感想 アニメ「境界の彼方」 映画「ハンナ‐アーレント」2013/12/31 15:42

ネタバレします。

アニメ「境界の彼方」のラスト。
けっこう無理な話やなあと思いつつ、嫌いじゃないので何とか見ていたのですが、、、、
最終回の前の回から後出し設定がやたら出てきたうえに、あまりに都合よい復活オチ。映画版「あしたのジョー」で、ラストにジョーがなんとなく戻ってきたのよりもなんだかだ。
栗山未来じゃないが、不愉快です。
最後まで見たんだから怒る資格はあると思います。

おなじ京アニですと、「Free!」の最終回もええかげんなんだかだったが、「Free!」 については「俺は Free しか泳がない」を決めせりふにしたっギャグアニメだという話もあります。

私の好みでの話ですので気に入らない向きはご容赦のほど。

正月には「蟲師」新作アニメがある、、、、けど、アフタヌーンで原作となる新作読むのだが、安定投球の良作なのに、なんでしょうびみょーな「いまさら」感。ああこれだから、世の中ではリバイバルは作家を替えるのだな。

ついでに映画「ハンナ‐アーレント」の感想。
ドイツ人とユダヤ人は、権威主義的で、理屈っぽく突き詰める似たもん同士で、最悪の組み合わせなのだろうと思う。連想すると、たぶん日本人と朝鮮人も同様、最悪の似た者同士カップルだが、これはおいておく。

話自体は単純、つまり、映画にするためにいろんなものが単純化されており、「邪悪」の定義だのぜんぶするーされてしまっていて、いまとなってはアーレントの提起「凡庸な悪」のなにが問題なのかわからない。

実際の軋轢は、ホロコーストに際してのユダヤ人指導者についての解釈からきていて、ことばを濁しているがつまりはナチに協力したユダヤ人指導者(ラビ?)がいたということだろう。
避けられない状況、人間の弱さ、判断の誤り、そういったものは、人間である限りいくらでもあるのだが、それでユダヤ人指導者の過ちを正当化するのでは、おなじ理屈で、たんに役人としての仕事を何も考えずに行ったアイヒマンを正当化できてしまう。だからみんな困るのだろう。とてつもなく邪悪な敵でなければいけないのである。

過ちの図式の同一線上にひょっとするとハイデッガーもいるかも、というならなおさらである。この扱い、愛人だったからこそできるという描写に、映画では、なっている。考えずにここに至ったアイヒマンと、考えてもやっぱり戦犯寸前になって元愛人になじられるハイデッガー、 Denken するのってなんなのよという古典的な質問に立ち至る。
関係ないけど、できる哲学者が哲学的に告って、デキる過程も、なかなかあざとく描写している。

相手を、未来永劫絶対許せない不倶戴天の敵であると宣言してしまえば、対応する自分のありようも行動も制限してしまうし、自分の過去すら直視できなくなってしまうのである。
自分の将来を強力に規定するようなことはいわないほうがいい。あとで行き先がなくなる。

民族の存在そのものを否定するために否定するところで、ホロコーストは行われた。ホロコーストは人類に対する罪で、なぜならユダヤ人は人類だからだ、というのは正しい。
ただ、組織的に殺さないまでも「劣等民族」の理屈は、歴史上しょっちゅう見るのですよね。日本人関連なら前世紀のアメリカでの「黄禍論」なんてそのものでしょ。ボスニア、ルワンダ、きりがない。裁かれるのは負けたものばかりである。

個人であれば死刑終身刑というのであれば、ある民族に対する国家の犯罪の刑期は、トップの世代交代でなければ、せいぜい、国民過半数が入れ替わったらではないか。これは被害者集団の入れ替わりも当然同時に起こっている。
それよりあとに関しては、現実の被害者集団としてとして責め続ける筋はない。そもそも人生、民族の仕事はそれではないだろう。
レイプと同様ですが、被害にあって、それで人間としてこわれてしまってはどうしようもない。怒り続けるのはわかる、忘れろとはいわんし、相手を許せとも思わんが、せめて、そんな目にあった自分を許したほうがいいと思う。
まして外交的に決着がついてるなら公式的にはそれで終わりのはずである。言い続けることで利益を生む場合やめたくないのはわかるけどね。

蛇足。
その、いわゆる「人類に対する犯罪」に、日本による朝鮮併合やら中国侵略やらがまきこまれてはたまらん。東京裁判でもそうは扱われてないのだからそれで終わりだろうよ。
いつ日本が「民族浄化」を目指した?
加えて70年前の話でいまの日本人を踏んづけて好きなようにできると思うのも、おかしい。ましてや千年てアホとしか。

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