役所が口を出す範囲 白内障手術とドギーバッグと駄目出し2009/12/14 16:15

老健施設入所者が外来に来た。進行した白内障があって、家族も手術を希望、本人は認知症で点眼もできそうもない。
ここで問題。老健には日勤のナースしかおらず術後の点眼がちゃんと出来ないので、術後引き取れないといいだした。吸引もそうだが、無資格者については、家族というグレーゾーンじゃなきゃ無理な決まりになっている。
うちの病院の療養病棟に引き取る手はあるが、眼科医が主治医になってしまう。まともに全身管理も出来ない。
ある一定の無資格者に家族の代行をしてもらうという制度は必要と思うのである。そこには当然、費用の発生に加えて家族並みの免責が必要とされるはずだが、法律やそれに従う役所はそれを絶対認めない。なにかおこったら事後に家族が文句を言うからである。他人に完璧を求める社会は、救済できない人間をどんどん生んでいく。この老人の場合、術後しばらく家に帰すしか手はない。それはそれであかんのかという話になるのだが、患者の保護を目的とした制約は患者の不便をもたらす。

飲食店で、食べ物の持ち帰りを推進したい役所が、そうはいっても持ち帰った後の食中毒は飲食店の責任といってアホかと笑われる話もあった。これも同様。
飲食店でいったんそれを口にした上でもって帰ると判断した後は、もって帰ると判断した客に管理責任がある、にしなければ話は進まない。でも、つきあげられるのが怖いんでしょうか法律的な整合性がそうなってるんでしょうか。
実際、「ドギーバッグで持ち帰りを希望した場合は管理責任は客の側にあるとご了承ください」と明示して、何日もおいてから食ってあたったとねじこむアホ客と裁判で争って判例を作るしかないのかもしれない。でも、そんなことするくらいなら、一律禁止にするほうが店にとってはるかにまし。

管理のための管理を増やし続けているお役所は、自分ではなんともならんだろうし、それこそが「仕分け」の対象にするべきなんだろう、とリバタリアンとしては思います。それも実は求める国民性があっての現状。
日本人は管理が大好きだし管理されるのも大好きです。それが組織に向かえば中間管理職になるし、製造工程に向かえば職人になる。そして「駄目出し」するのも大好き。むかしカルト的な人気のあった少女漫画家岡田史子がブランクの後また作品を持ち込んだら、出来が悪いです漫画の現状を知らないとと竹宮恵子がご親切にご指導さしあげ、岡田史子はそれでもう描くのをやめてしまい(QuickJapan vol17 岡田史子へのインタビューから)、その後早世した。でもべつにこれは竹宮恵子じゃなくても日本人はやるのですよね。

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