南極調査捕鯨中止判決に関するとあるやりとり2014/04/02 12:58

南極調査捕鯨中止命令の判決が出ました。


調査捕鯨に中止命令=「科学研究」逸脱-日本が敗訴・国際司法裁


これについて、以下のようなやり取りが行われていて、興味深い内容なのでこちらにも引用してみます。
いろいろフェイクは入ってるので詮索は無用。


女医
羊可愛いのに、殺して食うな!って言い返したい…

学習塾長
反捕鯨国の論理と結束を崩すには、もはや鯨の繁殖、養殖の方向に行くしかないのか。。。

目医者
三河湾でやったらいいと思ってたんですがね>養殖  でも、頭のいい動物は人工繁殖難しいんですよねえ、ストレスに弱いし

代理店社員
今回の判決に関しては共同通信の井田さんのtwitterをご覧になると良いと思います。
そもそも国策として推進されてきた南氷洋での遠洋捕鯨(=ノルウェー式)が日本沿岸の伝統的捕鯨文化を滅ぼしたのだから、むしろ南氷洋などの遠洋捕鯨を止めることの方が日本の伝統的捕鯨文化の継承可能性を高めるというのが、現在の私の考え方。 今回のICJの判決は、我が国の捕鯨文化にとって、政策転換の良いチャンスですよ。
(しかも多分政府の内部でも、水産庁の内部でさえ、今回の判決を喜んでいる人の方が沢山いると思う。 一部の「捕鯨ムラ」の人間を除けば。

目医者
たしかにこの件は南極の話で、伝統鯨漁は沿海なんだから「伝統ガー」というのは違和感あります。 一方で、これは条約国同士で条約の枠内でまず協議されるべきことで、日本を名指しで訴えることになんで乗ってしまうのかとも思うのですな。 まあ調査捕鯨をほんまの調査になるようにきっちりスキームつくったうえで、沿岸捕鯨を、ほかの捕鯨国とも連携して立ち上げなおせばいいんじゃないかとは思うのです。 あと、「牛も豚もかわいいし生きてるのに食うやん」式の感情的な反応はよくわかるのですが、その日本にしたって、奈良市で食害をおよぼす鹿の禁猟を解こうとしたところが日本国中から投書が来てあきらめたりしてるわけで、なんだかですね。

SE
まあ、本当の商業捕鯨が再開する見込みがないのに商業的にペイしない「調査」捕鯨を続けていてそれを「商業」捕鯨だといって批判するというわけのわからん状態の解消はとりあえず歓迎すべきじゃないでしょうかね。

在外アナリスト
これ、実際現場で問題になっていること、きちんと日本語で把握されていないと思うんですよ。 それこそ縦割りで、それぞれ矛盾する断片的な「翻訳」をもとに、あちこちがバラバラに動いてるんではないかと。 まあ、日本の外交はおそらく全部そうですが。スパイがどうというのではない中央情報機関(そんなおどろおどろしいのでもなくて国会図書館の延長みたいなのでもいいから)が要ると思うんですけどねえ。 それがうまくいかんのであれば、いよいよ英語公用語化ですかねえ。

目医者
いや、鎖国でしょうw  捕鯨なんてのは、担当の役人以外にとっては(担当役人にとっても?w)面倒でどうでもいい話なんじゃないかと疑ってまして、訴訟に乗ったということは、訴訟で負けたらなくなったっていいやという意思がどっかにあるんじゃないかと思ってしまいます。 あちらの愛護団体のよくいう、狩猟方法が残酷だからやめろというのは、「殺すなら一緒」的なことをいいだす日本人には理解しにくいのですが、身近に屠殺や狩猟があるからこそ分かる話で、肉食人種がいうのはよくわかるのです。 ただ、そういう方法しかないのだから仕方ない、という開き直りは必要で、だったら残酷じゃない捕鯨方法を開発して来いと言い返すくらいのことができないのが不思議。 なににしても、身につけた能力は維持するべきで、捕鯨能力を日本がもち続けるように政府にきっちり動いてもらいたい。

代理店社員
「伝統ガー」とか言う連中に限って、捕鯨史の本の一冊も読んでないからね(苦笑)。 だから戦前までは日本船の捕鯨砲手にわざわざノルウェー人を雇っていたことを知らないし、そもそも日本の南氷洋捕鯨が鯨油目的で始まったことも知らない。 鯨の赤身が「庶民の普通の食材」になったのは、長い日本の歴史の中でも戦後の食糧難の時期だけ、GHQのお蔭で、「鯨の竜田揚げ」が「日本の伝統食」なら、脱脂粉乳も立派な「日本の伝統食」ですよ(笑)。 それよりも『ザ・コーヴ』なんかで叩かれているイルカ追い込み漁こそ守らなければ。
ただ遠洋捕鯨がなくなると、水産庁の「捕鯨班」その他の専従組織も整理されてしまうので、役人のポストが3つばかり減る。 天下り先の「鯨類研究所」や「共同船舶」「捕鯨協会」も解散となったら、こりゃ役人にとっては一大事でしょう。 だから執拗に抵抗するんだけどね…。 (その代り財務省は多分大喜び…。)

内科医
鯨は食物連鎖の上位にいるので、どうなるのでしょう?

