眼科の造影検査 ― 2018/09/19 20:00
眼科で造影というとたいがいFAのことです。蛍光眼底造影、ですね。
放射線は使いません。黄色い Fluorescein Sodium を生食に溶かして静注し、眼底を励起作用のある波長光をあてて、写真を撮る。
これは、蛍光色素です。腎排出性ですが、腎障害性の報告はありません。
全身状態が悪い症例について他科に「造影いいですか」ときいたら、他科ではヨード剤を考えることが多くてストップがかかって面倒なのです。
それについては、いちいち訊かなくていい。
眼科医自身、糖尿病なんかの症例の場合、腎臓に悪いんじゃないかとか考えたりすることもあるようです。紹介先病院眼科がそうだったわw
日眼のメンバーホームページにこれについて実施要領があります。日眼会員は確認できます。
眼科医自身が、まず知っておくべきことですね、専門医もってるくせに知らない、は通らない。
「腎に対してフルオレセインは薬理作用を有しないので,フルオレセイン蛍光眼底造影で腎機能は悪化しない.そのため単に腎機能が低下しているだけでは,禁忌とはいい難い.」
肝臓のほうは気をつけろ、と、このあとある。
腎組織障害性はないですが、気分の悪くなる人はいる。たまに吐いたりします。
アレルギー反応は起こすことがある。知った開業医先生は、それで、マウスツーマウスの人工呼吸したといってました。
でも、アナフィラキシーだったらそんなもんで済まんでしょうし、それは単に目を押さえすぎて迷走神経反射起こしただけちゃうんかなあ。
注射も何もいれずに血管撮影できるOCTアンギオも出てきてますが、まだまだ撮れる範囲が狭いし、灌流遅延や血管漏出がわからないので、 RAO なんかには向かないのですねえ。
再疎通を知りたいときは FA 必須なもので、意味もなく腎機悪くて検査できないとかいわれると困ってしまう。
ついでに、、、網膜の動脈虚血は外顆粒層がすっこ抜けて腫れるのでわかりやすい。網膜内層の輝度があがるからそう見えるらしいのですが。
この、腫れた部分を focalERG で検査すると a波も出ない。
これは明順応下で加算記録とりますから、錐体 a波ですね。
視細胞は色素上皮側からいろんな供給受けると習ったが、中心動脈に依存しないなら、a 波は残るはず。
ERG なんて、網膜という多層構造におけるイオンの動きの影みてるようなもんで、いにしえの、 Dowling の Na 仮説が正しいのであれば、イオンの動き自体が乱れてるのかもしれませんが。
でも、あきらかな CRAO で全天ERGとると、 眼動脈閉塞じゃなきゃ、 a波だけ見える negative ERG になる。
錐体細胞の応答は見えないけど杆体細胞の応答は見えるのですね。
錐体細胞は、杆体細胞より弱くて、中心動脈が止まったらもうやられてしまうのかもしれないなあとも思ったが、それ以上の考察ができるほどのデータはありません。
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