女性のキャリアと出産2016/03/20 09:45

女性は2人以上子供を産むのが国の存続に重要で、子供を産んだ女性にそのあとのキャリアを能力に応じ無料サポートすることには賛成である、と公言して物議をかもした校長先生がいるようです。

http://www.huffingtonpost.jp/2016/03/11/the-most-important-for-women_n_9443990.html
「大阪市立茨田北中(鶴見区)のホームページによると、寺井寿男校長(61)は、2月29日の全校集会で、以下のように発言した。 」「女性にとって最も大切なことは、こどもを二人以上生むことです。これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります。」「なぜなら、こどもが生まれなくなると、日本の国がなくなってしまうからです。しかも、女性しか、こどもを産むことができません。男性には不可能なことです。」「「女性が、こどもを二人以上産み、育て上げると、無料で国立大学の望む学部を能力に応じて入学し、卒業できる権利を与えたら良い」と言った人がいますが、私も賛成です。子育てのあと、大学で学び医師や弁護士、学校の先生、看護師などの専門職に就けば良いのです。子育ては、それ程価値のあることなのです。」「次に男子の人も特に良く聴いてください。子育ては、必ず夫婦で助け合いながらするものです。女性だけの仕事ではありません。」

いいたいことはわかるが、出産をなんかの交換条件にするのはどうかとは思いまっせ。

妊娠も出産も、いまの日本ではきわめて個人的な営為であって、ひとのためとかにするものではありません。それがいいとか悪いとか、昔はどうでとか、社会にとっての意味がとかいっても、個人レベルでは仕方ないのです。
自分の体は自分のもんなのに、出産できないどこまで他人事な男性が褒美やるから子供作れや的な議論を平気でするところにまず違和感があります。
余計なお世話、のレベルなのですよ。

そういう個人的な営為に国の将来がかかっていることに危機感をいだくのは理解できますけどね、そうしやすい土壌を作りたいという発想は理解するが、方法論が下司です。

私の理解する女性側の要望は妊娠出産でキャリアを棒に振らないことであって、妊娠出産してやるからなんかよこせではないし、それで釣られると思われたら馬鹿にするなと普通は腹を立てませんかね。すくなくとも私が言われる立場なら腹を立てると思う。

それに、この論では「子供産んだら、ちゃんと試験に受かったら学費をタダにしてあげよう」ということでしょ、問題は金より、「目先のサポートがないのでやりたいことをやってられない」ことであって、それが解決されない以上、食えない人参をぶら下げる真似でしかないですね。

ともかく、キャリアを中絶しないで子育てするのにサポートがほしい、といってるのに、なんでこういう、とにかく専業で子供を育てろキャリアはあとで出来が良ければ考えてやる、というずれた対応を思いつくのか。

子供を産んで育てるのが大切なのはべつに反対していません。
でも、それが女性の最大の事業になってしまうと、人間の値段が上ってけっきょくは少子化が進むのです。手のかかったものを安く売るわけにいかないからです。
ですから、重要なのは、それが「負担感」なく行われることです。片手間にとはいわないが。

いまやってる仕事と子つくり子育ての両立をどんどんサポートするほうがはるかに抵抗も少ないし少子化対策にもなると思いますけどねえ。そこから目をそらすように「子作りのごほうびとしてのキャリア」をドヤ顔で提示したって、無意味に議論を起こして、あたかも真剣に議論しているようなふりをして実は問題解決を阻害しているだけです。

ただ、サポートのためにたとえばこないだからこれも議論になっているが「きっちりとした保育所をたくさんつくる」のは、それだけの人数の資格者を作るのが土台無理なので、むしろ、民泊じゃないですが、子供を預かるシステムを多様化するしかないと思います。
かってはご近所やおばあちゃんがいたんかも知れんけどね、共同体に夢を見るのはやめようよ。
そこで質の担保を過剰に言い立てるからどうにもならんのですけどねえ。
だから、保育所問題は、質を言い過ぎて数が維持できなくなった「医師不足問題」とけっきょくは同根の社会問題と思う。

ところでこの校長先生、日章旗も掲げてたそうですし、信念の人なんでしょうねえ、、、
信念をもつのはは立派、なんでしょうが、信念は容易に「執念」に進化する。この先生がどうなのかは存じませんが
TMP。マッコイは、エンタープライズ号を取り戻しデッカーを抑えようとするカークに「すべての判断を狂わせる obcession だ」といってのけた。これは執念についての、一般論にしてもいい。