観た映画 ― 2024/07/05 12:07
ほぼ半年分。2月くらいからしばらく気分がハングしてしまって数か月なにもインプットしなかった。
「ルナシー」 DVD
いわゆるシュルレアリズム映画、面白くなくはないけど、まだそんなことやってるのという感じ。時々入り込む駒撮りアニメでいろいろ考えるのもアホらしくなるだけの効果はある。
「アンダーザスキン」 DVD
宇宙侵略ものということになるが、思わせぶりなところが多いがなにがなんやらさっぱり。美女型人喰いエイリアンとか、それが人間らしくなってきてとか、今更だし、ものとして自主製作映画並みにしか見えず。スカーレット-ヨハンソン使ってるが、もとはとれたんやろか。
「ミッション:8ミニッツ」 DVD
瀕死の状態の人間を過去を再現する道具に使う。いい感じによくできたようにみえるが、これを「時間軸移動」ものとした場合、主人公が乗り移った学校の先生のほうは消えっぱなしなんか、もともと死ぬ運命だったといってもなんだかな気はする。
「浮き雲」 尼プラ
フィンランドの失職中年夫婦の話、最後にいいように転がってめでたい、まともな映画。レニングラードカウボーイズはやけくそやったんかカウリスマキ監督。
「過去のない男」 尼プラ
これもカウリスマキ監督。列車食堂で寿司と日本酒が出てきてバラッドが日本語なのは笑った。じわる面白さ、ちゃんとした映画で突っ込みようがない。どこまで実際なのかわからんがゆるい社会やなあ。
「The roots of evil」 ようつべ
ショートホラーで売れてるらしい。スエーデン製で、ミッドサマーな感じ。日本語字幕ついてる。https://www.youtube.com/watch?v=FpCGELWL4WU
「5時から7時のクレオ」 尼プラ
時系列でだらだら流れる。若い女性歌手が病気に悩んでうろついてナンパされる映画、面白かった。
「罠」(1939) 尼プラ
戦前のフランス映画やなあと思わせる。前半はものすごく面白かった、後半謎解きも含めてよくわからない。
「関心領域」 京都シネマ
背景もヨメも異常な状況とはいえ一見大したこともおこらないのに最後までちゃんと面白くみられた。ホロコーストのネタでいつまでも映画をつくり続けることにも感心する。アウシュビッツとか知らん人もじつはいくらでもいると思うけどそういう人はどんな風に見るんだろうかね。
「ぼっち・ざ・ろっく Re:」
ただの総集編前編どうしようかと思ったが思った以上にみたはずの放送版を忘れていたようで楽しく観ました。
ライブの後の虹夏の台詞で前編終了という予想も当たった、つかそれしかない罠。
高校生年齢女子のうぞうぞ出てくるアニメは最近もう見る気にならないがこれは主人公のコミュ障ぶりと廣井姐さんの呑んだくれぶりがよい。観客は8割くらい男子
「ホールドオーバーズ 置いてきぼりのクリスマス」 京都シネマ
昨年制作だがお話は1970年。作品自体はリメイクらしい。デジタル上映なのにフィルムっぽいのは加工だった。もうちょっとぬるいものを観るつもりだったが、人生をひとのために差し出す「恩師」ストーリー、監督は黒澤明のファンだそうだ。先生がまったく恩着せがましいことを言わないあたりは、「生きる」の設定も流用してるかもしれんと思った。生意気なガキが最後まで生意気なのはいい。
50年前のボストンの風俗とか車とか、見た人間がまだいる、ぎりぎりの再現になるな。大正初年に幕末をネタにしたものをつくるようなもの、ではある。今の話にすると携帯がでてくるのでびみょーに成立しにくい。
プレップに黒人がそんなにいたのかとは思ったにしても、それっぽい音楽とか、今の時代の映画でこれやるんか思ったけど、よくできてるんだろう。
感想 DUNE part2 ― 2024/03/18 18:37
part1 と同じ感じ。前はちょっと感心したけど。
公開後はじめての日曜日夕方、 movix京都、字幕版で客20人弱。
コワい敵方がスキンヘッドなのは最近どこもいっしょ。
重厚だけど画面転換のキレはいまいち。砂虫に乗ってみんなで南に行ったあと教母に会うところとか、どこですかここはと一瞬思った。
似たような画面が多くてイメージ画面みたいなんもくるし、人物もまあ定型的、原作がそうなんでしょうけど、サル顔メイクのチャ二と白系美人メイクの皇女みながら、顔の感じを逆にしたらまた感想かわるよなあとか思ったり。
すみません原作知らないのですが、退屈はしないし話はまあまあ分かるとして、おなかいっぱいな感じになってきた。
まだやんの?