代理店社員
いわゆる「鯨食害論」は、2000年頃に非常に流行ったのですが、ほぼ「トンデモ」と言って良い話で、その後も科学的な裏づけは全く行われていません。 日本政府も公式には「仮説に過ぎない」という立場で、それを証明しようとする動きすらないのは、きちんとした分析を行えば否定されてしまうことが明らかだからでしょう。
それが今もWEB上で盛んに言及されるのは、まるで気候変動問題における「スベンスマルク説」のようで、こういう言説がなくならない理由は、是非一度トンデモ本に詳しい人にでも解説して欲しいところですねぇ…(苦笑)。
ちなみに、イルカなどの小型のハクジラ類は食物連鎖のなかでは「上位捕食者」と言える立場ですが、遠洋捕鯨の対象となる大型ヒゲクジラ類の主な餌は小型のプランクトン類ですので、決して「上位捕食者」ではありません。 (従って人間の漁業とも競合しない。) ジンベイザメなどもそうですが、身体の大きな生き物は栄養段階の低いところに位置しないと自分の身体の大きさを保つだけの餌の量を確保できないからです。 この辺もありがちな誤解だとは思いますが…。

目医者
魚を食うのは歯鯨、プランクトンとかオキアミとか(小魚類も食ってそうな気もしますが)はヒゲ鯨、は、そりゃそうでしょうね。 これは肉食草食というふうに地上のアナロジーで言うと鹿は草食ですがけっこうな困りもんでして、生態系下位だからええんやというふうにはいえないようにも思うのですがどうでしょう。

代理店社員
ヒゲクジラでも北極海のザトウクジラなんかはニシンなどを大量に食べているという話もあります。ただじゃあそのザトウが魚の数が減るほど増えているのかと言うと、そんな話はどこにもない。 また実際の海の食物網の中では、上位捕食者が中位捕食者を食べることで却って下位捕食者の小魚の数が増えるとか、そういうことも頻繁にあります。 ところが「鯨食害論」は魚と鯨の間の単純な二者関係しか問題にしていませんから、その点からしてナンセンスだというのは、熱心な捕鯨推進論者で水産資源管理学の大家である横浜国大の松田先生なども指摘していらっしゃる点です。 (そんなことを言うから日本の調査捕鯨は非科学的だと笑われるんだと憤慨しているらしい。笑)
だから要は、なんでもかんでも「捕鯨」とひとくくりにする事自体が大間違いなんですよ。 その辺の港の岸壁でアジを釣るのとカリフォルニアでカジキを釣るのと同じにしているようなもの。 クジラの種類、漁の場所、捕鯨方法により、資源状況も生態系への影響も全く異なるんですから、捕鯨の反対派も賛成派も、それを都合よくまぜこぜにするな!というのが、大きな問題点です。

SE
「捕鯨」ならなんでも一緒にごちゃまぜにするってのは、「クジラは知性が…」とかいう感情論を煽る人たちにとっては当然のことで(でもそれに乗らない人たちから見ればなぜ線引きがそこにあるのかが不明で)、かつ捕鯨反対意見をすべてそのような感情論の所為にしてある種の捕鯨に理も義もないことを認めたくない(認めてしまうとすべての捕鯨に踏み込まれてしまうと思っている)人たちにも都合がいいですからね。 議論は単純化してできれば一言のスローガンにまとめちゃった方が賛同者を集めやすい。 鯨肉なんかほとんと食ったことの無いやつでも「わが国の食文化が…」とかいうと釣れますもんね。 でも、実際の所食文化って奴はものすごくローカルなもんです。100km離れりゃ別もんなのがあたりまえ。 わが国のって何?

目医者
「鯨食害論」> 鹿なんてのは上位捕食者のオオカミがいなくなって増えまくるようになったというのですが(オオカミがいなくなってずいぶんたつんだしこれもちょっとどうだかとは思う)、海の中にそういう補食関係の変化があったようにはみえないので、たしかにいきなり「クジラのせいで」というのは無理なような気もしてきました。  で、昔できなかったことが今できるのがいけないというのも変な話で、南極捕鯨できるスキルは、あるならあったでいいと思うのです。 どっちも感情論になってどうしようもないなあとは思いますが、これは冷静に解決するのは非常に難しいので、けっきょくはなしくずしにしたままなんらかの形で存続を図る根性が日本にあるかということになってしまいそうな。 国内のややこしい問題に対する態度からみると、むしろよろこんで捕鯨終了にしてしまいそうな国なんですがw

在外アナリスト
日本の抜け穴探し警戒がもう始まっているので、いちから戦略を立て直さないと無理でしょうね。 反捕鯨国には、日本に比べれば国論一致みたいな傾向は少ないので、諸条件を了承してしぶしぶ捕鯨をあきらめさせられた人たちもいるわけでその不満もくすぶっています。 日本だけが捕鯨技術保持というのにはむしろ反発されるでしょう。
http://www.newstalkzb.co.nz/auckland/news/nbnat/1180273342-fears-japan-may-find-loopholes-in-whaling-ruling

目医者
いちから戦略> これのできる国であることを望みますよ、マジで。

代理店社員
鹿についてはオオカミよりも人為影響の減少による植生変化の影響の方が大きいと個人的には思うけど、そりゃともかく…(笑)。
マスコミレベルはいまだに水産庁と「捕鯨ムラ」が設定した「YES/NO」の二者択一の議論が中心で、多くの人が思考停止に陥っているのが不満。 南極のクジラ資源は人類にとって貴重な存在だという意見には反論ないけど、日本国が税金を投入して世界の嫌われ者になって南極捕鯨を続けるのは馬鹿らしいと思う。 極地での捕鯨技術は元々からノルウェーで発達したもので、ノルウェーは今でも捕鯨を続けているのだから、そこは連中に任せておいても良くて、それよりも失われつつある日本の沿岸捕鯨技術と文化の保護・継承に力を注いで欲しい。 「いちから戦略を立て直せる国であることを望む」のは完全同意で、だからこそ今回の判決はむしろ「チャンス」なんだってのが、私の考えです。
まあ相変わらず、“外圧”がないと政策転換できないというのが情けないといえば情けないんですが…。

看護師
20年以上食べてません。 
どんな味でしたっけ?

ちゃんちゃん、てなところで。