斜視の子供2010/11/19 01:30

斜視外来で、ORTが困っていた。以前の話です。

1歳から外斜視の子供がいた。レフで、ずれてるほうの目がかなりの近視。両目でみられないからずれるわけです。近視なので輻輳でなんとかしようとせんのだろうね。
まずは弱視にならないよう視能訓練。5歳になったが、それぞれの目で視力は出るようになった。
斜視については、ときどき正視にもなるのでと親が希望せず。
しかし異常対応になってしまっていて、立体視がない。
親が最近斜視を気にし始め、手術したらどうかというのでシノプトもしたが、両眼視が得られないかもと言う話になった。

すると親は、なんでもっとはやく手術しないなんで通ってるのに直らない納得いかないと騒ぎ始めた。

残念な親ですね。斜視は結果であって、もともとそういう目なのです。それぞれの目で視力が得られただけ御の字。
それまでのORTの説明がちゃんと入ってなかったのでもあろうけど、説明がどうでも結果はかわらんから一緒。要は「治らないのが気に入らない」だけで、どこまでいっても納得はせんだろう。

どっかに紹介しろというらしい。斜視外来で担当になる中堅医師(専門医あり)には、さっさとどっかにいってもらったらいい、紹介状にはありのまま書け、それで先方にもわかるといいました。

事実をうけいれられない親と言うのは、ひとのせいにしたがる。世の中安泰安全であたりまえ、そうもっていけなかったら誰かのせいにしないと自分のせいになる、と言う感じで、要求水準も高く自責感が実は強いのだろう。
「こうならないのはおかしい」と思いながら子供を育てるのはお互いの不幸と思うのですがね。

男女同室入院はありか2010/11/19 22:47

白内障でいちいち泊めてられないので、日帰り入院を増やしている。入退院手続きで病棟がてんてこまいでぶうぶう。いちおうナースの顔も立てて上限は設定しています。
病院上層部は日帰りでもなんでもして手術を増やしてほしいという姿勢だし、手続きを許される範囲で簡素化しろともいってくれていて、手続きの実際をどうするかはナースに投げられてしまっている。自分でなんとか運用を楽なようにしろその権限は師長が貰ったはずという立派な理由があるので、手続き面の文句は無視するのですが、男女の部屋のわりふりが大変でと師長がいうのは、なんとかならないのかとは考えた。

以前別施設のデイサージェリーにかかわってたときは、デイサージェリー専用の回復室は男女共用だった。
いまの病院では日帰り入院用のデイサージェリーユニットなんかないから、日帰り手術のための入院も、通常の泊まりの入院と同じ扱いになって、病棟も区別はない。
4人部屋は、ベッドはカーテンで仕切られてるし、便所は廊下にもある。泊まるならちょっと勘弁ということもあろうが、朝入院して夕方帰るのに、つきそいも大概いるのだし、男女同室で不都合なわけがない。少なくとも手前なら気にしない。
つまり、日帰り手術のある日は、ひと部屋男女共用で用意すればほぼ事足りる。割り振りなんか考える必要ないではないか。

それをいったら意表をつかれた師長、自分ではきめられないというので、この手の話引き受け役の副院長のところにいった。
正当化は大切だから念のため倫理委員会にかけといたほうが無難だろうというので、「日帰り入院で男女同室は問題ないことを確認してくれ そもそも入院なんて緊急避難措置なんだしインフラの医療で男女別室はどうしても満たされるべき条件ではないはず それが嫌なら個室にするか延期するかよそにいってもらえばよろしい でないと災害時の扱いもいざというとき困るぞ」という内容の(もちろんもっとおとなしい表現ですがね)書類を出した。

倫理委員会に出されたときは、院内関係数箇所の意見が併記され、なかでも看護局長は、「やむをえない場合はあるかもしれないがすこしでもいい条件で医療を受けたいと思うのが当然だから実際にはおこなうべきではない」というゆとりな意見をつけてきたにせよ、多くは手続き面での困難はないかというところで、絶対駄目という話にはならなかった。

で、やむをえない場合はプライバシーに気をつけて、拒否の場合どうするか明確にした説明書をつけて、実際の運用は現場と相談して行うこと、という裁定が来た。

さて実際どういう運用になるかしばらく見てみます。
これで入れられないという口実がひとつなくなったので、さらに日帰りを増やしてやろうかとは思ってるんですがね。ま、実際には日勤と準夜の申し送りもあるから、手術2列3人づつで計6人が限度とは思ってますが。順調に行けば日帰り最後の患者が3時に手術室から帰ってきて、1時間様子見る。もちろんそのあと入院患者の手術は入るわけだが、退院が4時過ぎまでにおわればいいかなと。
師長は、どこまでいってもがんばって別室を貫くだろうとは予想、でも、「入院は無理」の口実が一つ減っただけで医者にとってはいいこと。早く入れるなら患者にとっても悪いことではないはずですね。