騎士団のいる帝国軍vs遊牧民軍 かつ帝国が負けるという図式はラングの無声映画「ニーベルンゲン」を、前作もそうだったが彷彿とさせるというか。今回は「クリムヒルデの復讐」の方です。
「ニーベルンゲン」は、「メトロポリス」もそうだがとんでもないモブ動員人数とセットの規模だったのでして、昔は人件費が安かったし、フィルムも発達途上でセットもそんなに精密じゃなかったからできたんだろうとも思うのですが、やっとまたあそこまでのことがCGでできるようになった、という気分でみていた。実際下敷きにしてたんではないか、似たシーンがいっぱいあったような。
まあ似てしまうとは思うが。「トップガン」が無声映画「つばさ」に似るようなもんか。
観た映画 ドクトル・マブゼ、アステロイドシティなど ― 2023/12/02 21:31
「大アマゾンの半魚人」 DVD
水中のスーツアクターがすごいと思った。あれこれ考えるシーンが略されて話が早い。キングコングもそうだがこの半魚人も異種のはずの人間の女にこだわるということは、もともと人間だったんではないのかと無意味に突っ込んでおく。
「アメリカの影」 尼プラ
京都ではどこもカサベテス特集が終わってしまったので、尼で58年のニューヨーク舞台のカサベテスによる即興映画をレンタル。もろ人種問題はちょっとコメント不可。
メジャーでも「グロリア」撮ったカサベテスについては、サンフランシスコで、ひょんなことで知人になった日本人留学志望者の東海岸に行く送別会という、サウスマーケットの旧い映画館貸し切り上映(その日本人と現地人たち5人くらいだけ)でなんか見たけど題名わからん。登場人物がみな怒鳴りあって会話、後でそのことをいうと、Kavir(黒人)が、それがこの国でのふつうの会話だといった。
「デンデラ」 尼プラ
今村昌平の息子による今村版「楢山節考」続編。捨てられた婆さんたちの復讐がいきなり熊映画になるがオチで復讐に戻るからいいか、オチればいいもんでもないが。100歳がこんなわけないやろうと思うが草笛光子実年齢90といわれると肉体的な説得力はある、まあここで生き延びるんやからなあという。
例外あるがほとんどの画面は雪、でもちゃんとした画面ではあった。
「ラヴ・ストリームス」 DVD
カサベテス。流れてるのは愛というよりむき出しのエゴのような。退屈はせんかったが、こういうもんはアメリカじゃインディーズでしかできん(かった)のか、まあトップ俳優でもないし派手な話でもないし。
「アステロイドシティ」 Cocon京都
宇宙人出現を交えたコメディに、演出家の家やら舞台の楽屋やら演劇教室やらがメタ的に入り込み、いっぱい元ネタあるんやろうなあと思いつつまあ楽しかったが、今どきはここまでやらんとあかんのかとも思った。
「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」 尼プラ
思ったほど痛々しくはなかったが、このロシア人の扱いは埼玉以下で、いろいろ非道いような気はする。
「バグダッドカフェ」 尼プラ
なんだかよくわからないおとぎ話。だったが、西ドイツ映画なのを知ってちょっと納得。
「グランドブダペストホテル」 尼プラ
アステロイドシティの監督、雰囲気はそうです。おもしろいけど、ようわからん。思い返すと真ん中あたりは何も印象に残ってない、記憶が中抜きされたんじゃないかという気になる。
「特攻野郎Aチーム 映画版」 DVD
面倒な話をこねくり回していたので単純な話を見たかったが、筋そのものはそれなりにひねりがある。この手のものとしては失敗してないのは大したもんなんだろう。
「ドクトル・マブゼ」
ラング、メトロポリスでロートバンクやった人が主演の1922年、101年前の無声映画w 日本語版が買えなくて英語字幕なので理解がいまいち。悪くはないけどこれで4時間半は長すぎる。遠隔で催眠術かけるというのは降霊術も込みで時代と思うけど、オチでなんで発狂するのかわからない。
「怪人マブゼ博士 マブゼ博士の遺言」
