標準治療から外れたがる人 ― 2018/09/08 13:29
さくらももこが乳がんでなくなったが、本当か知らんが、いわゆる民間医療に流れて行って若くして亡くなったという論調の情報が出ている。
以前は小林麻央もそういう情報が出ていた。有名人につき敬称略します。
いろんな事情も経緯もあろうし、そもそも自分が診察してないひとの治療については何も言うべきではないので、ただご冥福を祈ります。
それはそれとして。
民間医療というと、なんかまともな医療みたいですね。
エビデンスなしの呪術といったほうがいいかもしれない。
保険のつかえるいわゆる公的な標準医療が、統計的には、いちばん余命が長いはずです。
特にがんの標準医療は非常につらいことが多いので、もうちょっとなんとか、と思うのはわかるんですが。
有名人だから、民間医療に頼ろうとしたというのが目立つのかもしれない。一般にどれくらいその呪術にながれるのか、有名人はことさらにそういうものに流れる率が高いのか、調べようがないのではあるが。
民間医療に頼る人って、そんなに自分が統計から外れた人間と思いたいんだろうかねえとは思うのです。
いろいろみてると、有名人やセレブは、もちろん自分はそのへんのパンピー(これも死語か)とは違う、と思っているから、標準保険医療ではなく、民間医療にはまるんだろう、金もあるし、というブログがあった。
そりゃまあ、そうかな。
むかし基礎の研究室の親分が五十肩や緑内障になって、「なんで京大医学部教授やのに、そういう病気が治らんのや」と、冗談でも言ってたものな。これは、医療の最先端にいてもそんなあたりまえにものがどうにもならないという話でもありましたが。
あたりまえのものほど難しいのですよ、すごい多因子なので単純な解決法がないのでしょうね。
人事を尽くして、というのは、あてにならない奇跡をもとめてうろうろすることではない。
いや、その情熱は否定しないが、標準治療に耐えながら、さらにプラスアルファを行い結果を求めることなんではないのかとは思う。
これは、自分がその立場にいまのところ立ってないので、傲慢な放言にとどまります。
自分だってそうなったときに、藁をもすがりたくなるだろう。だからこそ、付け込む奴はクソですが、たぶんもっと困りものなのは、善意でわけのわからない治療を薦めてくる輩なんだろう。
ひとに指図する快感は捨てがたいのでしょう、ふつうに診療してても、あのサプリがいいこの治療法がいいどこそこの先生にかかれと、わかりもせんのに口出してくるパターンは珍しくない。それでまたそのとおりに流れていく人も人であって、好きにしろよと思うが、命のかかるフェーズでそうなったら、かかわったまともな医者は尚更にげんなりすると思う。
by 稲亀石 [医療] [社会] [コメント(0)|トラックバック(0)]
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