「なにかあったらたいへん」な国のオオカミ2016/11/04 19:42

生態系での捕食関係の上位者がなくなったので起きた混乱は、上位捕食者をいれればいいという、一見至極もっともな話ではありますが、日本でしても仕方ない議論。

オオカミ導入、賛否の声 添田町でフォーラム、米独の事例紹介 [福岡県]
2016年10月24日 00時39分 西日本新聞
「添田町で23日開かれた「オオカミフォーラム」では、米国やドイツの研究者らがオオカミと住民の共生の現状を紹介。シカなどによる食害の抑制と生態系の回復にオオカミを山林に放つことの有効性を解説した。来場者からは「農作物被害を減らすのにいい」と賛成の声がある一方、「人的被害への不安はなお拭えない」と導入に消極的な意見も聞かれた。」

実際にはオオカミによって襲われたヒトはそんなにいない、と、ほかのところでもいうのですが。

でも、こんなもん、「被害があったらどうするねん」から一歩も動けないのが目に見えてるのに。
飲食店のドギーバッグですら、「食中毒が出たら飲食店の責任」からうごけないもので、まともに運用できない国で、ねえ、、、
この企画、いったいどういう空気抜きなんやろう。

そもそも、いまになって鹿や猪がうろうろ出てくるからオオカミをって、オオカミが日本で絶滅したのははるか昔、大正年間ですからねえ。
むしろ近年の、林業地や里山の、管理を含めた生態系のありようががっさりかわりつつあるからおこってきたことではないんでしょうか。

鹿や猪がうろうろ出てきてるのに、今後熊がどんどん出てこないわけない、とも思う。

こっち↓の、「再野生化」の記事でも、上位捕食獣の導入について書かれてます。

アムステルダムから50キロ、45年で再野生化した放棄干拓地がある
2016年10月24日(月)16時00分 ニューズウィーク日本版
「彼らが、国立公園に広く見られる欠陥のひとつとして挙げたのは、大型肉食動物の著しい欠如で、それが生態系を確実に摩滅させていると指摘した。そうした動物がいなければ、「公園はやがて草食動物のなすがままとなり、その生態系は崩壊してしまう」。そこで彼らは、姿を消したハイイログマ、オオカミ、ピューマ、ジャガー、イタチの一種のグズリなどの頂点捕食者を呼び戻そうと考えた。」

実際に行われてはいませんが、つまりそれが可能なのは閉じた管理が可能な野生地域です。
日本の食害の大部分を占める植林地帯(そこではすべての木に所有者がいるw)とそれにつらなる里山につづく農耕地域には無理なのはわかりきったこと。

であれば、人間による駆除をもっと容易にする法体系をなんとかしろと思うのですが、けっきょくここでの駆除の許可や銃所持許可の問題は、医療でのペインコントロールにおける大麻と同様に、いろんな規制にがんじがらめになっていて監督官庁もひたすらかたくなでどうにもならないような。

こないだからの、大麻関係での逮捕された人たちへのメディアのバッシングがまたすさまじい。
誰に迷惑かけたわけでもない(そりゃ逮捕されたことで迷惑うけた人はまわりにいるだろうけど)のに、極悪人のように問答無用で叩くのな。叩いても大丈夫という確信があるのか。「違うものを叩くのは楽しい」と、つねに見本をみせてくれているようです。