無声映画「ドクトル・マブゼ」の10年後につくられたトーキー続編。まだ表現主義の匂い。前年の「M」に引き続いてローマン警部登場するのが素敵。超自然的なマブゼ博士の描写はもうやりたかったんですねとしか。ちょうどいい長さで面白いが、ラストは、元部下が教授を殺すのが筋と思うけどそれだときれいではないしそこはもう仕方ないか。みとかんとあかんと思って、現行品なくて高価い中古DVDを買いましたばい。
感想 ゴジラ -1.0 ― 2023/11/04 21:50
ゴジラ-1.0みてきた。ネタバレしますし読まない方がいいかも。
再現風俗(えっちじゃないほうの意味です)は当時もの(ほんまに戦後すぐ作られた映画や、すくなくともそれを直接知ってる世代の作った映画)とはそこそこ違和感あるし、動作(軍隊関連組織での敬礼のありかたとか)など最後まで気になった。
島では戦時つまり従軍中ですが主人公も整備兵たちも兵隊さんにしては髪が長すぎる。見晴らしのいいところで夜に灯りをあかあかとつけて襲撃らしいものがあっても消さない、戦争中だよ?いつまでもバラックというより露店の闇市もなんですが、通してけっこう着ているものが厚いとかちゃんとしてるし、銀座に勤める服がびしっと出てきたがそのころなら個人(そのへんのミシンもったおばちゃん)の仕立てもしくは古着でしょうに。民間人は軍隊式の敬礼するもんなの?海軍出身者たちも、敬礼はもっと脇を絞めて腕をたてるんだよ船は狭いもんだから。病室もなんであんなにきれいな個室なんやと、戦前から使われていた大学病院の病棟をしってるもんとしては思うぞ。
特撮での再現になるが、ゴジラに踏み荒らされる農村地域も田圃は圃場整備されたようなきれいな畦道で、アスファルトとしか思えん白っぽい色の太い道がまんなかに通ってる。家も道も山のそばにあるんですよ昔は。
80年前の情景風俗の考証が最終目的ではないんだから、仕方がないとしないと仕方ない。先に進めん。
いまどきはもう、日本に似た架空の国と考えた方がいいかもしれない。同監督の「三丁目の夕日」がそうだからね。
お話についてです。
こうなるんやなかろうなと思うとそうなる甘い展開は、これは神木隆之介演じる主人公の個人的救済の話だと、浜田美波演じるヒロインの最後の台詞が規定したから、そこはそれでいいです。こういう甘さは持ち味と考えた方がいい。
それでおわってもいいのですが、、、こっからお話細部の筋立てとしてどうも納得いかないところに突っ込みをいれるわけですが、、、
電車から海にふり落とされたあと、なんとか陸にもどったらしいヒロインがなんでわざわざ銀座のゴジラの前を歩いてるんや。銀座と限らないという反論はあろうが、だったら主人公は彼女を見つけられるとは思えない、銀座に勤めてるから来たんでしょ。
むこうで爆発がみえたのに戦争をよく知ってるみなさまがぼーっとそれ見てるはずもない。それでふっとばされたヒロインも描写からして生きてるのがそもそもおかしいがそれならせめてラスト、腕一本くらいなくなって顔中ケロイドになるくらいじゃないと説得力がなさすぎるし、そうしても話の邪魔にはならない。
描写の流れの上で、脱出してから後ではじめて脱出装置の説明するのは、ただのあと出しで、お話のつくりとして助かるのが一択とわかってるだけに、あーあと思った。なにより、脱出する気があるならヒロインの写真を捨てる予定の操縦席におくか?だったら突入前に回収動作をいれればそれが伏線になるのに。
オリジナルの真似っぽいけど、なんでゴジラにむかって敬礼するのかよくわからない。オリジナルでは自分を新兵器の秘密ごと犠牲にした芹沢博士に対する敬礼でしょあれ。敵ながらあっぱれ、じゃないでしょうここは。
総じて「辻褄よりノセるのが大切」でおす感じがするしそれは珍しくないけど、辻褄あわせてノセてほしい。
ほとんどの役者は台詞をききとりにくい。特に割烹着の安藤サクラは何やってるひとなのかよくわからないのはさておいても重要な役なのに、さっぱりいうことがわからなかった。いまどきの役者さんはたいがいそうです。映画の録音技術がよくなって、滑舌をむかしほど気にしなくなったせいか。私の聴力が弱いのがまずあかんのだが、日本語映画でも日本語字幕が欲しいと心から思う。
浜田美波は当時の女優のしゃべり方に近くて聞きやすかったし、全体よかったと思う。
佐々木蔵之介もそれらしくてよかった。吉岡秀隆はどこにいてもかわらんね。神木隆之介はむつかしい顔で苦悩して泣くばかりだがそういう役なのでなんとも。
