医療法の改正 ― 2025/04/23 11:24
令和9年の医療法改正では、「地域医療構想」がいろんな構想のもとになるらしい。
現在の構想では、医師過多区域と指定されたら開業時その地域に不足している「医療機能」を要求されて、拒否しても正当な理由とされなければ最後厚労大臣まで話が行くらしい。
医師過多区域の要件とか、医療機能の定義とか、大臣までいったらどうなるのかまでは、いまのとこようわからんけど、「こいつはいうこときかんやつや」と公表はされるそうです。
開業自体は出来るので開業規制ではないと厚労省は強弁している模様。
それと、オンライン診療受診施設というものが、病院医院とはまったく別の概念として、ほぼ自由開業として構想されてるらしい。初診も可で公民館なんかでやってもいいということですと、これは「振り分け機能を持つ医療相談係」を想定してるんじゃないか。
なんかもうどうなんのかねえ。
法案が一括法案で膨大で、ぜんぜん知らない議員も多いとか。
目的は保険医療財政の維持なのですが、つまりがんじがらめにしていうことを聞かせようという話。
しかし強制力は、最終的には、保険医療機関として認めない、というポイントでしか発生しないので、自由診療施設が増えたらどうにもならない。つか、財政的にはそのほうがいい。
なんか保険医療を政府のほうからつぶしつつある感じになってきたかな。
たとえばその医療機能というのが「日祝日の診療」「夜間診療」「訪問診療」だったとしていったんそれではじめて赤字とか従業員ナースが集まらないとかで結局届け出を変更するとか、先行開業医が廃業したので今後はそっちの診療内容を引き継ぐとか、理屈の上ではふつうにありそうなんで、とにかく厚労省(バックは財務省)が狙うようには全然いかんのじゃないか。、
まず開業医が減り、医学部にいく優秀な人材が減り、というところまでは生きてるうちに見られるかと思う
by 稲亀石 [医療] [社会] [コメント(0)|トラックバック(0)]
処方薬の一般薬化 ― 2025/03/31 10:43
一昨日中医協に関係の深い先生の講演聞いたが、制度についての説明はよくわかるものでしたが、なんかの質疑にこたえて、日本の医療費支出はGDP比では諸外国より低いんだからもっと上げるべきと言っていた。
いまそこに出せる金がないんだから、その分を国民から徴取するのであれば、つまり税をあげろということか、この先生にしてこの認識なんやなと思った。
比較する各国の医療制度が随分違うんやけど、一般薬相当は保険適応なしにして、高齢末期延命治療に高額医療費制度適応もなくして、やっと諸外国(ヨーロッパやけど)と一緒と思うんですけどねえ。この2つで底の抜けた状態になってる。ここの穴を制度としてふさがない限りなにやってもあかんでしょう。
法律の縛りのある税金より、政令でかえられる年金保険料のほうがいじりやすいのでそっちがどんどん肥大化してますが、逆に、手軽(というと悪いが)に上げられるので、いままでの軽症者多数処方路線も末期高齢者とことん治療路線も変更が効かない。
ここでGDPとか言って社会保障に回る金をさらに工面しても、底の抜けたバケツに水入れてるだけ、まず底抜けのシステムを何とかせんとあかんはずですけど、老人向けに政治ができてるからなんともなりそうもない。
それで、OTC薬化とか、その一般薬化とか、先発品の選定療養化とかいう話が来るわけです。
保険収載薬のジェネリックがうまく流通しないのは、少量生産だからといって業界再編がどうのとやってますが、なんといっても薬価を絞りすぎなんだし、製薬会社側はもう保険収載やめて値段を好きに決めたい模様。
医師会は軽症者多数処方路線(受診回数を増やして金にする)で食えなくなるのが嫌なので保険収載薬の一般薬化に反対してるのが目に見えてますが、もと保険収載薬だった一般薬を医院で売れるようにすれば一気に賛成に回ると思う。
薬事法がという話もありますけど、保険収載薬だったというところで、特例にする。混合診療問題は、選定療養にすればいい、そのための選定療養制度でしょ。
消費税課税業者になることを条件にそれを認めるのが手やろうと思ってます、私自身は嫌ですけどw
こんなに社会保障に金使ってるのにその分野の就業者の給料が安いと問題になるのはわかるけど、そもそも「原材料やそれにつながる産品を生み出す」か「外から金を持ってくる」かじゃないと、日本のお金は増えません。
