とある外科系当直日誌 その1 ― 2011/10/18 01:13
ずっと以前の当直記です。個人情報w保護のため、事実関係が変わらない程度に改変してます。類似の人がいてもそれはたまたまです。
ま、いまどきの二次救急外科系当直はこんなもんということで。
午後5時15分
うちは2次救急だから、電話の問い合わせには、入院がいると思ったらどうぞきてくださいと説明するよう主任に言うも、よういいませんと。
午後6時
18歳 2週間前から痛いふくらはぎをぶつけたと母親と一緒に普通に歩いて登場。今の時間じゃなにもできないし、湿布だけ貼って明日整外にかかれとナースに回す。緊急処置中でまたされたせいか、湿布はいらないと母親が言いにきて、帰っていった。
午後6時25分
9歳。 午後学校でジャングルジムから落ちたとびっこひいて入る。左下腿前面に擦り傷が軽くあって、はれている。体重かけられないというのでレ線。骨折線もなく、擦り傷にイソジン塗って絆創膏。氷嚢ではれた部分を冷やして明日整外受診してくださいと説明。向う脛はそりゃ痛かろう。
午後6時35分
2歳。 夕方金属の柱で頭ぶつけたと。意識清明、良い機嫌。おでこにちょっとした瘤、あたった傷。イソジン塗って絆創膏。CTとりますかというといらないと。
午後8時 連続で4人。
90歳。 農作業中蜂にたくさん刺されたと。たしかにたくさん刺されているが、アナフィラキシー症状はないので、消毒して内服と軟膏処方。元気やな。
13歳。 バレーの練習で尾骨をうったと。歩行起座に問題もないので、明日また整外にかかることといって湿布と痛み止めを出そうとしたら、母親がレ線は?という。この状況で何があってもすることは同じというと、大丈夫かときくので、なにをしても大丈夫な保証はないし、レ線とっても読影にまた明日整外に来るのは一緒と説明。救急ですませようとするなよ。
2歳。 夕方から足痛がると母親。深爪で化膿したよう。イソジン塗って軟膏でガーゼ巻いて、内服処方。明日形成へ。まー爪も切らない親より数段ましか。
9歳 午前学校でこかされて頭打ったと。いじめられっ子か?吐き気も何もないが母親がやたらCT希望。大きなものは特になにもみあたらず明日脳外へと。
午後9時
医局の会議室が紛糾していると思ったら、ちょうど内科H先生が出てきて、きくところでは、医師が2人退職するのに救急業務のバックアップ化をさらに命じられた内科の先生方が切れて、院長以下管理サイドと交渉中とか。
各科センター化して救急も待機もやめましょうと、ちょっと出てきた内科の先生にエールを送るが、ついでに出てきた副院長の態度を見てると難しいやろうねえ。副院長はお花畑にも、眼科医会にはたらきかけて当県の眼科の救急輪番は出来ないのかなんていってる。
それってこないだ崩壊したばっかりですがな。うちみたいなとこが無理して眼科待機をおく限り、ほかの施設も眼科医会も本気で眼科輪番再生なんて考えるわけないだろうが。やらしときゃいいんだから。
救急には、境界型人格障害のリピーターが腹痛いとかいって内科で来てる。こいつは眼科受診時たいしものはないに大騒ぎして、挙句に私に怒鳴りつけた奴だ。その後時間外の外来をうろついていろんなもんを盗んだりして警察沙汰になった。それでもしゃあしゃあとくるねんなあ。顔見るだけでやる気そがれるねえ。
午後10時30分
45歳。 尿管結石。昼近医で当院受診を指示されて明日くるつもりだったが痛みに耐えられず受診。尿すっかり赤茶色。KUB撮って、泌尿器待機医に電話で相談してボル坐。
看護師のまとめる日当直管理日誌をぱらぱら読むが、数日ごとにクレーマーがきとるな。
内科のF先生がおりてきたので、話し合いはどうなりましたかときくと自分の口からはよういいませんとうれしそうにのたまう。
11時
7歳。 全身蕁麻疹、原因不明。すこし唇もはれてるのでステロイドかませて内服処方。
11時30分
