「コンビニ受診」は本当に医療崩壊の原因か?(笑2010/02/02 14:41

こういう記事があった。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2654
「コンビニ受診」は本当に医療崩壊の原因か?2010.02.02(Tue) 多田 智裕

現場をわかってないねえw
モチベーション、というものがないと人間は働けないのだが。すくなくとも医療のような行為は、「やる気」がないとまともに組織的に運営できない。下請けの単純作業ではない、人間相手に一歩間違えたら傷害罪になるような行為を行うために頭を働かせるのだから当然だ。

休日や夜間の救急現場にいる医師はふだんも仕事していてその上で救急もやっていることがほとんどである。救急の次の日もふつうに仕事がある。突発的な重病人のためにわざわざいるのであって、きのうからちょっとおかしかった人の安心のためにいるわけではない。そういうのが平然とくるだけでモチベーションは下がりまくる。
軽症かどうかわからないとかいうが、私の経験ではほとんどがなんで軽症とわからんのかという連中である。すくなくとも、もっとちゃんとした時間にかかれた者がほとんどであって、よしんば時間外におかしくなったにしても我慢できないはずがないことが非常に多い。そういうのにお客様気分でごねられて、少々手当がついたところであほらしくならないわけがない。

そもそも、「安心」「大丈夫」なんてもの医者にだってわからない。わかるのは、「今死にかけているか」「今つぶれかけているか」程度であって、今なんか調子が悪くてもそれが将来どうなるかなんて救急できかれて答えられるのは神様だけだ。「軽症かどうかわからない」「素人だからわからない」というのは、「自分は無能力者だからおまえは自分を幸せにするべくすべての能力を使え」という、日本固有に成立するゆすりのようなものだ。「安心」なんてものは自分の心のもちようであって、他人が与えてくれると思うのが間違い。
急性期になにかあって不利益があったら、それは、助けられなかった医者のせいではなくそういう状況に陥った自分の不運と思ってくれ。そして、助けに行った医者はあくまでもそこに立ち会っただけで、助けられなかったと責めるのはやめろ。責めるからみな逃げるのだ。

それと、ガチな救急の場合、キャパがなくても、むかしは少々の対応のまずさいいかげんさは大目に見られた。いってる状況じゃないという常識があった。ところがいまじゃ、手を尽くして搬送を待つしかない状況でお茶を飲むだけで叩かれる。神様じゃないと叩かれてあほらしくないはずがない。

この状況を変えたいなら、まず医者はじめ医療従事者を、24時間運営の救急外来専門に雇用して、チームで4交代ぐらいして、十分な給与を与えたっぷり休養も取れるようにするしかないが、そんな組織が、現在の保険医療のなかできっちり黒字で維持できる社会や制度になっていない。それに、専門化志向の強い日本にそんな医者もそうはいないよw
「なんでも助けられる救急専門医」なんて不可能です。専門医に送れる時間まで一時しのぎするのが関の山ということが、万能医学を信じるマスゴミにもわかっていない。免責もなしに危ない橋を渡れという阿呆な発想も日本だけだ。

で、そういう24時間救急医療が黒字になるように制度をいじくるべきかというと、私は無理だと思う。国自体がもたない。生産性をあげるわけでもないことにきれいごとで金をばらまいて国を破綻させては元も子もない。すでにその方向で国をつぶそうという輩で一杯ではあるが。

だから、コンビニ患者を減らすように制度をもっていくしかないというのは、役人の認識としては非常に正しい。
24時間医者にかかれるようにしろと、言葉をかえ品をかえ猫なで声でいったって、それができるように制度も人間もできていないのだ。みんなで我慢してそこそこの医療を享受しましょうというのが日本の皆保険の思想だからコンビニは控えて当然。「お客様」がインフラを喰いつぶすのである。

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