オンライン診療についての河野大臣のツイート2020/10/09 14:35

ついったで、河野行革大臣こんなことをおっしゃった。

河野太郎
@konotarogomame
昨日の平井大臣、田村大臣との2+1での合意事項は以下の三点。
診療報酬支払基金のワンクラウド化を活用し、支払基金を最大限効率化する。
安全性と信頼性をベースにオンライン診療を、初診も含め、原則解禁する。
オンライン診療は電話ではなく映像を原則化する。




河野大臣先走り過ぎでは。
ちょっと打ち上げてみた、ということだったら、ほかにもいろいろいってらっしゃることもそうだということになってしまう。
それはまずいでしょうから、あくまでも本気と考えておきます

こまかい話から始めるが、映像まで原則化するなら、カードリーダーやシステム改修費用だけではなく、ネット回線費用についてもちゃんと面倒みてくださるのが筋なのでよろしくお願いします。

そのうえで、ですが、まず再診がちゃんと一般化してから初診を考えるべきでしょう。
そもそもオンライン初診という技術が確立されているとはいえない

以下、あくまでも初診についての話です。

すくなくとも眼科医療についていっても、オンラインの標準治療なんてものは誰も提示してない、あるものを使ってその場でできることをやってるだけですが、それではいまどきの、だれがやっても定額の公的医療としてはまずいでしょう。

オンライン診療の受診料はどれくらいが妥当かと開業医や病院にアンケートとったら、低くない割合で、直接対診の2割引きくらいという回答があるそうなのです。
つまり、その程度しかできないよと、みな謙虚に考えるわけです。
設備費考えたら低いレベルでももっと高額でいいと私は思いますけどね。

私に関して言うと、初見の方あいてに、視力検査も屈折検査も細隙灯もないのに話だけで診断に至れる気がしない

いやオンライン診療がどんどん入ってくるのは仕方ないと思うけど、直接所見とった受診歴のない初診でなんかあったときに、オンラインで得られる所見がどうしても足りなくて結果的に重症化した場合の責任追及(日本ならやる)を軽減できる法体系があるとは現状では思えません
まともな医療者であればなおさら、ちゃんと診せにこいと思うでしょう。わざわざ金かけて設備整え、しっかり治療できるところでかかわろうとする動機づけに、現状では極めて欠ける

当然、大多数が電話相談のレベルになるが、それにどんどん公的保険の金がすいあげられる(そういうオンライン業者的医療が一般化する)ことを防ぐ方法がいまいち思いつかんのです。

これが保険医療で通るなら、非保険医療の初診のオンライン化も問題ないことになります。
ごく軽症かただの心配を相手にする少額自費の医療相談でも金がとれるわけですね。
そういうのも数やりゃ金にはなるでしょう、そっちがおいしそうでいっぱい業者が入ってきそうに思うなあ。これが自助共助、公費使わないからいいってか
電話じゃなく映像が原則、というのは、そこに関するせめてもの設備による歯止めのつもりでしょうか、電話(音声のみという意味でしょう)でもいいなら、きりないものね。

もう一つ気になるのは、、、、
いまの安い受診料で、すくなくともある年齢層より上は、定期的に医者に通う習慣があり、それがいろんなものの初期発見につながっていたと思うのです。
オンラインメインではそういうものがひっかけにくくなって、結果的に重症化してからかかることになることが増えると思います。

ま、そういう「医者通い」の習慣は団塊あたりまでですから、そういう習慣のない層が増えて診療もオンラインへ、というのは、それはそれでタイミングとしてはありなのかもしれない。

受診者と映像で対話、電カルとレセコンも結合して、薬も郵送し、しっかり金とるところまでできる、オンライン診療システムはすでに世の中にパッケージで売られている
あくまでも、直接対診のない場合の検査精度はどうなるねんという話になります。

時間外とか深夜とかの受診者をあつめようとする医療機関がまたぞろ出てくるんでしょうねえ、医療圏に関係なくなるので勝算はあるかも。 

どんなふうにするか、ビジネスとして考えてみましょう。

こういうことしそうなバイト医は都会の方が集めやすそう。
安いワンルームでやるんでしょうかね。
日本中のひと相手にするんだから実診療医療機関のバックアップなしが前提、なんかあったら救急車に連絡させる。あきらかな救急じゃなくても、わからないものは早々に切り上げて形ばかりの近隣医療機関への紹介状をつくる、もめそうなら診療に関する協力なく診療不能(こういうことがりうることはきっちり受診前に告知)と理屈つけて接続切って出禁、表現にだけは気をつけてぜんぶ録画、でしょう。
「法律的に問題ない」と、厚労省のお役人のお墨付きがつけばいうことない。

バックアップ医療機関前提にしたいんだろうけど、それでは近隣の患者のみになってしまい、けっきょく辺鄙な地域の利便性がかわらずオンラインの意味がない
つながることができるのに、遠いから診ませんということになると、応召義務はどうなるということになります。
所見のすくないオンライン診療で、防衛医療的な医療機関がちょっとでもアブナイと感じたら、結局は、軽症なのに救急車のお世話になるケースが増えるでしょう
二度手間で医療費の無駄遣い。

結果的に軽症だったら医療費を紹介医が払えとか言い出しそうですねw
しかしそれやると医療自体成立しない。検査が十分でない状況で、重い疾患を疑う根拠なんてまともな医者ならなんとでも思いつくわけで。

特に初診のオンライン診療は、救急医療の充実とセットでないとあり得ないのです。
救急医療の代替みたいに思ってそうですけどね。

とまあ、いろいろ問題になりそうな点を列挙してますが、オンライン診療はそういうものとして対面診療とは違う原則で、いろんな制度を変えながらこの社会のシステムにねじ込まれていくんだろうとは思います。

あくまでも対診のあった慢性疾患や安定期の妊娠のフォローからシステムの一般化をはじめればいいのにとは思う。
初診を強調することで、再診くらいは仕方ないと思わせるトバシなのかもしれませんが。

私についていうと、、金と手間かけてオンライン診療を導入するのが先か、さっさと地域医療の現場から身を引くのが先か、という感じですかね。手術はあと5年、診療もほそぼそやってももう10年くらいと思っているので、やらないならそれで済ますことはできそうに思う。
若い先生方は大変やねえ。

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