感想 映画 犬王 私は最悪。 ほか1年分 ― 2022/07/29 00:32
ちょっとネタバレしますよ。
TOHO二条でアニメ「犬王」
We will rock you のリズムはいいけど、あまり好きではない。
(どうでもいいけどあのリズムで前にいいいと思ったのはロックユー(原題:A Knight's Tale) という映画だった。あれはカッコよかった)
犬王の百鬼丸設定はともかくとしても、なんぼアニメといっても見世物のその演出はあの時代にありえんし(レンズもない焚火でそのライティングは無理)、権力との関係をそういう形でしか描けないのはもう飽きた。
はしごして、Uplink京都で映画「私は最悪。」
演出はよい。
主演女優が若くてつやつやしてるとこからちょっとくたびれた感じになるまで、途中あれっというところはあったけどよくやってる。いや、みんなが止まってるとことかそういう一瞬がだれにでもあるでしょう(そうか?w)
もっとええかげんな女がもっとえらい目にあうのかと思ったらそうでもなかった。
笑って抱き合うんじゃなきゃ別れるしかないという極端な人間関係、進路どんどん変更するところからして言い訳が多くていざというときに堪え性の低い人物設定。漏れ聞こえてくる夫婦喧嘩の意味があとになってわかる。
なにかを選んで手に入れるためにはなにかを捨てなければならないのだけど気が付いたらなんでも捨ててきただけだった本当の選択は手をすり抜けていったしくそったれという感じで、身につまされる。
そういう意味では青春映画か、拒否しても終わりは来る、という。
Uplink京都では、まえに映画「エルプラネタ」も観た。
しょっぱなからパパ活交渉で始まる。SNSできれいにみせながらどうしようもなくなっていく話。気高く滅びる、のとは対極だけど、ラストのシークエンスみると、わしらみんなもういまどきこんなもんやんけという感じにもっていってるのかな。
そういえば、「トップガン‐マーヴェリック」もみたな。
もとの「トップガン」は、尼プラのをホームシアターで予習。わかりやすくてかっこええ。
そいで36年ぶりの続編のこれ。
まったく違和感のない続編。成立するのはシルエットの変わらんトム‐クルーズやからやね。実物の迫力もあるし、おととい見たヴァル・キルマーがほんまに老けて出てくるのも切ないな。日本国旗もみた。時代の違いはかるくかわしつつ、一方的な設定に目をつぶれば、いい気分だけ残してすっと抜けていく映画。
書いてなかったのでこれも。
「Dune 砂の惑星」 35年ほど前のリンチ版はよう覚えてないけど今どきのCG力でしごくまっとうに「前編」やってる。まっとうすぎて長いくせに突出したクライマックスがないので満腹感なくて、後半がなかったら承知せんぞというか、ジャバザハットみたいな生き物も変な宇宙航行も主人公の砂虫乗りもない、ちゃらちゃらしたナイフ使いもいない。
戦闘シーンのしつこさは、人件費の安い時代に死ぬほど人使った無声映画時代のラングの「ジークフリート、クリムヒルデの復讐」に、やっと追いついたかという感じ。
ほか、以下は、ホームシアターで、まえの書き込みから1年でみたもの。
自前でみられるのにこんなもんか。一年100本とか200本とか映画館で見ていた大学生の頃はほんまに狂っていたのだね。そしてDVDの山は増える一方。積みDVDがなくなったらサブスクにするんだ、ってフラグにしかならない。
「ラブ‐アクチュアリー」 世の中のすべてが、男女(ほとんど男発)の発情で説明できるような気になる。
「愛してる、愛してない…」 アメリの女優。ラブロマと思ったらちょっとひねったストーカー話。まあホラーですから、コワいなあ、としかいいようがない。
「Once ダブリンの街角」 音楽映画としてはなかなかいい。新しいチェコ移民にしては英語がうますぎる(歌詞なんか作る)がそんなもんなのかな。
「フライト」 機体整備不良で墜落しそうな飛行機ですごい飛行をした機長がアル中なので収監されるという、いまいちよくわからない、教育映画なのか、中途半端。印象がバラバラ。
「バットマン ダークナイト」 筋は執拗、ちゃんとできていて面白かった。
「拝啓天皇陛下様」 軍隊の再現性はどんなもんやろうと思ったが、それより、長門裕之が桑田佳祐にしかみえない。映像の世紀 の悲惨さとのギャップというのか、1963年当時はまだそれが当たり前だったというのか。面白かったよ。
「プレステ―ジ」 クリストファー‐ノーラン演出は上手いけどくどいし、この映画は途中でタネがわかってしまった、原作らしいものも読んでたので。歳食ったボウイがよかった。
「リトルミスサンシャイン」 図式的な人物像とわざとらしい設定やけど楽しめた。はっきり書く人あまりいないがつまり美少女コンテストでアピール時にほかの少女たちはジョンベネぽいのにひとりだけイモっぽい少女がストリップの真似(脱いじゃいないけど)やらかしたんでしょ、破壊力は、ありますわな。
「ロックユー」 犬王の部分にちょっと書いたが、とてもよいおとぎ話、クイーンまで流れる。
「パーフェクト‐ストレンジャー」 面白くはあるが裏をかくことに集中しすぎやないか。
「インファナル‐アフェア」 20年前の香港。面白いがオチがいまいち釈然としないなあ。