内科の研修医の先生がなんでか救急に外からまわされてきた電話に自分で出て(目の前にあったしナースもいなかった)、症状を聞いた挙句に、きてくださいみさせてもらいます、などといってる。それは違うやろうと意見してしまった。先生は貴重な医療資源なんやから自覚しなさいと。いや、御自分のクリニックを持ってやるなら非常によいことで止めないけど、公立病院の多忙な内科救急で、医師が直接電話に出たり見させていただくなどといったりしていては、現状では「お客さまの勘違い」を招いて体制崩壊を早めるだけ。
0時
上記結石患者、痛みほぼおさまった模様。どーんとした感じはあると。それは仕方ないので、ボル坐もたせて、明日受診するようにと。主任ナースは、次は救急車でくるでしょうと予言。
当直室で就寝するも、、、コール。
午前1時15分
45歳。 4時間前夜勤で重いものをもっていて腰に激痛と。夜勤を早退して休んでいたがやはり痛くて来院。ボル坐いれて湿布はって明朝整外へと。
午前1時45分
転倒して運ばれてくる老人がいると電話連絡。
午前2時15分
50歳。 前日鉄を切っていてなにか目に入り、どんどん痛くなってきたと。懐中電灯でたしかに鉄粉らしいもの角膜に乗っている。綿棒でこするとそれなりにとれたが、茶色のしみがとれず、やむなく病棟に上がりスリットつかってサビをけずりおとした。軟膏に眼帯で、内服と点眼。医大には断られた、近所の総合病院も眼科医がいなくて、というのでよくみると車で1時間以上遠い地域の住民。
眼科医が当直にあたってるときにはそれが救急には知らせてあるのでそういうときは遠くからでもやってくるのだが、どこの当直にもあたってないときは、ほんとの救急時はどうなるんだろうねえ。うちにきて待機の眼科医を呼び出せとわめくもんもたまにはいるそうな。
あれこれしていると救急隊到着。
2時45分
85歳。 転倒して後頭部より出血と。切れているがもう血は止まっており、消毒してガーゼのみ。認知症あってようわからんが、熱もあるので、CTオーダーして内科救急にバトンタッチ。間質性肺炎で入院になった模様。
7時
起床。その後は内科外科ともになにもなく、珍しく静かな夜だったというナースの感想。とんでもない怪我人も、頭に来るほどの軽症者もいなかったし、めでたい。
ま、いまどきの二次救急外科系当直はこんなもんということで。
午後5時15分
うちは2次救急だから、電話の問い合わせには、入院がいると思ったらどうぞきてくださいと説明するよう主任に言うも、よういいませんと。
午後6時
18歳 2週間前から痛いふくらはぎをぶつけたと母親と一緒に普通に歩いて登場。今の時間じゃなにもできないし、湿布だけ貼って明日整外にかかれとナースに回す。緊急処置中でまたされたせいか、湿布はいらないと母親が言いにきて、帰っていった。
午後6時25分
9歳。 午後学校でジャングルジムから落ちたとびっこひいて入る。左下腿前面に擦り傷が軽くあって、はれている。体重かけられないというのでレ線。骨折線もなく、擦り傷にイソジン塗って絆創膏。氷嚢ではれた部分を冷やして明日整外受診してくださいと説明。向う脛はそりゃ痛かろう。
午後6時35分
2歳。 夕方金属の柱で頭ぶつけたと。意識清明、良い機嫌。おでこにちょっとした瘤、あたった傷。イソジン塗って絆創膏。CTとりますかというといらないと。
午後8時 連続で4人。
90歳。 農作業中蜂にたくさん刺されたと。たしかにたくさん刺されているが、アナフィラキシー症状はないので、消毒して内服と軟膏処方。元気やな。
13歳。 バレーの練習で尾骨をうったと。歩行起座に問題もないので、明日また整外にかかることといって湿布と痛み止めを出そうとしたら、母親がレ線は?という。この状況で何があってもすることは同じというと、大丈夫かときくので、なにをしても大丈夫な保証はないし、レ線とっても読影にまた明日整外に来るのは一緒と説明。救急ですませようとするなよ。
2歳。 夕方から足痛がると母親。深爪で化膿したよう。イソジン塗って軟膏でガーゼ巻いて、内服処方。明日形成へ。まー爪も切らない親より数段ましか。
9歳 午前学校でこかされて頭打ったと。いじめられっ子か?吐き気も何もないが母親がやたらCT希望。大きなものは特になにもみあたらず明日脳外へと。
