とある非被災地の病院の、震災対策についての会議録2011/03/22 21:15

院長副院長や事務ナース幹部たちに各診療科部長のあつまる会議がある。いわゆる部長会というやつですかね。

うちの病院は大井川糸魚川ラインよりずっと西にあって、直接の震災被害はないわけですが、今後どのような影響や対応が見込まれるのか、最近のその会議できいてみた。

やりとりなども含めて以下にまとめた。たぶんどこの病院もそうはかわるまい。
震災約10日目の状況です。


----------------------------------------------

当市内には三次救急病院があってそこにDMATがあり、救援隊も出た。
二次救急であるうちの病院は、この先現地の医療困難が長期化する場合、一人4日程度で現地にいくことになるかもしれない。

被災地からの患者の受け入れも今後ありうる。慢性疾患の患者など居住地の確保も必要。超法規措置もいるかもしれない。癌緩和ケア患者もくる可能性があり、緩和ケアチームに各科の協力がいるかもしれない。

現地のどこでなにが必要かという情報はてんでばらばらに出ている。当院は病院協会で情報を統一するよう働いているが、病院協会も60いくつの病院組織の集団でいままでたがいの利害で動いていて、その手の情報をあつめる仕組みがもともとない。しかし、自治体や学会などいろんなところがそれぞれに動くとけっきょく情報も重複してなにがなにやらわからなくなる。
そもそも、必要というものを申告しろといっても、余分に出してくるところもあったりする可能性もあり、言う先もあちこちということになると、けっきょくなにをどこにやるべきかということがさっぱりわからない。どういう仕組みを作ったらいいか、アイデアないだろうか。
透析患者をつれてくるという県の意向もあるようだが、県とかなんとかいうとわけわからなくなるので、とにかく病院協会を情報の基本にして、当院は総務のK氏を窓口にする。義捐金もつのるかもしれない。

今後流通や被災地での生産の問題から、ディスポ製品や薬が足りなくなるかもしれない。リビアの事もあり石化製品もそうなるかも。
ディスポ製品は、かわりのあるもの切り替えてください、そういう情報は用度へ。ただ、それもとりあいになると品薄になるかも。滅菌ですませられるものはそれもあり。通常の滅菌がいけないならリユースのものは使えないので医学的にはそれでいいのだが、とにかく切り替えは早く手続きできるようにする。
ステラッド滅菌の過酸化水素がいま入らない、このままなら4月はじめになくなる。そうなるとそのぶん滅菌時間が延びる。影響を受けるのは内視鏡関係。ただこれは輸入製品で、荷揚げするところが混乱しているからなのでなんとかなるかも。外国にはなにもおこってないので世界的にはものはある。

長期処方はやめてください。すでにチラージンは30日でブロックかけた、14日という話もあったが処方量や近辺薬局の在庫からはこんなもの。ほか、モーラス(シップ貼り薬)、ツムラ漢方薬、モチダ製品がじわっと品薄。

医師の協力をあちこちの学会などがよびかけているがめいめいばらばらに対応していては当院的にどこまで対応できるかわからないので、とにかくなにかあったら総務課に情報を集めること。
また、うちもふくめて県内に透析できる施設は50以上あるが、緩和ケアできるところなどはすくないなどあるので、各病院のできることをしていくのが望ましいが調整が難しい。

--------------------------------------------

旧日本軍は輜重を軽んじたというが、ようするにこの分野は日本人に不向きなんじゃないかといいたくなる。
このまま全体の調整がないまま現場同士がやりとりしてなんとかごちゃごちゃまとまっていくんでしょうかね。道路ができてものが流通するようになるのをひたすら待つのみという感じです。

住居地が広く荒地になり、物資輸送がうまくいかず、放射線で苦しむというと、いわゆる太平洋戦争敗戦そのままの構図になっている。つぎに現れるのは闇市か?
放射線アレルギーをターゲットにした闇市ならじゅうぶんありうるかも。