名は。」見まして。ネタばれします

「時空を超えて入れ替わった二人が、歴史を変え、互いを忘れながらも、求めあい続け見かけたときに気づくというのがあらすじですな。
きれいというのか、無理やりというのか。

どこもここもどっかで見たような話とシーン、いろんなアニメをはじめとするもとネタをそこそこきれいにわかりやすく再構成してつくりあげたということかな。
最後10分は「それでどこで再会さすねん」てな感じで見ていた。

どうでもいいけど、入れ替わったときに胸をもむのは「転校生」を思わせる。田舎町で友人カップルがいて、というのはもうどのアニメとかいう問題ではない定番。山の奥のクレーター、「ハウル」っぽいね。日本の風土であれが草原沼地のまま木も生えないのはないやろうとは思いますが。

アニメーターがどんだけ死んだかわかりませんが絵はきれい(強調)だし、どのシークエンスも前後15分はわかりやすくつながってるし、テンポよく気持ちのいいシーンを出してくるし、ぼーっと見ている分にはなんら不都合ない。ドラマとして取り返しのつかないことはおこらず不愉快な場面もなく、アニメ画面上の日常そのものがノスタルジーにあふれている。
食いやすいおかゆとか、レンジ食品とか、日清のリッチヌードルフカヒレ味のような作品です。

このお話は、しかし隕石が落ちてくるシーンまで、非常に設定に苦労している。
入れ替わるという不思議現象は「むかしからその神社の女子子孫におこってきたこと」で、あっさり日常化させてしまった。最後の最後に市長が避難訓練の形で非難させたらしい(新聞でそう見える)のも、代々起こってきたことを最後に思い出したから、という設定なんでしょう、ばあちゃんに押し切られたか。ご神体の本体はたぶんクレーターの隕石でしょうが、その神社の神様が、この日のために巫女を介してやってきたことなんだ、で、説明終わり。そのクレーターのへりで時間を超えて会わせるために、かはたれどきについて繰り返し解説。

逆算型の設定にがんばりすぎて、かえって違和感がありまくるのがこの釈然としない気分のもとか。

で、ご都合設定に苦労しまくって隕石落としてふたりの記憶も記録も消したあと、再会に収束するまでが、それまでの無理に必然性を重ねた展開に比べあまりにもさらっとしすぎ、というか、雑
最後はもうくだくだいわず、気持ちよく流してくださいと、意図的にそうしたんだろうかね。老人になっておたがい孫に手をひかれて再会とかいうよくあるひねり方じゃないのはよかったんだろうけどそれにしても、そこだけ素直すぎる。

壊滅状態の地元からヒロインも友人カップルも東京に出てくる、というのはまあありえる。
ですが、人口も多く交通機関も入り組みまくりの東京で、ああいう、それぞれ特にそこにいるという必然性に欠けたあっさりタイプの再会はまずありえないと思うのですが、それが「奇跡の力」か?神様そこまでアフターケアいいのか
男は建築会社系にいったようだし、女の町に復興関係で出かけて、市長の娘として地元で頑張る女と再会、とか、にしたらよかったのに 。そこですれ違うけどわからない、でもいいけど、さらにありきたりかなあ。ま、「ボクの考えたストーリー」ですね、これじゃw

再会を売る映画としては再会のカタルシスがなさすぎる、と言わざるをえんか、いや、再会を売ってないんかな、再会部分はおまけに見える
再会映画ファンとしては不満だww
けっきょく再会しない「秒速5センチメートル」より、ましってことか、すみませんがあれはあまりに辛気臭くてコミック版途中でギブしました。監督自身も反省したらしい(伝聞)。

それもこれもまあ、私にとっては感情移入の邪魔になった部分ですが、気にならない人には気にならないだろう
監督が、そこそこ納得行く形で、やりたいようにやって、売れてるんだから、そこはなにもいうところではないです。あたりまえのことですが、一筆いれておく。