こっちは哺乳類なので、子供の泣き声には心が動く。
まー、テーマそのものはしっかりしてるからこういうのもあり、というところで、私自身の好みを別として言うのであれば、歴代ゴジラの中ではそこそこ点数高いんじゃないですか。こういうの好きな人多いでしょ。「ゴジラ映画のニューシネマパラダイス」というのが私的にはぴったりな感じかな。あれもずいぶんまえの映画になった。
ただ、嫌な話にしてしまうんですが、パラシュート以降は、主人公がゴジラの口に飛び込んだ瞬間観た幻にしてしまったほうがなんかしっくりくるなあ。
パンズラビリンスや未来世紀ブラジルみたいでそれはそれでありきたりなんでしょうが。
観た映画 Barbie など ― 2023/09/18 21:13
「シン仮面ライダー」
Movix京都
それなりの客の入り。伝説的な作品のリメイクとしては、この、ふつうさは、ちょっと、たいしたものかもしれない。もとの設定自体が無理無理なので、もうええやんというか、いまどきお話として違和感ありまくり。しかし仮面ライダーだから仕方ない。これ、どこでどこまで売れるんでしょうか、というのが最大の疑問。
「聖地には蜘蛛が巣を張る」
Uplink京都。イランのネタだが撮影はヨルダン。こういう場所ならこんなもんやろという感じ。
「きさらぎ駅」
尼プラ、けっこうよくできた胸糞な話。
「テイクシェルター」
尼プラ。「基地外の妄想かと思ったらやっぱり予知夢でしたテヘリ」かい。
「クローバーフィールド」
尼プラ。怪獣そのものじゃなく右往左往する人間たちをメインにというのは日本でもあったと思うが、まあ面白いと言えば面白いけど怪獣そのものの魅力なければただの大災害パニック映画なんやな当たり前ですが。
「青いカフタンの仕立て屋」
Uplink京都。お話としてははやいうちから先が読めた。子孫につながらない生殖行動は集団とか社会のしめつけがきつすぎることで増えるバグという偏見をもつに至りつつある。だから個人ではどうにもならない。
「俺たちに明日はない」
DVD。クラシックとなるだけのことはあるちゃんとした映画。エバーグリーンという感じじゃないが、つまり作家性自体は高くないんやろな
「ジュリア(s)」
出町座。このsは複数形。軽い事前情報で想像したそのまんまの映画。「塞翁が馬」を映画にしたかったのはよくわかる。最後に全員どっかに集まるかと思ったらさすがにそれはなかった。こういうひねり方はヘプバーン主演「いつもふたりで」を思い出させるねえ。みんな考えるけどあえてやらない、感じか。
「インディジョーンズと運命のダイヤル」
movix京都。新作のドルビー版は観客十人もいなかった。ちゃんとみられる出来だしご立派、ですが、もうええやんなあとも思った。デジタル若返りは、表情も体のキレもイマイチだけど知ってるからそう思うのであって。4作目見てないのはほぼ問題にならず。歳食ったハリソンフォードって、「もう若くない男」しかできなくないか(暴言 その年齢にふさわしい重さ(気のせいであっても)がないような気がする そういう演技か、というのも含む。
「インディジョーンズ クリスタル・スカルの王国」
DVD。マリオン?息子?で、こっちもちゃんとみとこうと思ったが、テレビでかなりの部分見たかな。どこまで広げる風呂敷ぞ、といったところか。このつぎはたしかに時間を超えるしかないわな。
「君たちはどう生きるか」
movix京都。庵野さんは同一分野再生産やりまくったが宮崎さんはもっとストレートに大々的に自己再生産しまくってけりつけたんやなあと思うなど。総集編か。いままで、つじつまがあわないのは締め切りのせい(千と千尋なんてあきらかにそうだった)と思ってたけど、今回は締め切りは問題にはならなかったと思うので、たんにつじつまのあわん人なんやろなあ。宮崎アニメにしてはあたらしいモチーフというのは、母親が死ぬことを知っても主人公と若い(神隠し時の)母親がリアルにもどっていくとこかなあ、よくあるといえばよくある でもそれを使いたかった、というのはなんか意味あるんだろう。
「アフターサン」
