症例の相談2015/02/18 10:33

以下、フェイクとして読んでください。
むかし一緒に働いたもと部下の医師に、勉強会であったところ、いまこういう症例があって難儀している、という話になった、との設定です。

申し訳ないけど、非常に見通しの暗い症例で、なにをやってもほぼ失明状態になりそう。いってみると、PDR の NVG で、きれいに PPV すみ CB なかばまで術中 LPC してるが眼圧がどんどん上がっている、それを、今の上司部長は抗ベバシズマブ抗体いれたきり、それでも下がらないのになにも方針が出ないどうしたらいいだろう、という感じのぼやきです。その地域中核病院では、ことのほか指導が厳しくて、もと部下はすでに専門医であるが方針はすべて今上司がきめるのですと。

全身状態不良、視力はすでに0.1切って視神経も真っ白中心もとんだというなら、ま、急いできついことやっても仕方ないということやろう、この先はまず濾過手術か毛様体破壊やろねえ、でもあの上司さんは、難しい硝子体手術が多くて緑内障まで手が回らず、緑内障症例は緑内障が売りの眼科専門病院におくってたけど全身状態が悪いと無理だし、どうなるだろうね、と、ふつうに返事。たまたまそこにいた、もと部下のいまの同僚も、ふんふんときいていた。

ところがその後日、今上司は、もと部下を、他院に情報を流すな信用できないと叱りつけたんだそうだ。いまの同僚がチクったとw で、急遽、濾過手術することになったらしい。本当に急遽なのかは知りません。

フェイクありですよもっぺん念のため。現実に似たような症例があってもたまたまです。

部長なんてものはその部局の最高決定権者です。おおよそトップというものは、部下に裏でとやかくいわれるのが半分仕事みたいなもんで、ましてや変なことをやったらあっという間に部下の世代に情報は回る。こっちの部長は白内障術後翌日ループが出てばかりだとか、あっちの部長はきつくて術中患者が泣き出したとか、それは本当だかわからないと、聞く方も心得て聞くものだ。
上司が部下に、言うなといって、それで部下が黙るわけないやろう、次は、まわりにチクりそうな人がいないかみまわしてからいうようになるだけです。そもそも異動したらもうコントロールのしようもない。

みんなが見ている、箸をころばしてもすぐに知られる、という自覚が、立場とともにあったほうがいいんじゃないかとと思ったものであった。いや今回の件に関しては、べつに変なことやってると思ったわけではないが、それだけに神経質さがきわだつ。

医師というのは自分のやってることがどうなのか、いつも気にしているものです。だから、いま悩んでいる症例についての相談というのが、世間話のようにふつうに行われる。下のレベルになるほどそうだ。
患者個人の特定ができるわけじゃなし、いろんな話をきいて自分でまた考えて医師は育つのであるから、うまくいかない症例の情報は囲い込まずにむしろ積極的に交換するべきでしょう。
部下が他院の先生に相談したというなら、「へえ、で、どういってたの?」と訊いてもいいくらいだ、私ならそうする。

思うように治癒しないなんて知られたら沽券にかかわると思ってるのかもしれないが、まともな医者がきけば、そういう困難な症例もあるよね、どんな経過になったか教えてほしい、でおわりの話なのだから。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://inakameishi.asablo.jp/blog/2015/02/18/7574807/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。