高齢者に懸命に介護医療しても日本としてのお金は増えないわけね。医療で金を生むなら、医療技術や製品を外国人に売るしかないです。
かなりきついと思いますが。
by 稲亀石 [医療] [社会] [コメント(0)|トラックバック(0)]
国民皆保険のなれのはて ― 2025/03/14 18:28
国民皆保険は1961年に完成した。
医師が保険制度に協力して成立したから、国に対抗して保険医総辞退という荒業も早期には可能だった。
本来、「保険」というものは、いざというときに役に立つ、という程度のもののはず。
ところが、専門をもって開業する医者たちは、それまでなら医者にもかからんかった軽症者をちまちま集めて金にするというスキームで儲けるようになった。
そうなるとこれは美味しい制度です。
労働人口は多く保険年金料が国庫にバンバン入るもんで一時期は高齢者自己負担なしなんて馬鹿げたことが起こった。健康を安価に丸投げできる錯覚で医者に通う人が増え、のちには「予防が大切」という美名もつかわれた。
死なないようとことん病院で治療しても金になった。すべて出来高だった。
そこからじわじわ労働者が減り高齢者が増え、財政が悪化して点数が下がっても、保険に依存してしまった医者患者は、開業医の軽症者多数診療と病院の底なしの終末期医療から逃れられず国庫の支出は爆上がり。
いまや歳出の3分の一が生活保障関係で、高齢者医療は大きな部分を占める。少なくなった勤労者世代からの年金保険料では全然足りない。国債もこれ以上は出せない。当然、国の締め付けは厳しくなる一方。保険使用状況チェックのため電子化も図られ医者側の事務や設備負担も増大。
保険制度下で専門医が多数の軽症者のあがりで開業維持するのはすでに困難。病院は補助金で維持されてる。
そら新規に医者になるもんで直美は増えて当然。
つまりいまおこってることは、高齢者の少ない高度成長期の余裕につけ込んだモラルハザード(あえていう)のなれの果てなんだと私は思う。
労働力再生産でない分野の医療は「ものを生み出す」ことにつながらないのだから、余裕の範囲でしかできることではない筈。
かにかくに、高度成長期の医者のウハウハは制度の産物だったわけで、今はもうちょっとでも金になるところは厚労省が穴を塞ぎに来る。医療機関はそれでも穴を探してうろうろする。それをいいことに厚労省はどんどん医療側の負担を増やしながら都合の良い制度にしていこうとしてるけどそれは保険制度にみんなしがみつくという前提なわけです。
せめて歯科並みに自費にできる裁量分がなければ直美が増える一方で、制度崩壊やむなしなんですがどうなるんかな。
選定療養の拡大が今後どう進むか、ですかね。
かかりつけ医機能報告制度の推進で特に田舎の高齢開業医が壊滅することになったとして、じゃあ総合医目指すもんがそんなに出るかというと、ゲートキーパーしかできない、専門医以上に制度次第でしか生きていけんもんが全国民にいきわたるほど出るんだろうか。
専門医がじかに売り始めたら総合診療医もなにもないので、Aiに入口の振り分けをさせたほうが全体のコスト下がるんじゃないですか。
by 稲亀石 [医療] [社会] [コメント(0)|トラックバック(0)]
かかりつけ医機能報告制度 近し ― 2025/03/12 23:55
かかりつけ医機能報告制度というのが4月からはじまるという。
国としては国民みなに、健康の責任者としてかかりつけ医を貼り付けたいわけで、本来はなんもできんでもゲートキーパーできる総合医的なもんを想定してたんですが、そんなもんそんなにいないしなりたがる人もいない。
そこで、現状でとにかく誰かを貼り付ける、そいつがどういう状況下とりあえず報告させて、国の求めるレベルに達しているか確認するぞ、そのうち、そのレベルじゃなきゃ認めないぞ、という感じです。
対応可能な疾患40のうちから選び、この制度に関する研修を受ける。
加えて、その施設での以下の状況について「報告」するのね。 報告内容は、研修修了者等の数、オンライン資格確認・電カル・電子処方箋の有無、全国医療情報プラットフォームの参加など。
そのうえで、診療時間外にも患者やカルテとつながれる体制、病院との連携(入退院支援)、在宅医療の提供、介護との連携、地域医療との連携についてさらに「報告」するという仕組みです。
