医師不足 なんで当の医師にきかないのか?2010/04/24 19:52

医師不足が叫ばれいろんな対策が表面化しているのですが、どうも不思議なのは、田舎の病院から医師が消えていくとして、「なぜそこから逃げたか、逃げた医師そのものから意見などをきいてデータにした」という話をとんときかない。

以前にいて、今はそこにいないんでしょ。まあ医局人事というのもあるかもしれんが、残された病院と引き上げられた病院というのもある。医師が居心地のよさを感じる病院から、そうそう引き上げられるものではないのです。

ま、考えられるのは、なんといっても、

1)田舎なので嫌

だが、そしてそれはどうしようもないのだが、それだけじゃなかろう。
いまどきネットも通販もそこそこあるんだし。おしゃれな店がないのは仕方ないですけど、それだけで逃げるものでもないですよ。

逆に、医師が、大切にされている、と思えなければそりゃ逃げる。たとえば、

2)院長等上級医師の運営がまともじゃない
3)マンパワー不足、スキルをもった上級医師が居ない、小回りの効く若手医師が居ない
4)事務がちゃんとしてない
5)パラメディカルがクソ
6)住民がクレーマばかり(濃密で不快な人間関係、のたくりこんでくる有力者wや地方議員含む、が、必ずしも = 1 ではない)
7)設備が悪い(検査機器や宿舎、、、、)
8)給料が安い(病院に資本がないということで 7 と関連か)
9)休みがない
10)雑用が多い(4、5、と関連)
11)スキルアップできない(3、7と関連)
12)意見具申や異議申し立てのシステムがちゃんとしてない(2に関連)
13)指揮権、決定権、裁量権に制限が大きい(2、4、5、10に関連)
14)そこから出て行く道が用意されていない(医局の関連から切られたとか)

以下略、というあたり。整理してません、思いついたまま。相互に関連してるし切り離せるものでもないのだろうが、「なにが」嫌だったというのは解析の入り口でしょう。それなりにちゃんと生き残っている病院に比べ、へろへろの病院は、確実に点が低い。どっちが先かはともかく。
救急受け入れ不能問題なんかはじつはそこから派生してくる話なわけですね。2)以下がちゃんとしてたら救急でそうそう困ったことにはならないから。

都会でだって2)以下の要素の大きい病院はいくらでもあるだろう。目をつぶる部分が確実に大きいだけ都会そのものの魅力はでかいが、それならなおのこと、自分の病院に何が足らなかったかじかに集計する努力は必要と思うのだ。なんで医師の側に、そういった欠点に目をつぶってそこにいく努力を一方的に強いる?

そして、なかなか自前でできない(しても正直な答えは得られない)だろうから、くだらないネタをばら撒くくらいなら、メディアが率先して、以前僻地病院に居てそこから逃げ出した医師から、なにが嫌だったかしっかり取材したら、おもしろいネタになると思うのですがねえ。

病院や自治体側の、実情に即しているかどうかもわからない取り組みを垂れ流す前に、それが妥当なのかどうか検証する材料をなぜ集めないのでしょうかね。
実際、私は僻地に隣接した病院に勤めていますが、女医を増やすにはどうしたらいいかというくだらないアンケートがきたくらいで、まともな実情調査や何が嫌かという取材なんてまったく受けたことないです。
てか、面白そうなのでこんど部長会で、前に勤めていた医師からアンケートとったらどうでしょうと言ってみるかw

足りない足りないというだけでなにも語っていない、↓ のような記事はもういいからさ。

http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20100423ddlk01040211000c.html
ニュースプラス:綱渡りの医師確保 羅臼以外も「常勤ゼロ」の危険 /北海道 毎日新聞 2010年4月23日 地方版
羅臼町で今月、常勤医が一人もいなくなる可能性が一時生じたが、道内の他の小規模自治体も綱渡りの医師確保を迫られている。道は医師派遣の協議会を設置するなどの対策を講じているものの、十分に機能していないのが実情だ。関係者からは、新たな医師の供給制度や、過疎地の医療に求められる「総合医」の養成を望む声も上がっている。

日本で「総合医」は可能か?2010/04/24 20:27

そもそも「総合医」をみな誤解してないか?
なんでもできる医者ではない。初期対応がそれなりにできて、どの専門医に渡すかそれなりに判断できる医師、ということです。なんでもできる医師なんてありえません。

で、日本人は職人や専門科に関する信仰がつよくて、はじめからちゃんとしたところにかかりたがるし、医師もそうなりたがる。でも開業したらそうもいかないのですが、おもしろいもので現状では、そこそこの田舎でも、開業した「専門医」がみな、それなりに「総合医」的な感覚を持ってしまって(その程度のものなのです)、おたがいに患者をやりとりしたりできてしまう。
まったく開業医もいないようなところじゃないと単一の科として成立しないのですよ。
いや、一時期流行した「総合内科」ならいまもあちこちの病院に居たりしますけど、現状では、よその科のスペシャリストの先生がジェネラリストをやりたくないから、落とし穴みたいな感じで成立してるような感じですね。さらに広い「総合科」は、いたら便利遣いされるけどちょっとでも判断が間違ったらなにいわれることか。現状では、よその科のことはわからないということでびみょーにするーされてる部分だし。

ですから、これを分野として成立させて飯が食えるようにしたいのなら、強制的に「患者はすべからく総合医を経由して専門医にそこから割り振けられる」システムでなければなりたたない。ま、公的医療においてそういう国は実際多いですね。不評もずいぶん伝え聞きます。

つまり、現在国民が享受している、公的保険上の、医療機関へのフリーアクセス、を制限しなければならないわけで。手遅れになるのも、的外れになるのも、覚悟の上ですね。
それをする覚悟があるのか国民は?それがわかっていってるのかメディアは?

