イスラム移民とイスラム国と信教の自由2014/09/18 15:37

イスラム国にでていく、ヨーロッパからの志願兵が問題になってます.
ほとんどが中東からヨーロッパへの移民が出自と思うのですが、そこが日本のどの新聞よんでもぼかされていて、あたかもわれわれの思い浮かべるイギリス人やフランス人が引き寄せられてるように読めてしまってどうだかです。そこまで反母国的なリベラル白系って、いれば目立つしイスラム国側の宣伝には使いやすいだろうが、割合としては少なかろう。
NewsWeek はさすがにそれなりのことは書いてますが。

アメリカやヨーロッパから「ISIS」への志願者、その背景は? 2014年09月09日(火)12時49分
「まず、第一の要因はイスラム系の移民として生まれた、あるいは育った人々が、欧米の社会の中で有形無形の差別を受けて、反欧米のカルチャーに吸い寄せられてしまうという例です。

まあわかってるひとはわかってるし、わからない人に各記事でいちいち説明するわけにもということではあるんでしょうが。
こういう画像もありますな。「アニメにおけるイギリス人少女と現実のイギリスの学校の対比」





日本人のヨーロッパ理解はかなりずれてる。

ああいう原理主義的なエリアがあって、そこに在住の移民層出身者が引き寄せられていくというのは、移民統治の困難もしくは失敗を意味することではあっても、潜在的敵性移民(!)を排除することにつながるのでじつは当局はひそかに歓迎してるんじゃないかとは思うのですがどうなんでしょうね、問題は、戻ってきたら困るというステップでしょうが。

だもので、テロリストになる可能性のあるものは出て行くな、帰ってくるなら懲役と罰金、という動きがフランスで出てる、実効性があるのかはわかりませんが。


読める人に教えてもらうと、禁止を破って出国した場合は、帰国時に逮捕されて懲役3年と罰金4万5000ユーロになりうるとのことです。


ともあれ、イスラム教は、ヨーロッパのキリスト教や日本での仏教(戦国期の一向宗や真宗)のようには、血みどろの政教分離の歴史がない。
イスラム国については、家族部族以外基本的に敵と扱う遊牧民の内婚制度とリンクした、イスラム教のもっとも悪い面が出てきてしまっていると私は思う。
これを押さえ込むのは同じイスラム教徒でなければならず、その過程においていまより明確な政教分離がなされなければ未来における各宗派の妥協や他教徒とイスラム教徒の共存はないと思うのだが、どうなるだろう。

そこからまた思う。イスラムは日常における戒律の非常に多い宗教ですが、「信教の自由」を標榜する空間においては、それを認めることが「信教の自由」じゃなく、むしろそういったある宗教の戒律に公的空間が侵されないのが万人に対する信教の自由の維持である、という考え方がむしろ守られるべきで、たとえばヘジャブ禁止なんかでフランスはやろうとしてると思うのですね。まあただの保安上の理由かもしれませんが。
そこから考えると、無邪気に大学の食堂でハラル認定がどうのというのはどんなもんなんやろうと私は思っています。
イスラム教自身に「外国での食い物はハラルじゃなくてもまーしゃーないわな」というところがあると聞く。であれば、異教徒が公的施設で積極的にやることかよと、、
まちなかでイスラム教徒が自前でそれをやるとか、それでイスラム教徒が寄ってくるから「ビジネスチャンス」になるとか、っていうのなら、まだわかるのですが。
じっさい、禁忌食対応してる航空会社の機内食の種類は、すさまじい数になりつつある。これは代価の伴うサービスであって、ペイすりゃそれでいいんです。しかしインフラはそうはいかない。
公的機関としてはすべてにあわせるのは無理だから、はじめっから、素材をあらかじめ公表した上で、宗教上の理由があるなら自前で何とかしろと言うしかないと思うのだ。


イスラム教は、キリスト教よりはるかに日本との接点の少ない宗教で、ほとんどの人は接触せずに一生を終える。接触してもどういう態度をとるべきかわかりかねるだろう。
こういう異文化との接触で、日本の文化の特性があぶりだされるのが、私にとっては興味深い。
ヨーロッパの「公共」概念と日本の公共?というか「世間」概念の相違を、もっときっちり理解するのに役立ちそうに思う。いまさら網野善彦氏の著作などを読んで、そこが関心事なもので。

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