はじめは「できてないけど予定」でも構わないというところからはじめて、そのうち、できなきゃすまなくなる。具体的手続きはまだ不明。
事務処理ってぜんぶコストやねんけど、役所はDXをいいことにぜんぶこっちに放り込んできた。
日本の開業医はほとんどが専門医開業、入口の個別疾患診れるっても、そこまで面倒みられんところのほうが多い。
どんな優遇があるかも不明。でなきゃ苦労するばかり。
でも、加算とかの優遇を付けるならおそろしくややこしいことになるな。フリーアクセスなんだから、かかりつけ医に行かない方が安くなるぞw
電カル必須なんですが30年の導入目標にあわせてクラウド型電カルが開発されつつあるとかききます。各科のフロントに合わせたカスタマイズも必要でたぶん義務化はもっと先でしょう。
それにしても、そこまでやってられないし、収入も減ったしそんなもんにもう出す金もないしで導入できず廃業する開業医はどかんと出るでしょう。特に田舎の高齢の先生とか。
その受け皿として、往診の16キロ縛りは外せという話ももう提言チームから出てるんでかかりつけ医は遠方でも可、遠隔診療の枠を広げるのもその流れですね。
再編で市町村もでかくなり自治体の責任でおく施設も減った。医師過疎地域は公費で整備された道路を使って遠くても中核病院に行けということになるんでしょうが、中核病院にかかりつけプライマリ部門を作らないとどうしようもないことになりそうな。
それで総合医をどんどん拡張し、市街地でもどこでもゲートキーパーにしていこうというのが厚労省の絵に描いた餅かと思ってますがどうなるか。
保険医療にへばりついて厚労省のいいなりになる医者しかいないのがこの構想の成立する前提なんですが、あほらしくって直美はむしろ当たり前でしょ。
体制をかえたいのはわかるけど、たぶん医者たちは厚労省の思ったようには動かない。gdgdになってまたやり直しになるんだろう。
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近視進行予防点眼 ― 2025/02/27 17:02
近視進行予防で低濃度アトロピンが認可された。
自費医療になるのでどう扱うか、発売元の製薬会社がwebセミナーするらしい。
アトロピン自体は劇薬扱いだから安全をということかもしれんし、報告はちゃんとしてるんでしょうがほんまに 0.025% で有効なんかいな、リバウンドがないとか、まあセミナーで教えてくれるんでしょうが
自費になるので薬自体けっこう高価になる。ふつうにでてる1%アトロピンを生食で薄めて、無料で出したらあかんのやろかとは思う、たぶんあかんやろうしなんならチクられてなんかな目にあいそうな気はするけど
ところで、いままで認可されてない同様の点眼を自由診療で出してるクリニックがあちこちにあるんですねえ、たぶんシンガポールからの輸入品なんだろうが、認可されてない点で薬事法上どういう扱いになるのか自家調剤と何が違うのか。
どう調べたらわかるんやろか。
その、輸入点眼薬ですが、これがまた、調節性眼精疲労や調節緊張に処方できる硫酸ネオスチグミン製剤とほんとに名前が紛らわしい。一瞬勘違いするところだったです。
by 稲亀石 [医療] [コメント(0)|トラックバック(0)]
日本の医療のどんづまり加減について ― 2025/01/17 10:42
昭和36年ですか、国民皆保険になって、目先の効く医者は、たくさんの患者をちょっとしたことで何度も来させて軽い薬を出して稼ぐようになった。薄利多売と薬価差益ですね。
出さなくてもいい薬で医者たちが潤い、一時は高齢者自己負担ゼロになって診れば診るほど稼げるようになった。たまに個別指導が入ったって、みんながやってるんだからどうしようもない。
これは若い世代がおおくて医療費もあまりかからずにすんだ時代のビジネスモデルなので、少子高齢化の今も基本これを踏襲した保険制度を続けること自体に無理はある。
そんな医療でも寿命が延びたのは、医療のおかげというより、栄養状態と衛生状態がよくなったおかげのほうがはるかに大きいだろう。
技術革新で高価い薬高価い治療がバンバン出るようになり、みんなそれをお気楽に欲しがる。効果が弱くても有効なら保険に組み込まざるを得ない。高齢者が増えて現役世代の負担では支えられなくなっていく。