uplink京都。過去の映像が、その過去の状況(回想)にはさまれ、あいまに現在が混じる。その現在が殺伐としている事しかわからない。それにしても「少女である」というのは一度限り回収不可能なたいへんなリソースなのだねえ。
「世界でひとつの彼女」
DVD。ちゃんとオチてはいないけど、きれいにまとめた、ありがちなSF。
「つばさ」
尼プラ。無声映画末期のもんですが、トップガン最新作に至るこの手の映画の要素は揃ってる。空中戦はがんばってる、実機なんかねあれは。クララ-ボウはかなりのぽちゃやったのね、「 it」 はもう覚えてない。
「ロブスター」
尼プラ。基本設定はわかる。こまかい設定に穴がいっぱいあるのはともかく、なんで最後に春琴抄になるのか理解できない。
「ゴジラモスラキングギドラ大怪獣総攻撃」
DVD。演出も特撮もちゃんとしてる。脚本もそれなりにそれっぽくできてるのに、なんでなのかこの今更感というのか袋小路感というのか。役者は仕方ないにしても。
「さらば愛しきアウトロー」
DVD。レッドフォード、悪くはない、ぬるいけど。イケメンは老けるとギャップがすごいな。設定の73歳にすら見えない。
「サスペリア」
旧版 DVD。あちこちたぶんテレビで見た。いかにもでお手頃、ラストが胸糞でもないし、照明が赤っぽいのもいい。辻褄は気にしない。
「マリグナント」
DVD。それなりによくできた、スプラッタ。ホラーというには筋がそこそこ通っているから見てるうちにどんどん怖くなくなる。オチも穏当ですけど実際の場合この主人公終生隔離するしかないんでないか。
「ミッドナイト・スペシャル」
DVD。救世主ものかと思ったらかぐや姫であった。「上の世界」の都市らしいものが、新都心再開発の竣工予想図に見えた。
「オオカミの家 同時上映:短編『骨』」
uplink京都。むかしなら京大西部講堂自主上映でやってた感じのもの。こういうひたすらイメージで押していく感じのコマ撮り多用映画はすごく久しぶり、途中眠くなるのも懐かしいが、かなり政治的な読み方ができるのがなんとも。共同体を無視した個人主義の持続不可能性というのか。
「Barbie」
movix京都。出町座のカサベテス特集と迷ったが、島田虎之助がカサベテス観たいだのアイドルはあかんだの書いてて、シマトラは漫画はいいけど書くことはたいがいおかしいので、これもアイドルかと思って観に行った。アイドル映画とは言えんけど。
冒頭「2001年」のパロディで笑う観客皆無。知らんのだろうなあ今時はもう。
そこそこちゃんとした映画だった。いろんなものをすっとばすのは仕方ない。オトすのに苦労していた。
主演がアン-ハサウェイにしか見えんかった。
バービーのいないケンがいつまで自分を保てるのか疑わしい。セックスは男にはファンタジーだが女には岩盤リアリティなんだと思うなどした。。
世代を超えて持続する社会集団は女性を円滑に分配するシステムを持つものだとも思った。いいとかわるいとかは言ってません。
映画 イニシェリン島の精霊 ほか感想 ― 2023/03/18 13:14
映画「イニシェリン島の精霊」みてきた。ネタバレします。
テーマは、凡庸の呪い、とでもいうべきか、気楽でひとはいいけど退屈な男に、友人付き合いしてきた音楽家がいきなり縁切りを告げるのですが、「凡庸な男に時間を食われるのが嫌」よりむしろ、「自分のなかの凡庸さをこの男を通して見るのが耐えられない」からじゃないかという気がする。
理屈つけて考えようとすればいろいろ考えられる映画ではあるが、それよりもである。
この音楽家が自分の指を切り落とし、「興奮してるせいかあまり痛みは感じない」とか言ってる。
そりゃないやろうと、chatGPTに、この音楽家が指を落としても痛みをあまり感じない原因として可能性のある病気を訊いてみたら「糖尿病」という非常にもっともらしい答えが返ってきた。
太ってるしよく吞むし。
それをいうなら「イニシェリン島」というのもなんかそれっぽいなあと、いや偶然でしょけどね。ランゲルハンス島とまではさすがにいかない。
だったとして、まともに糖尿病治療中とも見えんし、コントロール不良状態ならそう指ぽんぽん切ったら感染で死ぬ。
そうじゃなくてもでかい鋏でたんに切り落とすだけという設定だから、感染の描写はないのかと私はずっと気にして観ていた。
