「わたしに申し込んでよ」2012/04/08 22:51

日本じゃそれほどでもないが、欧米では、求愛は男性からという一般的なルールがあるらしい。女性の側のすべきことは、気になる男性が求愛しやすい状況をつくることなわけです。

で、日本でも、女性から好きといってはいけないのか、という質問がなんちゃら質問箱に寄せられたりする。

女性から言い寄った時点で、男にとっては、その女性はいつでも手に入るどうでもいいものになってしまう、というのはほとんどの、男女関係を持ったことのある男性に理解できることと思う。
これは、もう、「そういうもの」なのである。でしょ?

女性は待つだけなのか?というと、それも実はそうなのである。不公平といわれようが、あとで自分が粗末にされないようにするにはそうするしかない。しかし、洋の東西を問わず、女性が、男性を手に入れたいことは必ずある。
フィッツジェラルドの「The Rich Boy」に、そのときのひとつの解があった。

熱愛の割りに結婚となると煮え切らない主人公に、さんざじらされた相手はこう叫ぶ。
「私に申し込んでよ。」
村上春樹訳の「金持ちの青年」ではこうなってる。宮本陽吉訳の「裕福な青年」では、
「結婚してといって。」
真意はこうなんだろう。飯島淳秀訳の「金持ちの青年」での
「あたしを欲しいといって」
では、結婚というカタチに持ち込みたい切実味がいまいちか。訳によって違う。原文では"Ask me, please"です。
いわれても煮え切らなかった男を見限って彼女はべつの男性の求婚を受け入れる。
この話ではそのあとに、八つ当たりを食らったとしかいいようのない状況で、鏡面構造的に踏んづけられる別の女性がこの男にやはり愛を乞う場面があるので、暇な人はご確認を。

つまり、女性が男性に求愛するときの、ルールをまもったぎりぎりの科白は、
「あなた、私を口説きなさい」
ということなんでしょう。
あくまでも口説く主体は男です。女性にとって面倒なことだが、愛を告白しつつ相手の行動を要求するという時点で、正しい態度と思う。

だからって、ろくにつきあいのない男にいきなりそれをいうのはただのイタい女子だし、口説かせたところでその男が相手を奉るかというと、どうなんだろうとも思うのです。
いいとこまでいってるけど男が線を越えられない、そういうときのみ有効というところでしょうか。そりゃそこでそこまで言っても踏み越えてこない男に見込みはなかろう。

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