騒ぎたがる記者家族2011/05/31 11:52

知人の眼科部長が怒っていた。

手術予定の患者がいた。もともと再手術で、局麻である。
患者や家族の便宜のために、手術予定患者は、まくらもとに手術日と術眼を書くことになっていたという。

手術のオーダーは特に問題なく出ていたのだが、それとは並行して、便利のために手術順番表を医師がつくる。そこの左右記載が間違っていた。
この順番表もまた、あくまでも便宜の為で、左右についてこれで作業することは本来ないのだが、うっかりしたナースがそれをみて、患者のまくらもとの記載を間違えた。患者はやや歳で、ナースの確認に対して、訂正しなかったのである。

ただし、その後の作業はあくまでもオーダー表にしたがって行なわれるので、まくらもとの表記は単に出ているだけの状態であって、散瞳等左右の間違いはないのだが、たまたまやってきた息子というのが、地元のペラ紙一枚のミニコミ夕刊紙の記者(といえるのか?w)だったらしい。

病院では、確認はしきれないこともあり患者側にも協力をお願いするとわざわざ説明文も配布している。
術眼については、実際に間違ったわけでもなく、また表記ミスに気がつけばそこで訂正を入れればいい話。だいたい数日前の網膜剥離手術後のガス抜きであるから、現場で間違えようがない。

ところがその記者は、医療事故だと騒ぎ始め、ミニコミ紙には、あやうく手術されるところだったと患者の家族は怒っているとか書いた。

そもそも家族=記者で記事を出すこと自体アンフェアなのだが、何を説明しても聞く耳持たず、結局ナースや眼科部長には、問題になる可能性のある間違いをした(ヒヤリハットでいえば0度相当なんだが)と、注意文が組織から出たという。

で、それについて何か対策するのかと記者はうれしそうに突っ込むのだそうだ。
各ステップで個人が気をつければいいはなしで、ヒューマンエラーは仕方がない、変に確認作業をわざわざいれれば、エラーを起こすステップが増えるだけなんだし、現状を変える必要はないと、彼は看護部の担当にいったそうだが、そしてみなそう思っているのだが、記者に対して実際にどういう対応になっているのか考えたくもないといった。
懸命に手術や看護して、こんなところで実害もないのに騒がれるって本当に馬鹿らしくなるわね、そりゃ。
彼は「○○紙に、不正確な報道がおこなわれたことから、当院眼科としては今後同紙の取材は拒否します」と外来に張り出そうか、といっていた。


記事のねたにできてうれしかったのかもしれない。しかし、ほとんどいちゃもんである。エラーは必ずおきるが、引っかかるようになっていれば、そして実際に害が出たのでなければ、それでよしとするべきだろう。

結局実際には、まくらもとの左右表記はもうしないということになったそうです。現実的というか(笑

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