ここはさすがにご都合過ぎやなあとか思ったところ。だからっていけないとは思いません、念のため。
スマホの日記は消えるのに絵や記憶はしばらくそこそこ健在。
過去の東京に出かけてお前なにとかいいつつ組紐のやりとりして、しかもそれを手首にずっとしてるのにそれが山の夕暮れシーンまで思い出されない。
前に隕石が落ちてきたんだしまた落ちるかも、って、火山じゃなし、隕石に関しては前におちてこようが、そこにまた落ちる確率は上がらんやろう。
神社から最低1キロぐらいはみんな離れてほしいもんですが、そんな時間があるようにも思えない。
口噛み酒、あの環境でカビも生えずにできるのか。

庵野氏のゴジラを見たときに私の思ったこと2016/08/05 00:00

シン・ゴジラ」by 庵野秀明総監督  みました。雑感です。
軽いですがオタ方面の知識を前提にしています。ネタばれもありますので注意。

そんなに指図されることもなくたぶん好きなようにつくれるようになったおかげでしょうが、出来上がったもののイストは、自主製作時代のダイコン「帰ってきたウルトラマン」に最も近いです。「ねつかくこうげき」と連呼するからとは言いませんがw

地面ずるずるはい回る幼生形態は「八岐大蛇の逆襲」かと思った。ミニラじゃないのねw
アニパロにシフトした「トップ」や「ナディア」よりも、「エヴァ」は特撮の血が濃いんやなということもこれみたらわかります。ヤシマ作戦まんまという突込みがありますが、これはむしろ意図的にやっているでしょう。
ゴジラ無双のとこは「巨神兵東京にあらわる」みたいやし。
おたキング岡田ライクのでぶがうろうろするのはわざとか。
この監督、けっきょくずっとおなじことやってはんのやろなと思いました。

特撮ファンとしてはとてもうれしい代物ですしとても正しくつくられています。最上級の、自主制作系特撮映画です。ひたすら東京をめざすCG怪獣と、それを日本国が相手するに要する各種手続きの説明をシミュレーション式に物語化した、つまり日本の制度の取り扱いマニュアルみたいな映画なので、まともなドラマはないに等しく、映画としては非常に偏った代物と思う、てか、メジャー上映でこれをやってのけたのがお手柄なのか。

つまり、オタのお祭りにあわせて上映されたような自主製作映画とかわらんのですよ、白組の特殊技術レベルが高い一方、人間側のお話部分はやや一本調子で、それほどの葛藤もなければ、視点の移動も少なく、危機管理物語というか、ひたすら特撮でつくりだす状況の正当化してるだけです。ゴジラやウルトラマン見て育った人たちがとびあがってうれしがるのはあたりまえといえばあたりまえ。いまどきの子らには、、、どうなんやろw
特に、踏みつぶされる側の人々の具体的な生活史像はまったくといっていいほど出てこない。こけるマンションの中を映せばいいってもんでもない。
主演級の若手の演技もちょっとだから、へんなドラマつくるよりは正解なのかもしれないですけどね、超古代文明とかいまさら勘弁なんで。
それもこれも、しかし、できんことはやらんという割り切りはご立派、たいがい、できもしないわかってもいない「ウケる」要素を入れようとしてこける。
金かけて好き勝手できてええなあと思います。これは、わかりにくいかもしれんけど絶賛してます。

庵野氏は、プログラムドピクチャーで、以前の作品を引用しながら無理やりに感動させるのはずいぶんうまい人であることを、ひさしぶりに感じてうれしくなったファンも多いのではないでしょうか。トップもナディアも最後がとにかくうまかった。
いろいろなもんからの引用が多く、何を見てもなにかを思い出すよねえ、、、一番ビジュアルではまったのは、幼生形態の目玉でした、そのつもりもないかもしれんけど吾妻ひでおのどろろん忍者かいとw ゴジラ自己進化設定も樋口監督自身の平成ギャオスやし。
完全オリジナルのエヴァの最終作品も、この勢いでいちおう作る気になってられるようです。私の理解では、Qはナディアでいう「島編」です。だからって最後までたどり着けるかはわかりませんけどねw
旧劇場版でなにがあかんかったんやろうとは思います。余裕ぶっこいてむかしの若書きに手を入れ始めたら収拾つかんようになったんやろうと勝手に思ってるんですが。