行政や経済界、それにいまからおいしい目にあいたい一部内科偉いさん達は確実にそうしたがってるんだろうが。
地方大学も仕事があるふりができてよかったねとしか ↓。

http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2010042322270575/
岡山大に県が寄付講座 医師不足対策で (4/24 6:00) 山陽新聞
岡山県北部を中心に深刻化する医師不足対策として、県が岡山大に寄付しての地域医療人材育成講座が5月1日、同大大学院医歯薬学総合研究科に開設される。将来の地域医療を担う優れた人材育成が狙い。県による寄付講座は初めて。

医療事故報道まとめ2010/04/24 21:42

医療事故よりも、政治方面でどんどん取り返しのつかないことがおこりつつあるようですが。

器械は古くなります。
http://mainichi.jp/select/science/news/20100422ddm041040015000c.html
医療事故:手術で女性死亡 人工心肺装置異常か--東海大八王子病院 毎日新聞 2010年4月22日 東京朝刊
「病院は遺族に経緯を説明するとともに、事故調査委員会を設置。同委員会は空気が混入した原因を調べるためにメーカーに調査を依頼した。」「病院側は「現状では、機械の不具合か操作ミスか原因がわかっていない」と説明している。」

、、、、はいはい。実害なかったわけですが、大々的に記事にしてリスクのコントロールに役立てようという態度はごもっともですよねー(棒読み
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20100420ddlk07040288000c.html
医療ミス:県立大野病院で点滴間違う /福島 毎日新聞 2010年4月20日 地方版
「県立大野病院(大熊町)で、入院中の80代の男性患者に、別の患者用の抗生剤を誤って点滴していたことが18日分かった。担当看護師が点滴パックに書かれた名前をよく確認しなかったのが原因。男性の容体に変化はないという。」

ふつうは準備ないでしょ、つまり観血手術はすべからく輸血の準備をしろと? ペットボトル用意するんじゃないんだけどねえ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100415-OYT1T00703.htm
輸血準備ない中絶手術で死亡…医師を書類送検へ (2010年4月15日15時44分 読売新聞)

どこにがんがあってどう照射されるか説明もあったろうしマークもつけたろうに、チェックシステムの要の本人がなんで16回も気づかなかったか不明。
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1004150050/
「放射線誤照射」の患者訴訟で病院側は争う姿勢/横浜地裁 2010年4月15日 神奈川新聞
「訴状によると、女性は2008年、同病院での乳がん治療の際に、がん細胞がない正常な乳房に放射線を16回照射。原因を「担当医師によるカルテの誤記載」としている。」

輸血が原因で死んだとは思えんがそうとしか読めない見出し。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100408-OYT1T01070.htm
阪大病院で輸血ミス、救急搬送の女性死亡 (2010年4月8日19時36分 読売新聞)
「病院によると、女性は重いけがを負い、7日午後意識不明の状態で搬送された。大量に出血したため、赤血球製剤と、女性の血液型と同じB型の新鮮凍結血漿を投与。しかし、大量に投与が必要となり、別の患者に用意していたO型の新鮮凍結血漿を誤って使い、女性は病院到着から5時間後に死亡した。投与直前の確認を怠っていたという。」「病院側は「治療中、3回の心停止を起こすなど重い症状だった。投与は明らかなエラーだが、死亡との因果関係はないと考えている」と話している。」

画像所見がおかしかったらちゃんと切るんでしょうかね。ちょっと期待のし過ぎでは。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saga/news/20100418-OYT8T00011.htm
死因特定の専門施設 佐賀大病院にセンター CT撮影、診断 (2010年4月18日 読売新聞)

読めない名前、いわゆる「DQNネーム」つけるのがすでに虐待であるということにはなりませんかね。
http://mainichi.jp/select/today/news/20100418k0000m040038000c.html
福岡3歳児虐待:31歳継父も逮捕、浴槽に監禁容疑 2010年4月17日 19時52分 毎日新聞
「妻志穂容疑者(28)=暴行容疑で逮捕=の次女山本心結(みゆ)ちゃんの右手首を粘着テープで自宅浴槽の蛇口に縛りつけて」

これでまた田舎からひとが吸い出されますな。
http://www.asahi.com/national/update/0417/SEB201004170005.html
急患搬送に九州新幹線を JR、多目的室の活用検討 2010年4月17日21時36分 asahi-com

非医療ニュース。
なんかどっちもgdgdっぽいですな。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100418-OYT1T00307.htm
学級崩壊リポート非難され「ショックで通院」 (2010年4月18日16時04分 読売新聞)
「大阪府南部の市立小学校で、学級崩壊状態のクラスを巡り、学校側の不手際による保護者間のトラブルがあり、保護者女性の1人が精神的なショックで通院する事態になっていたことがわかった。」「訴状や市教委によると、6年生のクラスで2008年5月中旬、授業が成立しない状態になり、学校側は保護者に授業参観を呼びかけた。訴えた女性は、5日間授業を見学。授業中の立ち歩き、掃除をサボった様子など、児童10人の名前入りでリポートにまとめた。」「学校側は、児童の名前をペンで消し、リポートを翌月の保護者会で配布したが、消し方が雑なため児童10人の名が特定された。10人の保護者のうち5人は、リポートを書いた保護者の名を答えるよう学校側に要求。校長が女性の名を伝えたため、女性は喫茶店に呼ばれ、5人から2時間以上にわたり謝罪を求められた。校長も同席したが、ほとんど発言しなかったという。」