なぜ男女の賃金に格差があるのか2023/10/16 11:28

読書の覚え。雑な感想なので突っ込まないで。

なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学
 単行本(ソフトカバー) – クラウディア・ゴールディン (著), 鹿田昌美 (翻訳)

アメリカの大学卒女子の経歴や収入に関して、育児と仕事とのかかわりを避妊薬なども絡めて統計資料から解析
内容:現在に至るまでシステム上の男女格差はずいぶんなくなってきたがどうしても賃金格差がなくなりきらないのは、子育てにかかわる時間自由度の違いが大きい。子供に関するオンコール体制をどっちがとるかということです。子供のために自分の時間自由度をあげれば仕事に関与する時間は減り、積み重ねの形で長期的には熟練度も下がり、職場に時間自由度を渡す形で成立する Greedy Work との賃金格差はなくならない。
男女双方ともに自分の自由度を確保すると、カップル当たりで得られない収入が大きくなりすぎる。一方が時間自由度を職場に渡しもう一方が子供の対応のために自分の時間自由度を確保するのが合理的だが、自分のための時間自由度の高い側の収入が上がらずキャリア上も不利なのは当たり前。男女どちらがどちらをとっても同じ。一つの対策は、 Greedy Work のチーム化による代替可能化促進。

なかなか解決できないと書いてもいるしチーム化は出来る範囲についての話でしょう。個人の熟練度を優先する、資本力のある顧客がいるのだから Greedy Work はなくならんでしょう。

日本における格差解消については、著者ご本人はメディアでの質問にこたえ上の世代からの影響をいっている。とくにこないだから西日本方面で親(それも母親が表に出る)が娘の将来を抑え込もうとするお話(「東京最低最悪最高」とかww)をちらほら目にするので、それも含めまあ関係のある局面もあろうとは思う。

でも、基本的にはアメリカでの制度上の変遷を前提に同程度の大卒学歴カップルが子供を持つ場合に起こる、かなり限られた話なんだから、すくなくともこの本(まともな成書邦訳はこの本ぐらいらしい)を踏まえて著者に、きっちり統計解析したわけでもなさそうな日本について訊くのは訊く方が悪い

これをもって日本の状況についてそのまま引き比べられるものではないと思うが、なんかフェミアンフェどっちの側にも一部これで日本の女子についていろいろ語りたい向きがある。
いろいろ敷衍して考えさせることのできる刺激的な論考ではあるでしょう。敷衍だけならだれにもできるし。

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