稲亀石の、田舎目医者日記

ジャニーズ事務所の少年アイドル候補たちが性的おもちゃ同然の目にあってきて、裁判で事実認定までされたのに、文春以外の日本のメディアが一般にとりあげずファンもだんまり、イギリスのレポーターが報道素材にしたのですが、、、

なんであってもカッコいい推しを世に出してくれたというファンだの、カッコで世に出ることがまともじゃないから自業自得だという感覚をもった日本人一般（でないとみんなやりたがるから困るｗ）だの、メディアの利害関係以外にもこの話題で盛り上がらない要素があると思います。

日本におけるこの話のポイントは、かれらが未成年だったということですね。

むかしなら１５歳過ぎれば元服です。「売れるために体を張る覚悟までした、義務教育終了者を子供扱いする必要を感じない」という人も多いんだろうと思う。

「売れるためのコスト」として本人も感じていたであろう時点で、ショービジネスでは成人も地続きに似たようなことやってるだろうと想像ができて、なんかもうどうしようもないような気がする。いやアメリカでは成人女優たち相手にこれで大プロデューサーがこけたけど、日本ではそんな感じはさらさらない。

でもジャーニーさん、そのための建物というか部屋というかまで作っちゃってたらしいのはなかなかやり過ぎ感が強い。まともじゃないのがわかってしまうと「叩いて大丈夫」にこれからなっていくんじゃないですか。

私の感覚だと「そもそも親はなにやってたんかね」なんですが、驚くほど親の話が出てこない。

ジュニアとして引き受けた時点でたぶんジャニーさんが親ということに話はついているのだろうと思います。

つまりむかしの遊郭で、遊郭主が娼妓を養女として迎え入れた（むかしの家制度だからそうじゃないと本来の戸主とか「親」が文句つける余地が出るのだろうと思う）状況を彷彿とさせてああ日本はかわらないのだなあと。

事務所からは実際にアイドルは輩出してきたわけです。

その気も力もないおっさんたちにおもちゃにされるだけされて消えていったアイドル志望の少年少女もいたろう。初期の裏ビデオには、路上で芸能事務所と詐称してスカウトした少女を、テストという設定でそれっぽいインタビューからはじまって最後までヤッてしまうという代物があったように思う。今時と違い関西援交シリーズで自殺者や逮捕者が出るまではほんまの犯罪としかいえんような裏ビデオがよく出回った。

それに比べたら「マシ」と思えてしまうのが罪深いねえ。

少年たちも自分たちを「被害者」とは思いたくない、のが話をややこしくする。

覚悟の上で身を挺して頑張ってきたつもりのひとが一転「みじめ」な弱者で覚悟にも意味がなかった、ということになってしまって、これはつらいだろう。日本はことさらに「自業自得」観念の強い国です。

そういうところで「おまえらは被害者なんだ」とドヤ顔で言い放って放置はよくない。それは報道の役割ではないというのはちょっと傲慢で、きれいごとによる二次被害といえる。

これに限らないのですが、「被害者」を「被害者」と名指しするなら、その被害者をどう救済するかまでセットにして考えてほしい。べつに自分でやれとはいわない、そういうものとつなぐだけでもいい。つなげられるものが日本にないなら、ないことまでちゃんと問題提起するのが仕事でしょう。

となると、文春はともかく、イギリス人のリポートは、「蛮族の奇習を紹介した」程度のものでしかないように思う。ま、外圧でしかかわらないものがあるのも確かなんですけど。