犬が鋏を使わせまいと引っ張っていく場面からあとのこの映画は、しつこくくどくいろんなネタをばらまいて冗談やってると思う。
知人から聞いた。糖尿病黄斑浮腫に関するなんかの治験で、参加してもらった糖尿病の患者さんで小刀で指の先を切り落とし、そのまま捨てたという人がいたそうな。
当然治験においては有害事象になったという。この方はわざと切り落としたわけではないけど、切り落としても平然としてたらしいです。
話がずれました、糖尿病というのは勝手にこっちでくっつけた設定ですから念のため。
ほか、ホームシアターで観た映画。
「テルマ&ルイーズ」 彼女らの目の前に出てくる男がマッチョか女たらししかいないのがすごいな。追跡する部長刑事(っぽい)だけやたらまともだし、なんかいろいろ変、しかしこういう居心地の悪さの上に男にとってのフェミニズムが立っとるんやろう。
「グリーンブック」 いちばんきつそうなところはするっとかわす感じで面白かった。
映画感想集 ― 2023/01/14 18:49
昨年8月以来、映画館で見たもの。uplink京都が多い、
「ボイリング・ポイント/沸騰」 キャパ越えて仕事なんかするもんやないなあというどうでもいい感想しか出ない。いやキャパ越えんと、自分のキャパはわからんのですがね。90分全シーンノーカット撮影という手法は、ビデオの記憶容量がもつだけ録画できる今の時代には、フィルム限界の15分おきにカットで誤魔化すヒチコックの頃より可能なだけに、いろいろ厳しいと思う、料理も出すしようやったね。バードマンのノーカットはすごいと思ったけどあれは合成だし。
「アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台」 関係者には悪夢だろうが、囚人たちが役者に目覚め「ない」のがええんやろな。
「NOPE」 いろいろ政治的に正しいのだろうが黒人俳優のイキリがちょっとうざい。頑張ってお話をつくってる。いまどきビジュアルもたいしたことないし、ブレットトレインのほう観たらよかった。
「ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブル」 もともとフィンランドで人気の原作があるそうで、その辺知らずにいきなりみてもふうんとしか。国民的人気者が国境を越えるのは難しい。
「Wanda/ワンダ」 リアル70年代アメリカの殺伐としたインディー、カサヴェテスに通じる雰囲気。もうどうしようもないなあという感じしかしない。
ホームシアターでみたもの。
「プラダを着た悪魔」 アン-ハサウェイにもメリル-ストリープにも感情移入できるようつくってあるのはえらい。将来に悩む女子大生あたりにウケるわけやなこれ。
「オリーブの林をぬけて」 「そして人生は続く」のさらにメタ的続編。いいんですけどね。若くて無学で貧乏な男が勉強好きの女子に半分ストーカーになるんですが、自分も字を読めるように勉強する、となんでいえんのかなとは思った、そういう男の恋、なのはわかるけど。
「シカゴ」 「プラダを着た悪魔」でアン‐ハサウェイと父親が見に行った設定だったので、手持ちにあったから見たが、このDVDは歌のほとんどが訳が付いてなくて面白さが減る。どんな映像でも作れてしまういまとなっては正直ミュージカルという形式は舞台でみたいものだし、薄着の女が踊るのを見ても何も思わないのですが、オチはぬるいながらよいものではあった。
「テネット」 絵面はなかなかすごいけど、ほんまにこれで矛盾がないのかようわからん。まあ矛盾のないタイムトラベル(逆行ですが)ものなんかないし、映画だと否が応でも最後まで連れていかれるからなあ。あと、安売りDVDははじめにいっぱい広告が入ってうざい。
「ファミリービジネス」 安倍元首相が、映画監督になりたかったとか、自分のやってることをファミリービジネスだとか言ったらしいんでみた。人間性の問題を「愛」の問題と登場人物が一方的に言い散らかしてるのがおかしいようには思う。ただ、地位そのもので食うもと貴族富裕階級と、仕事を渡り歩くビジネス層のあいだで、自分でやっていくだけの「家業」をもつ旧中間層に関する欧米社会の思い入れはけっこう強いそうで、その「家業」を犯罪行為に持ってきたこの映画はパロディとしてそこそこ「刺さる」らしいのですな。