安い薬をだだらだ出すのはもう無理な状況で、医者が出したがるのはそれで稼いでいるからだとばかり医薬分業が図られた。でも、薬を患者たちが欲しがる状況はかわらない。そこで薬価を下げたら、まともに薬がつくられなくなっていった。
どうでもいいことでちまちま診る、家でおとなしくしていたらいいような急性疾患でもみんな医者にかかることで稼ぐ医者のありようはかわらない、むしろ点数が下がって、医者のほうはさらにちまちま患者を診ないと生活できなくなってきた。
しかし患者のほうはかかりつけ医になにかあったらかかる習慣を若い世代ほど失っていく。
ここで保険点数がさらに上がって、日常的に医者にかかる習慣がさらに失われたらほとんどの医者は干上がるだろう。
そこへやってきたのがデジタル化の波である。おそらく、現在の高齢開業医たちのうち後継者のいないものは、これを機会に多数が閉業するだろう。
田舎ほどそれは大きくあらわれる。そうなると、かかりつけ医を国民全員に割り当てるなんて無理になっていく。
すでに国は往診の距離要件を撤廃する方向にあり、Web受診も電子処方箋も医療が遠隔化していくことを見通しての制度化である。
現在の、専門医志向の高い開業医が、専門外についてはあたりをつけて患者を回す、というやりかたは、紹介状を書かない開業医が多く、すでに破綻している。
いまの国のかかりつけ医制度の方向は、日医とのやりとりでずいぶんゲートキーパーの意味が薄れて、どういう設備でなにができるか報告するというわけのわからないところからが出発点になる模様。
とにかくかかりつけ医となったら紹介状位かけよという程度のもののようですが、かかりつけでなければ書かないのか、かかりつけ以外かかれないのかというところで整合性が難しい。
基本的な軽症には対応するがそれ以上の症例は専門医に回すしかできない「総合医」を国民全員に割り当てられるくらいの数でいまから教育修練させて、その分減った専門医は設備の整った施設で高度医療を、というところに厚労省はいまからもっていきたいようだがそんなことが可能なのか。
各種交通インフラの整備はこの方向にあるとはいえ。
現状の日本の医療は、日常はアクセスよく安くそこそこちゃんとしたレベルのものが供給されてきたが、日常に最適化して、高度成長期の流れで大きな公費負担を背景に可能なので、緊急事態には身動きが取れない。
緊急時に動けるというなら、高度ではないが急性期の医療についてはER化し、繰り返すが、日常医療について医療相談は何もできないかかりつけ医が行って、専門医のいる高度医療施設にはそこへんから紹介するシステムになってしまう。
まず現在の開業医が壊滅状態にならないとシステムの移行なんか起こらない。田舎ではともかく、都会ではなかなかそうもならないでしょう。
日本の医療はどんづまりにきてないか。
by 稲亀石 [医療] [社会] [コメント(0)|トラックバック(0)]
薬価に思う ― 2024/12/20 21:36
薬価2500億円引き下げ 国費600億円減、25年度
12/18(水) 20:24配信
共同通信
「政府は、医薬品の公定価格である「薬価」を2025年度に引き下げ、約2500億円削減する方向で調整に入った。国費ベースで約600億円の抑制となる。公定価格より低い市場価格に近づけることで、医療費を抑える。複数の関係者が18日、明らかにした。」

競争で何とか安くした値段に薬価もっていったら利益がないんだからそのうちやっていけなくなるのはあたりまえやろう、何考えているのk。
しかもせいぜい600億の節約。いや額自体は安いとはいわんけど老人の社会保障で70兆ですからね、1%にもならない。
どんどん薬価下げて、儲からなくて金をケチって管理ができなくなってとまる工場がでてきてダメダメな状況でまだ薬価下げるんか。
むしろ、有効性の低い薬の自己負担率をあげるべきなんじゃないのか。
医者はへんなプライドはあるしいまどきはつぶしもきかんから、けっこう踏まれてもどこにもいかん。
けど、お薬の製造も販売も商売だからね、だれも薬を作らなくなるよ。中国からの原料輸入に左右される現状。
新生血管ができて0.1切った視力を維持できる可能性をあげるために数か月ごとに10万以上する薬をうち続ける、その一部負担金が、たとえば生活の質をがらっとあげる白内障手術と負担割合が同じで、ものによっては値段がより高価いだなんてどう考えてもおかしい。しかも差益はおそろしく少ない。