午後9時
医局の会議室が紛糾していると思ったら、ちょうど内科H先生が出てきて、きくところでは、医師が2人退職するのに救急業務のバックアップ化をさらに命じられた内科の先生方が切れて、院長以下管理サイドと交渉中とか。
各科センター化して救急も待機もやめましょうと、ちょっと出てきた内科の先生にエールを送るが、ついでに出てきた副院長の態度を見てると難しいやろうねえ。副院長はお花畑にも、眼科医会にはたらきかけて当県の眼科の救急輪番は出来ないのかなんていってる。
それってこないだ崩壊したばっかりですがな。うちみたいなとこが無理して眼科待機をおく限り、ほかの施設も眼科医会も本気で眼科輪番再生なんて考えるわけないだろうが。やらしときゃいいんだから。
救急には、境界型人格障害のリピーターが腹痛いとかいって内科で来てる。こいつは眼科受診時たいしものはないに大騒ぎして、挙句に私に怒鳴りつけた奴だ。その後時間外の外来をうろついていろんなもんを盗んだりして警察沙汰になった。それでもしゃあしゃあとくるねんなあ。顔見るだけでやる気そがれるねえ。
午後10時30分
45歳。 尿管結石。昼近医で当院受診を指示されて明日くるつもりだったが痛みに耐えられず受診。尿すっかり赤茶色。KUB撮って、泌尿器待機医に電話で相談してボル坐。
看護師のまとめる日当直管理日誌をぱらぱら読むが、数日ごとにクレーマーがきとるな。
内科のF先生がおりてきたので、話し合いはどうなりましたかときくと自分の口からはよういいませんとうれしそうにのたまう。
11時
7歳。 全身蕁麻疹、原因不明。すこし唇もはれてるのでステロイドかませて内服処方。
11時30分
内科の研修医の先生がなんでか救急に外からまわされてきた電話に自分で出て(目の前にあったしナースもいなかった)、症状を聞いた挙句に、きてくださいみさせてもらいます、などといってる。それは違うやろうと意見してしまった。先生は貴重な医療資源なんやから自覚しなさいと。いや、御自分のクリニックを持ってやるなら非常によいことで止めないけど、公立病院の多忙な内科救急で、医師が直接電話に出たり見させていただくなどといったりしていては、現状では「お客さまの勘違い」を招いて体制崩壊を早めるだけ。
0時
上記結石患者、痛みほぼおさまった模様。どーんとした感じはあると。それは仕方ないので、ボル坐もたせて、明日受診するようにと。主任ナースは、次は救急車でくるでしょうと予言。
当直室で就寝するも、、、コール。
午前1時15分
45歳。 4時間前夜勤で重いものをもっていて腰に激痛と。夜勤を早退して休んでいたがやはり痛くて来院。ボル坐いれて湿布はって明朝整外へと。
午前1時45分
転倒して運ばれてくる老人がいると電話連絡。
午前2時15分
50歳。 前日鉄を切っていてなにか目に入り、どんどん痛くなってきたと。懐中電灯でたしかに鉄粉らしいもの角膜に乗っている。綿棒でこするとそれなりにとれたが、茶色のしみがとれず、やむなく病棟に上がりスリットつかってサビをけずりおとした。軟膏に眼帯で、内服と点眼。医大には断られた、近所の総合病院も眼科医がいなくて、というのでよくみると車で1時間以上遠い地域の住民。
眼科医が当直にあたってるときにはそれが救急には知らせてあるのでそういうときは遠くからでもやってくるのだが、どこの当直にもあたってないときは、ほんとの救急時はどうなるんだろうねえ。うちにきて待機の眼科医を呼び出せとわめくもんもたまにはいるそうな。
あれこれしていると救急隊到着。
2時45分
85歳。 転倒して後頭部より出血と。切れているがもう血は止まっており、消毒してガーゼのみ。認知症あってようわからんが、熱もあるので、CTオーダーして内科救急にバトンタッチ。間質性肺炎で入院になった模様。
7時
起床。その後は内科外科ともになにもなく、珍しく静かな夜だったというナースの感想。とんでもない怪我人も、頭に来るほどの軽症者もいなかったし、めでたい。
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