「無資格」流産手術の病院のネット口コミと、指定医について ― 2016/12/16 16:37
そのまま読むと、なかなか悲惨な事例。
「指定医ではない医師の中絶手術後に死亡 「死因不明」に夫の悲痛な思い」
LivedoorNews 2016年12月15日 11時0分 ※女性セブン2017年1月1日号
「由美さんはネットで調べて、評判のよかった東京・武蔵野市にある水口病院での出産を決めた。」「田中さんによれば、由美さんは水口病院で、「胎児が育っていない」と診断されたという(水口病院は「少なくとも、当院が患者様にそのような診断をしたことはありません」と否定)。」「「夫婦で話し合って、やむなく人工中絶手術を受けることにしました」(田中さん)」「そして手術からわずか6日後の7月14日、」「由美さんが壁に前のめりに倒れていた。すでに体は冷たくなり硬直していた。なんとかトイレの外に出し、心臓マッサージを繰り返したが、由美さんが息を吹き返すことはなかった。」「田中さんが水口病院にカルテ請求などをして確認したところ、由美さんを執刀したA医師は母体保護法の指定医ではないことがわかったのだ。」
どうもいろいろ不自然で、経緯がよくわからないのですが、そこは今後明らかになることを期待するとしてです。
「ネットで評判がよかった」というところだけはひっかかるのですね。
この病院について口コミサイトを見てみた。
綺麗な病院 ねね (本人・20歳代・女性) 来院時期: 2016年03月 投稿時期: 2016年10月評価4.5 「とてもいい思い出になり、また2人目ができたらやりたいなと思いました。」
診察も問診もとても丁寧です エウロパ907 (本人・50歳代・女性) 来院時期: 2016年04月 投稿時期: 2016年06月 評価5.0 「不安に感じることをきちんと耳を貸してくれる良い先生だと思います」
素敵な産婦人科 うりぼー (本人・30歳代・女性) 来院時期: 2013年 投稿時期: 2015年09月 評価5.0 「とにかく設備が整っていて素晴らしい病院でした。次に産む時もこちらが良いです。」
以下略 14の口コミはどれも評価4以上で、総じて絶賛状態。
たしかにこちらでもとても評判いい。
しかし、、、医療は基本的には個人に属するもんで、いい病院やから目の前の先生がいいとは限らんし、たまたまうまくいった患者の声を集めたって意味ないんやけどなあ、、、
逆も然りで、ただのないものねだりを連ねて不満を医療機関にぶつけている事例もいくらでもみるのです。
医療機関や医師の良し悪しなんて科が違えば医者でもわからんこと多い。そのうえ、患者はいっちゃわるいがサービス側面にばかり目をとられる。
評判のいい医療機関の雑誌特集とか本とかも無意味です。医者が推薦するていの施設を集めた本もあるが、ああいう情報を集められるほう(まず葉書がくるのですあれはw)からみると、そうとうええかげんなこともやってる。
へんな裏事情でどうでもいい医師を推薦する教授様だっていくらでもいるのである。
ましてや、口コミサイトなんて、あてになるはずない。冗談じゃなく、食べログ感覚で医療機関風評サイトつくるのやめてほしい。
どこの誰が書いてるかわからないものを参考にするなんて、辻占レベルの運命の丸投げです。
食べログなら、まずかったらまずかったでおわりだし、接遇が悪かったら腹を立てればいい。しかし、医療はそれでは済まない。
命のかかるフェーズについての口コミサイトは、有害でしかないとつねづね思うのですが。
加えて、知人医師からきいたことを以下追加。道に聴いて途に説く感じですみませんがw
胎児が育っていない、ということならふつうは稽留流産と思いますな、今回の報道ではどうもそこが曖昧なのでようわからんのですが、、それならもう胎児は亡くなってるわけです。
「人工中絶手術」と「流産手術」は、つまりは胎児が生きてるかどうかの違いにより呼び名が違うだけで、手技も侵襲度も全く同じ。
胎児に心拍がある場合は、「人工中絶手術」となり「優生保護法指定医」が行う必要があるのだそうな。
で、こういう資格は、大概の場合、手続きの問題におわる。書類手続きと講習(倫理的な教育)で維持できる資格なのですね。
だから、この「指定医」が技術的なレベルを保障すると言う認識は、どこの現場にもないそうです。
「優生保護法指定医じゃない医師」が「流産手術を行った」ということであれば、つまり何の問題もないことで、ここに焦点を当てるのは完全なミスリードということのようです。
まあ、私はネット口コミが気になっただけではじめからこっちはあまり気にしてませんでしたが、いつもながらの医療報道やなあという気がしてきました。
以下蛇足。
なくなった方にはお悔やみ申し上げますが、ネットで医療機関探すあたりもともかく、術後調子が悪くても受診しないとか、なんか、医療機関との付き合い方の下手な印象がどうもあるのですなあ。事実と違うなら申し訳ありません。
なんかおこってから悪いのは誰だといっても元には戻らんので、命のかかる物事に関しては用心深い方がええというのはまああたりまえの感想ですが。
こないだも、知人眼医者が顕微鏡手術中、術眼がよく動くのでそれをいつものように注意したら、「動かしているつもりはない」「不愉快だ」と術中にくってかかる患者さんというのがいたそうです。
動いていたらいわんわけにいかんし、そんなところで自分の手術している最中の医者にケンカ売ってどうするんやろうと、彼は非常に不思議がっていました。
ちなみにその方、術後回復室で、自分の点滴ラインを勝手に引き抜いたそうなw 服も血だらけだったそうで、まあ自分の体がどうなってもいいという態度は一貫してはいます。
兵庫の佐用で猟中の誤射死亡事故がありましたが、これもまあ、ガサドンするほうが論外に悪いけど、そもそも多グループが狩猟しているところで、犬をさがしてオレンジベスト着ずに(これは当初の報道で読みましたが、今探しても出てこないので不確かです、違ったらごめん)動き回るというのが自分の命の軽視のようで残念。
イノシシのはずが…猟銃で撃たれ男性死亡 兵庫・佐用 神戸新聞NEXT 12/11(日) 19:41配信
by 稲亀石 [医療] [社会] [コメント(0)|トラックバック(0)]
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