「永遠の子供たち」 デルトロの映画は数作しか見てないが、たいがいあっち側にいってしまう。いってないパックリムもあったけど、実はあれもあっちにいってたんかな。
「パラサイト」 同名のものはあるがこれは原題「The Faculty」で宇宙からの侵略ネタ。20 年前ぽいつうか、いきなり巨大化するけどどこからその質量と思うし。途中までボディスナッチャーやけどあとはそれなりのパターン。それなり楽しくはあった。
「あの頃ペニーレインと」 70年代にありもしない郷愁をかきたてられるような2000年の映画。ペニーレインとの距離感が若者。最後のモロッコ行きは、おとぎ話にしたかったのだろうと。自尊心は大切。
「フォレスト・ガンプ」 いまより単純だった世界の総集編。
「運動靴と赤い金魚」 致命的なこともおこらない、いい映画じゃないか。
「真夜中のカウボーイ」 都会に出てきた、層には刺さるんだと思う。つまり都会の子にはウケないと思うがどうか。
戦う集団としての部活 ― 2022/10/16 10:40
SNSで特撮関係のところにいっても、中高年メインだといつまでたってもウルトラセブンがどうのアンヌがどうのといってる。
どうしようもないなという気分になってきた。
で、ウルトラマンティガでも見てみよう思いたったが尼プラにはない。TSUTAYA の配信は30日無料というが52話なんか見られるわけない。
そこで、ウルトラマンZがティガに続くオールタイムベスト2であるといわれまして、これは尼プラにあったのでみたのです。
以下、2話見ただけの個人の感想なので気に入らん人は読まないで。
途中から笑いが止まらん、お笑いウルトラマンですかこれは。
むかしからのお話のパターンも踏襲してる。目をつぶって相手の場所を感じるとか。総じて、わかってやってるのはわかる。でなけりゃ、戦闘ロボットをあの形にはしない。
メダルとか、まあお話づくりの道具は頑張ってるなと思いました。
はじめに、犬を助けに行くところで、お笑いという位置づけにした。
ここで、犬を見殺しにすればいいというんですかという問いに口ごもっちゃいけない。周囲に被害をもたらさずそれができない時点でおまえに犬を守る能力はないと返さないとあかんわけで、たぶん軍組織のしっかりした文化ならそうなる。この連中は、マジの戦闘集団じゃなく、怪獣退治サークル活動とでもいうべきもので、これを描くのに適したスタンスは、お笑いなんです。
悪いと言っているのではない。
私が「宇宙戦艦ヤマト」が嫌いなのもそこで、あれって、イスカンダルを目指す「部活」やってるようにしか見えないんですよねー。甲子園目指す野球部ものと、精神的なスタンスはまるっきりいっしょ。
ひとつの目的に向かって進む組織、として一番日本人、とくにこういう番組のターゲット設定の「子供」にしっくりくるのが、「部活」なんですね。
ここで悲壮感いっぱいでやってもらうと、勘弁してくれという気分になる。
「戦う」組織がどういうものかちゃんと提示できない国でえんえん「守る」フィクションがでたらめに量産されているのが面白いと思います。
部活的なパターンが悪いと言ってるんではないです。
アメリカ作品の場合、軍の基本の描写はしっかりしているのです、トップガンやマーヴェリックみればいい。宇宙大作戦(TOS)にはまった私がヤマトをうけつけなかったのはそういうことでして。
これは、社会の中に軍やその組織が実物大に認識されているからと思う。
でも、日本の防衛組織である自衛隊は、残念ながらそうはいいがたい。その結果、描写の代替品がお笑い部活になってしまうのは、日本で広い範囲に共感をもって受容されるのが「高校生活」だからと思うのですね。だったら部活そのものを舞台にした方が、ちゃんとリアルで、むしろ普遍性を持つだろう。
日本の場合、防衛隊なんか舞台にせず高校の部活みたいなのりでなんかと戦うようなもんがほんまはちょうどいいので、実際そういうのが世界に通用してる気がする。
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