キムタク版ヤマト2011/01/10 14:08

まず書きますが、私はもともとの「宇宙戦艦ヤマト」が嫌いです。
それにはまった世代に属するんでしょうけど、監修した豊田有恒も書いてたと思うが設定があまりにええかげんだ。人間ドラマも薄っぺらいし、軍の組織としてリアリティがなさすぎる。見ていられないのです。アニメなんて子供の、の時代ですから仕方ないのですが。同時期に私は「宇宙大作戦」(TOS)にはまっていた。

その上で書きますが、今回の「ヤマト」は、それなりに面白かったのです。ただしまた見るかというと見ないが。

チンピラっぽい女たらしの艦長、というパターンで、これはそうなのかと思って、古代進をカーク(StarTrek2009年版)に脳内変換したらあっというまにしっくりきてしまった。さまになってるよ木村拓也。どこにでも率先してしゃしゃり出るのもカークだ。女たらしじゃないとラストにつながらないしね(そうことだろうなとおもったらやっぱりそうだった。スタンガンでついついちょっと心配した)。
最後のシーンは、敵艦もふくめ、 StarTrek2009年版の冒頭そのもの。この敵艦の形状は、 「GunBusterの宇宙怪獣やんけ」と思ったし、たぶんさらにもとネタがあるんだろうから突っ込まない。
これでハードルひとつクリア。

CGは頑張ってる。ぜんぶどっかで見たような感じですがそれはまあお互い様。
森雪、日本映画でつねにさまにならないのは「組織の中でつっぱってる女」である。黒木メイサも前半非常にイタいのだが、もともとイタイい女の設定らしいので我慢しておく。
編集がいけない。営業のつもりか知らんけど各役者の大見得をえんえん流し過ぎ。カメラワークも、田舎の子供歌舞伎じゃあるまいし。そのへん半分にしたらもっとすっきりしたろう。こういうところを全体を考えてあえて刈り込むというのがこの映画の重要なテーマじゃないのか(違うかw)。
画面もそれらしくはできてるんだけど飽きるし、みながみな芝居しすぎて時間半分くらいで腹いっぱいになった。これは丁寧な描写とは言わない。丁寧というなら、地下に人間が追いやられてる状況をナレーションですますのもどうだかだし、佐渡先生ののんだくれは最初にもうちょっと描きようがあるだろう、ともに1分くらいで出来るはず。

先読みしない戦略はない。地球に到着する前に危機的な状況になったらヤマトを犠牲にしてでも鍵を持つ森雪をひとり脱出させるのは誰が考えても常道。なんであそこで今更思い悩む?その挙句の大根芝居は、3分の1でも十分。
そもそも、なにかが入り込んだ森雪を艦橋にうろうろさせるのもどうだか。帰艦後医務室へはこばれ、古代が森の手を握って君のためにわれわれは戻る、君だけでも地球のためにすべてをかけて戻す、とかいいはじめたらそのまますんなりつながったのに(そこで妊娠がわかったらそれこそ StarTrek(略 )。つねづねそういっていて、こなければいいのにラスボスやっぱりきたー、というほうが引き立つと思うんですがね。
あとねえ、デスラー出したかったんだろうがなんでいちいち敵方があの状況で説明に来るのか、さっさとたたきつぶすだろう。ヤマトが突っ込んでくるまで何待ってんだか。「神様の自己紹介」は「能」でもあることですが、気になると嫌になる。

ま、私としては、基本線が StarTrek まがいになってて昔のヤマトっぽくない分鼻で笑って見ていられた。つっこみも冷静に出来るのでそこそこ楽しめたのだが、仕上がりとしては非常に甘い。
これこそ 3D でやってごまかすべきだったんじゃないのか。