すでに薬価に関しては日医は、それはもう製薬業界のほうで頑張ってくださいという態度ですが、薬がないと騒ぎながらそれはないと思うんやけどなあ。
安定供給は製薬業界の責務と科勝手なこと言うなら、値段についてはせめて足引っ張るのやめてやるべきでしょうが、
by 稲亀石 [医療] [社会] [コメント(1)|トラックバック(0)]
日本の医療DXの現状 ― 2024/10/06 21:38
各種データとともにデジタル化された様々な業務を端末システムから行うことが可能になりつつあって、これらの動きはデジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれる。
保険医療行政におけるDXの推進の目的は、主に国民の医療サービスの質向上や効率化、持続可能な医療制度の確保であるとされているわけです。
その目的に沿う限りDXについて異論をはさむ気はない。
しかし、、、現状でのDXは、各種手続きを自前の端末で行える、という程度にとどまっている。
賛否はあろうが、療養の給付に関して、クラウドにまともな電子カルテシステムが共有され医療行為が保険点数に自動的に紐付けされて即時に窓口負担分まで計算されそれを通せば返戻も減点もないシステムが保険者から無償で供与されるならほとんどの医療者はDXに肯定的になるだろう。匿名化された個人データの共有も統計処理をまともにできるなら医療の有効性の向上に有用であろうから猶更である。
これはほとんど皮肉で書いている。「まーできるわけないよね」
すでに労働人口減少社会となった日本では、すべての局面において不要なコストの軽減は重要。
各種許認可や手続きにかかる時間も手間もコストです。
すべて不要なものとは無論いわないが、その手の規制の中で仕事するのは、手足に重りをつけて動くようなものです。当然ながら生産性は落ちる。
現状のDXは、現場の手間を省き生産性をあげるという方向には向かっていない。
むしろ行政はいろいろな手間をネットやデジタル化を通して現場ユーザーに放り投げつつあります。ユーザー側はそのつど端末に向かわねばならない。手間をユーザーに丸投げできるようになった上は、規制を増やすことに行政側が躊躇する理由はないわけで、実際、今回の保険改訂でも、療養給付にかかわるとは言えないベースアップ評価料や煩雑な管理料などの手続きが現場に降りかかってきた。
しかも各部局がそれぞれ行うものだから、おなじ厚労省でも担当部署が違うとこちらに割り当てられるIDが違うなど、いい加減なことがおこっている。問い合わせてもたらいまわしになってまともに返事も来ない。うちのG-MISのIDはいまだにわからないままですわ。
管理する側からすれば、いろんな枠組みが細かく厳格に区切られ、乗り越えるたびに情報が残るほうがやりやすいに決まっている。行政はすべからく規制を増やしたいという本能を持つのです。
いっぽう管理される側にすれば、手間が多いものに近づくのはなるべく避けたいのは当然。規制の多い分野は参入者が減って、その分野自体が成り立たなくなっていく。
平成21年教員免許更新制度が導入されさまざまな手続きが教員に降りかかり、雇用レベルが維持困難になってけっきょく更新制度は令和4年に廃止された。
盛りだくさんなかかりつけ医制度の構想を見るにつけても、医療行政においてその二の舞が演じられつつないか。
かって米国のトランプ大統領は、ひとつの規制をつくるときは2つの規制を廃止するべきというルールを提唱した。トランプ大統領の実際の政策についてはともかく、DXの推進に当たっては、日本の今後に必要な分野であるほど、それを規制強化の手段にしてしまわない歯止めがいる。
今の日本にその動きがあまり見られないことを憂慮するべきと思うが、憂慮したってねえ。
こないだの総裁選でも社会保障についてはほとんど争点にならなかった。あれ、もうどうしようもなくて争点にしようがなかったんでないかい、となれば、財務省厚労省の路線でここからも続くんだろうね。
by 稲亀石 [医療] [社会] [コメント(0)|トラックバック(0)]
ベースアップ評価料 ― 2024/07/23 08:58
