AVによる被害と法律2016/03/09 16:27

AV出演を強いられた女性の被害について訴える動きがあった。

まるで奴隷。 アダルトビデオ強要被害で苦しんでいる 若い女性や少女たちを救うために 必要な法整備を一刻も早く実現してください。 国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ
「法律には以下の内容を盛り込んでください。
1. 監督官庁の設置
2. 不当・違法な勧誘の禁止
3. 違約金を定めることの禁止
4. 意に反して出演させることの禁止
5. 女性を指揮監督下において、メーカーでの撮影に派遣する行為は違法であることを確認する。
6. 禁止事項に違反する場合の刑事罰。
7. 契約の解除をいつでも認めること
8. 意に反する出演にかかるビデオの販売差し止め
9. 悪質な事業者の企業名公表、指示、命令、業務停止などの措置
10. 相談および被害救済窓口の設置」

表現の自由があるのでややこしくはなるが、自己の身体に関する決定権にかかわるという点で、いわゆる「本番風俗」に通底する事項と思う。

AV産業を含む性産業をドイツ並みにセックスまで含めてきっちり合法化してしっかり労務管理する、しか解決策はないと思いますけどねえ、現状では、中途半端な禁酒法のままアルコールの裏取引を法的になんとかしろというようなもんですから。

重罰化をさけぶ向きもあるようなのですが、強要はいまだって犯罪ですし、刑は重くしてもはじめから覚悟の上だったり身代わり用意してたりで効果は薄いと思うのですよ。
そんなことしなくてもモデルがふつうに働ける状況にして、犯罪的にモデルを使うことが割に合わないようにするのが重要と思います。
加害者は、つかまらないつもりでやるからです。刑法をどういじくっても殺人がなくならないのといっしょです。

ここに、「ばれてもええんか」という「脅し」の部分が入ってくるのが、性犯罪の問題なのですが、、、
いちばん問題なのは「被害者を叩く」文化と思うのです。
性犯罪の被害が、本人の落ち度のようになるので、こういう被害はなくならない。
性被害なんて、道具のように使われたという時点でプライドずたずたになるのに、そのうえ「世間」が叩きにくるんだから悪夢ですわな。

「なにかあるのは本人の問題があるからだ」と無前提に考える文化が日本にもベースにあるので、これと共通して、たとえばISの被害者についての自己責任論とかでてくるのですよね。

性的な被害は被害者にとって風評が2重被害をもたらすのですが、それを恐れるからさらに付け込まれるわけです。
風評被害を過大視する形で厳罰化したって、つまりは風評被害自体を肯定しているわけですから、むしろ将来の加害者を利するばかりです。

犯罪自体については、身体的な自己決定権を侵害されたのが問題と過不足なく認識して戦い、社会が被害を助長させない形でバックアップする、これを気長につづけていく、しかないように思うのですがねえ。まあ、難しいですが。

まず「人格を無視して、自分の体を道具として扱われた」ことについて問答無用に怒るべきです。
レディガガの「被害者は悪くない」というのはそういうことで、性犯罪がその代表になっていますがもっと広い範囲の犯罪として考えるべきです。そのなかで性犯罪の被害がことさらに自殺に追い込まれる文化的な背景をも制度からなんとかしないとあかんのではないですかね

しつこいですが、被害にあうのが「はずかしいこと」というセンスがある限り、性犯罪という犯罪構造は続くんじゃないですかね。

加えてですが、、犯罪を裁く方向で防止をはかったところで被害者は被害にあった後なのでして、むしろ被害者をどう回復させるかが重要なんじゃ。「あいつらは裁かれたからいいよね」ではないはず。
刑罰は復讐、代償、矯正、隔離といった側面がありいろいろごっちゃになりますが、心情的なものをベースにした厳罰化論議は復讐の側面が強くこれをもって犯罪前の防止や被害者救済にはつながりにくいように思います。復讐も大切ですけどね。

で、きっちり双方合意の上でつくられた成人表現を含む映像作品を、その後の女優側の一方的な主張で犯罪の物証とされるリスクはどうなるんだろうなあとも思いますがねえ。

なんでこの問題が最近はじまったわけでもないのにいきなりクローズアップされたのか知りませんが、注目されたならなおさら小手先で済ませてほしくないものなのですが、「AVがあるからいけない」的な方向に流れていくのがもうなんともで。

<AV出演強要>「奴隷のような状況」「刑事罰が必要」NPOが深刻な被害訴える
弁護士ドットコム 3月3日(木)17時30分配信
「「ポルノ被害と性暴力を考える会」世話人の宮本節子氏は「これだけ多くの被害者が生まれるのは、(アダルトビデオの)需要があるからだ。日本社会には、需要を喚起することにアクセルはあるが、ブレーキは一切ない。この需要についても、社会問題としていかなければならない」と話していた。

それはちょっと違うやろうw
エロそのものは人間の営為の一部です。

繰り返すが、いまどき本番なしのAVはまずありえないので、本番産業ふくめて明確なラインで合法化したほうが就業女性の保護につながると思うんですがねえ。
新規参入が法的に容易になるし、線引きが明確になると恣意的に運用しにくくなるので警察嫌がるでしょうが。

ここで、AV製作サイドの認可制度とかいうのはやめてほしい。
認可とかいうとへんなしばりをかけはじめてけっきょくそっから外れたもんがあれこれアングラではじめるし、AVについていうと表現の自由にかかわります。
まずは本番産業を性奴隷にならないように(合法的ブラック企業並みならよしとするかw)合法的にきっちり成立させてあとはその枠で好きにさせるしかないと思います。