「パプリカ」 私には現状ではダメみたい。なんかよくみるパターンのようであちこちまたかと思った。
「バットマン ダークナイトライジング」クリストファー‐ノーランらしい粘着な演出。アン‐ハサウェイは峰不二子の役どころか。ご都合的なとこも含めてええ出来と思った。
「マイインターン」 女性脚本家によるおっさんの妄想やけど見苦しくない程度なのはよかった。
「ナイブズアウト 名探偵と刃の館の相続人」 ウソつくとゲロはく女子の設定がいいというか、そこからでっち上げた話というか。クライマックスがゲロというのは考えたらひどい。
「摩天楼」 リバタリアン必見らしい。若手建築家として登場する設定のゲイリー‐クーパーは、はじめからおっさん。原作書いた女性作家が脚本も書いたらしいから、ヒロインのほうに感情移入してみるほうが正しいんやろな、ハーレクインな感じ。
「太陽を盗んだ男」 今更みました。ようやってるし面白いのは確かだがお話としてあまりにやりっぱなし。木場のシーンとか女を海に落とすとかは、「青春残酷物語」の引用か。
「赤ちゃん泥棒」 面白いけどねえ、オー‐ブラザー、に、ファーゴ、の監督か、なるほど。子供を育て、立派に育った子らが家族連れて集まって老夫婦となった自分らを祝福してくれるというのは、一般アメリカ人の共有できる古き良き夢なんやろうなあ、たとえ主人公たちがおバカでも。。
「インターステラー」 面白くはあるが、クリストファー‐ノーランについてはもう、粘着質という感想しか浮かばなくなってきた。そこそこご都合でもあるし。間違えて2枚もDVDを持ちながら尼プラで観たぞえ。
「セブン」 妊娠したヨメをどう使うのかと思ったらかなり胸糞悪い。これも、DVD持ってるのに尼プラ。7つの大罪をネタにするのに「怒り」「嫉妬」が残ったところで出たとこ勝負になって、基地外のやることだから、では面白くない。
「ロングウェイノース」 ふつうに、単純でいいアニメやった。 しかしこれもヒロインじゃなきゃ話にならんかったわけやな。ジェンダーについてちょっと考えるわたくし。
「散歩する惑星」 浸る気にならないのは、俺が作者を信頼してないからだろうなあ。町を出ていく車の渋滞は、ウクライナの報道で思い出した。いろいろと印象深くはあるんですが。
「さよなら人類」 「散歩する惑星」の流れ、やはり浸れなくてあかんかった、ファンタズム全開のこの路線はフェリーニがあるからなあ、まあ相性か
「ロリマドンナ戦争」 べつにいやらしいものではなくニューシネマ。面白い。わりとふつうのアメリカど田舎白人たち2家族がいきがかりで殺しあうひどい話。へんに処女性を重んじるのは時代か?
「暗黒街の顔役」 過剰に見世物映画的。音楽が伊福部昭やったのは知らんかった、宝田明が歌うしまあ東宝。いろいろおかしいけど気にしない。
「スペースバンパイア」 男はとにかく若いきれいな女に弱いという話らしい。いいスタッフがそろいすぎたか話がへんに凝りすぎで面倒。
「ブロードキャストニュース」 これブロードコーストという発音で習ったんだが。はっきりしたオチもないけど、愛と追憶の日々、の監督か、だったらわかる。ウィリアム‐ハートの、要領と人当たりのいい自分がアホなんを自覚してるハンサム、という役どころは、ステレオタイプ設定配役ということなんかな、こいつが一番強いのはリアルなんでしょうな、当時それが白人なのはあたりまえでもあり。
「42番街」 舞台のシーンの一部がすごくて、それ以外とのギャップがひどい。話がありきたりなのは古いから仕方ない。
「マラヴィータ」 当局に保護されるもとマフィアの逃亡家族、デニーロの説得力w 全員倫理観ゼロなのはストレートに面白い。題名になってる犬をもっと使うかと思ったが。
「暗黒街の対決」 岡本喜八。「暗黒街の顔役」より面白かったが、なんだかな脚本を演出でひっくり返してる感じ。
「暗黒街の弾痕」 岡本喜八の、暗黒街3つめ、いちばんでたらめで、割と面白い。二瓶正典の名で二瓶正也がいた。桜井浩子もいるかと思ったら浜美枝であった。
「アイズワイドシャット」 退屈させんのはさすがのキューブリック。かなりもったいぶった映画。フェミニズムとかが貧乏人のたわごとに見える。
「マジックインムーンライト」 これいまさらやるかねウッディ‐アレン。伏線の使い方はいいにしても、マイフェアレディでヒギンス教授をレクシーのかわりにジャック‐レモンにやらすようなもんやろ。
「グッドフェローズ」 まともなギャング映画でまんま上記マラヴィータにつながる(マラヴィータ内でもネタになってる)。デニーロぜんぜん主演ではないから、ジャケットはおかしい。この調子のこの分野にタランティーノが出たらそらみんなひっくり返る罠。
「友だちのうちはどこ」 キアロスタミは観たことなかったのであった。最後の花に至るまでちゃんとした映画。尼プラだけど途中で止めなかった。
「そして人生はつづく」 上記「友だちのうちはどこ」のメタ的続編。よかったが、イランの田舎を観るのが楽しいだけかもしれん。
「ライトスタッフ」 アメリカ的にとても正しい映画なんやろうが音楽がときどきチャイコフスキーっぽい。トップガンの元ネタになるのか。退屈はせんかったが長い。
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