態度を問題にする患者もいます でもねえ2011/12/01 22:23

昔の話です。

隣の若手が患者の話をきいていた。
もともと片目はみえなくなってて、近医で、緑内障といわれ手術した、そのあと点眼してるが最近眼が腫れるのでこっちにきたとかいってる。
前の診療情報がないとわからないのでとか形どおりに若手は答えてるのですが、患者は、今の状態を見てどうかと思ってきたとかぐだぐだいってる。時間をとるので待ってる列も長くなってきた。

そのうち、若手は首をひねって、カルテもって私のとこに来た。
それがどうもよくわからないので、あーちょっとみせてくださいと、若手の診察ユニットにいくわけです。

緑内障といわれ、白内障の手術した、ぜんぜんみえないという。角膜の後ろにべったり虹彩がはりついて、瞳孔領には凝血。それでも眼圧は25mmHg.。これ、このまま眼球癆になるところじゃないのかな。眼瞼はたしかにちょっと腫れてるが、最近ましという。じゃあなにをしろと。
前のところでやってること、出た目薬、そのへんがわからないと、この状況の評価なんてできない、と普通は思うし、私もそういった。眼の中は透見できないのでどうなってるかわかりません。腫れるのは手術の関連も、点眼によるものも考えられるが、点眼薬は理由があって出てるものなんだからこっちで勝手に変えたり足したりできません。
こっちにも患者が待ってるので、わかりやすく端的にいうわけです。

そしたら、そんなにはきはきいうなと怒り出した。
どうなのかわからなくて心配で来ている、どうしてくれとはいってない、今の状況がどうなのか知りたいから来た、なのになんでぽんぽんいうんだ、と。

アホらしいので、すまんけど事実はいうしかないし話し方がどうのといわれても困る、病気のことだけまず考えてくださいといって、あとは、主任ナースに任せた。

主任ナースは、前からの医院の診療情報がないとねえ、といってる。
いや、そういうことじゃないんだよ。
いままでどういう経過であったといえ、すでに光覚なしの現状ではなにもできない。治しようのない、この不満のかたまりを、現在進行形でかかわらねばならないいろんな患者がいるところで、わざわざ前の先生から名乗って引き取って相手する余裕はないよ。
若手を別室に呼び出して、あんたあれあとあと面倒みられるの?ときいた。いやあちょっと、というので、だったら気楽に診療情報とかいうんじゃないよと釘をさした。

いまの保険制度では、医療するのに腕は関係ないし、また日本人には「評価」ということができないので、なにがあっても驚かない。
でも、、なんぼフリーアクセスといっても、気に入らないからここから先はべつのところでというのは難しい。どこにどういうものが隠れているかわからないし、手の出せないものには手は出せない。

公的病院はお助け医療相談室ではない。目の前の患者の病気に、手を出せるかどうかをいつもシビアにみているのだし、そういう目で見ている以上、治せるのか、そのためにはどうしたらいいのかということをまず言う。セカンドオピニオン相当のものを求めてやってきて、延々時間を取った挙句、なんで事実を言われて怒るのか。
私はきっちり丁寧語を通してつかっている。問題になるような名詞はいっさい使っていない。
「治してあげますまかせなさーい」といわれなかったから難癖つけてるだけじゃないかと思いたくなる。

病気がつらいのはわかる。しかし、「治せと言ってないどうなってるかだけ教えろ」というような方が、どこにいっても大いにもてなされて丁寧にゆっくり相手されるとは思わないで欲しい。医療は癒しであるという考えは正しいと思うが、一般市中病院にそれをばらまく余裕はありません。あればいいと思うが公的保険でそれをできるようにするのならさらに財政破綻するだろう。