今回の保険の改訂で、ベースアップ評価料というものが算定できるようになった。
勤務する医療従事者の給与に回すという条件付きで一定額まで算定できるというしろもの。
これの計算がかなりややこしい。
そのうえ、算定しなければ従業員の士気にかかわりそうだし、療養の給付と関係ないのにそれがレシートで表示されて受診者は何これと思いそうだし。
給与本体に入れると年金保険料まで変わってくるのね、しかも、年金保険料は給与天引きの同額を雇用者も払うというインチキなシステムだからわけがわからなくなる。
ベースアップ評価料を算定しないとまだまだ経営に余裕があると思われるから算定しろと医師会とか医会とかからしょっちゅうメールが来る。
でもねえ、これ計算する手間って、やっぱりお金なのね。
算定する余裕もない、という方に考えてくれんかな。軽く概算して、これいちいち出す方が手間賃入れたら損や、となった医療機関は多いと思う。
医師会かなんかの説明会で、ベースアップ評価料で昇給した分は、評価料がなくなったら減給できるのかと訊いたけど無視されました、
まあできないのがわかって訊いたんですが。
財務省主導で勿体ぶってこんだけつけてやったとドヤ顔で膨大な手間を現場に押し付けて、それでどの分野もダメになってきたんだろうと思う。
by 稲亀石 [医療] [社会] [コメント(0)|トラックバック(0)]
医療機関の口コミと訴訟 ― 2024/07/02 18:40
尼崎の遠谷眼科院長先生が悪質な口コミに勝たれたそうな。
「勝手に一重まぶた」…グーグルマップの悪評削除まで3年 眼科医が挑んだ名誉回復闘争
2024/7/1 08:00 Sankei-web
「「グーグルマップ」の悪質な口コミで名誉を毀損(きそん)されたとして、眼科医院を運営する医療法人が投稿者に削除と200万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。大阪地裁は5月、請求を丸々認めたが、グーグルが投稿者の情報開示に反論したこともあり、口コミの発見から勝訴まで3年の月日を要した。「噓を噓と証明するのが、こんなにハードルが高いとは」。院長の苦闘からは、一つの口コミがはらむ〝罪深さ〟が浮かぶ。」

遠谷先生頑張られて偉いです。
大概の医者は砂を噛みながら我慢している。
「1審神戸地裁尼崎支部は「肯定も否定も率直に投稿できることが信用性を生み出しており、否定的な評価もある程度受忍すべきだ」と指摘した。」って、信用性をあるものという前提でやってる、いつもながら現実無視の地裁なんとかしてほしい。
どういう誰が何を根拠に書いてるかわからないものに信用性も何もあるかよ。
メタでは、投資詐欺に名前使われた有名人のことでこれも悶着おこっている。
プラットフォームを用意しただけという口実はもうやめたらどうか。
そこで誹謗中傷がおこって風評被害が生まれて、そのときプラットフォームに抗議したって、通り一遍の返事しか来ないんだからね。まともに対応する気がはじめからない。
「誹謗中傷のうたがいのある投稿は、IPアドレスを公開いたします」くらいな文言をはじめから載せておいたらどうなのか。
口コミが参考になるとかいう人もいますけど、「どれが本当に参考になる」かわかるのか。
まるっきりのウソを書いてあることも結構ある、うちでも息子が医院内うろうろしてることになってたり(息子はいるけど医者じゃないので医院内にはいない)。
私はもう、自院の口コミなんて一切見ない。
業者が、こんなこと書いてあります対策しますよと売り込んでくることもある、その業者がわざと書いたんじゃないかということも多い。ただのマッチポンプだ。
サクラ業者に依頼していい評価をわざと入れるのだって出鱈目は同じ。
生命に関するインフラについて匿名で口コミ流すシステムは害しかない。医者の良しあしなんて科が違えば医者にだってわからんことは多いのだ。
自分のブログだのタイムラインだのアカウントだので、誰が書いたかいざとなったら追跡できる形で感想書くのはもう仕方ないが、すくなくとも匿名の口コミのためのプラットフォームを業務として提供するのは禁止するべきです。
by 稲亀石 [医療] [社会] [コメント(0)|トラックバック(0)]
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