作品に戻ります。
日本でこういうのやると、84年「ゴジラ」じゃないが、すぐに官邸群像劇になるのはなんだかですねえ。自衛隊の出動の事情をやろうとしてリアリティを追及するとそうなるということでしょうか、核兵器とか国際関係がどうのとか。「日本沈没」てのもあるし、これもまあ引用と言えば引用か。
いちいち誰か似の防衛大臣が「首相」と叫ぶ、自衛隊を動かす政治についての、図式的でわかりやすいコメディの挙句に主要閣僚みなぶっ殺したのは笑ったが。一緒に乗ったらあかんやろう。

下命をうけ、はずれもんでチームをつくって起死回生の一発、という、なんかのような快楽設定ですが、みるからにわざとらしくスクールカーストw下位で痛々しいのはなんとかならんかったんやろか、これで感情移入できるのは世界的にはかなりのマイノリティと思う、まあ、ちょっと近親憎悪なんかもしれません。それにしても、下っ端とかオタとかに甘すぎる設定。上から下までお笑いで通せばいいのに、バランスが悪い。志ある官僚が彼らをひきいて、日本が救われるというのもファンタジーですが笑いにくいなあ。

これだけなら、ゴジラという異物を放り込まれた日本政府の仮想ドキュメンタリーのカリカチュアということでも行けたと思うんですけどね。日本人による日本論は、日本でしかうけんやろうけどまあいいとして。
後半特に、この国は大丈夫のどうのと、変な日本age がでてきます。ひねりがそっちにいってしまった。
庵野氏の時代のダイコンがかかわった「愛国戦隊大日本」から、「神風ライダー」に至る(「国防挺身隊」を入れてもいいw)特撮系右翼パロ自主製作映画と実は同様、そのほうが単に話をわかりやすくオモシロく作りやすいからそうした、と私は思うのです。日本の組織の取説にちょっと情念をまぶしてみるわけです。メジャーですと「平成ガメラ‐イリス編」のラストの悲壮感がそうですね、物語つくりとしてはむしろ逃げなのですが、変な酔い方して、ニッポンえらいとビビッドに反応する人もいるんだろうな、とも思いますあーあ。

正直言うとちょっと暴れ足らんですけどねえ。関東平野がでかすぎ。

エキストラ相当のところにびみょーな有名人名がいっぱいあってまた笑った、塚本晋也とか。さぞかしみんな楽しかったことでしょう。

ゴジラのしっぽのアップが、なんかいろんなものとか人間とかがよせあつまってできたような描写になってたような。分裂増殖らしい。今後なんかに使うのかしら?

以下、設定についての疑問。

1) 米軍の攻撃で、スリープ、チャージせんとあかんほどのダメージをこうむるわけですよねえ、だったらなんで、無人機でその攻撃を続けんのかなと思いました。効果のあった攻撃はとどめさすまで続ければいいんで、それを中断して核攻撃というのがわからない。最終攻撃でまたその攻撃して動きをおそくするんだから、できるんでしょ。

2) 頓智兵器で退治するところは伝統にのっとってすごくいのですが、あれ服ませてるというか内服させてるんですか?それじゃまともに吸収されんのじゃないか。口腔内粘膜下注射としても、凝固促進剤が全身に回るんだろうかと、よその科のこととはいえ思いました。あのやりかたではきっちり血管に入らんだろうし、皮下注レベルではそこに血腫つくっておわりなんやないかいな。まあ、ききとれんことをぐたぐたゆうてたから、クリアされてるんかもしれんけど。ケツにぶちこめといってる人もいるようでそのほうがまだ全身に回るだろう。

3) さらに余分ですが、血液の冷却効果がおちたときに冷却力あげてぜんぶ凍るような反応をするように、生物(そんな生物おらんけど)はできてないし、ふつうは熱暴走のほうを予測せんかな

全体に滑舌がわるくてききとりにくいが、これはもう日本映画は20年前からですし、そんな大したことはたぶんいってない。環境省子の最後の台詞もわからんかった。聞き取りが悪くて理解が違うところがあったらすみません(言い訳

それにしても、伊福部サウンドはええなあ:結論