不毛な呪詛の後日譚 事務がはさまるとこうなる2011/04/24 15:18

前に知人から聞いた話を書いた。

http://inakameishi.asablo.jp/blog/2011/03/28/5763034
患者と医者の不毛な呪詛

あまり自覚について訴えもない認知症気味の受診者に角膜炎がおこり、やや態度のきつい研修医が、上司である彼の意見も聞きながら当初は抗生剤つづいて抗真菌剤で治療していたら、受診者の家族が、あれこれ気に入らない(研修医が態度が悪いとか、カビが生えてるなんて侮辱だとか、診察後まだそとの待合に患者がいるのになかで記念写真撮るのはけしからんとか、患者の気持ちに寄り添う診療ができていないとか)と長文の投書を病院に送りつけてきた、ということらしいのですね。

彼の上司相当の診療局長にはすぐに報告、診療局長は、こんなもんいちいち相手しても仕方ない一生懸命やってても文句言うんだからねえという反応。
この手の話を管轄する副院長も、べつに文句は言ってるけど返事はほしがってる文章じゃない一方的にしかりつけてる気分なんだろうからほっといたら、といっていたそうな。

ところが、こういう件の担当の事務職は、自分たちの仕事ができたのがうれしくてたまらないのか、こういう手紙をよこすのはよほどなんだからそれなりにしっかり返事を院長名で出すべきだと言い出して、次のような文面をつくってきたそうです。

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当院において、不快な思いをされたことに対し心からお詫び申し上げます。
事実関係について、眼科医師ならびに看護師に聞き取り調査を行い、指導をいたしました。
A医師については、大学卒業後間がなく、患者様に対する接遇経験が未熟であることから、患者様等とのコミュニケーションの取り方について、特に気をつけるよう指導したところです。
 また、医師のカビという発言については、真菌というよりも、患者様にとって理解がし易いように使った言葉とのことでしたが、医療提供側の発想に基づく発言で言葉足らずの部分もあり、一言添えるよう指導したところです。
 外来業務中の写真撮影につきましては、眼科医師の人事異動があったことにより、記念写真として撮影していたものですが、外来診察は全て終え、帳票出力を待つ間に行ったとのことでした。外来終了後、医師は病棟での入院患者の処置等の予定が入っていたので、業務時間内ではありましたが、止む無く行ったと報告を受けました。患者様の前でそのような行為を行ったことは、如何なものかとは思いますが、当直業務、深夜の呼び出し等、昼夜を問わず業務があり、医師全員の時間が合わなかったものでありますのでご理解をお願いしたいと思います。
ご承知のとおり、全国的に医師不足が叫ばれていますが、当院も例外ではありません。従って、当院はこの地域に必要な医療を提供していけるよう、臨床研修指定を受け、若い医師を積極的に受け入れ、医師確保に努めているところです。
今回、お父様をはじめご家族に対し、当院医師が非礼な態度をとり誠に申し訳ございませんでした。地域の皆様に安全で信頼される医療が提供できますよう指導、精進いたしますので、ご寛恕いただきますようお願い申し上げます。
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事務は、彼をするーするつもりだったようなのですが、副院長がこれでいいか彼にきくよう事務に命令、事務はしぶしぶ上記文章ファイルを回してきた。

一見して、あまりに卑屈で阿呆な文章にあきれた彼は、事実関係に関しては一切ひかないように書き換えたそうな。「医師確保」も、犯罪者じゃないんだと事務に言って「医師数確保」にかえた。

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当院において、不快な思いをされたことについて、非常に残念に申し上げます。
事実関係について、眼科医師ならびに看護師に聞き取り調査を行いました。
A医師については、眼科医としてB大で研修後当院配属されてまだC年目ですが、距離感がまだつかみきれていないようです。日ごろ指導もしておりますが、当院は研修指定病院でもありますので、ご協力のほどおねがいいたします。
また、医師のカビという発言については、真菌というよりも、患者様にとって理解がし易いように使った言葉とのことです。診療上は珍しいものではないが、どこの薬局にも薬があるほどのものではないということで、不潔等の意味や、ましてや侮辱する意味は一切ありませんのでご了解ください。
 外来業務中の写真撮影につきましては、眼科医師の人事異動があったことにより、記念写真として撮影していたものです。外来診察は全て終え、帳票出力を待つ間に行っております。外来終了後、医師は病棟での入院患者の処置等の予定が入っていたので、業務時間内ではありましたが、止む無く行ったと報告を受けました。ここで見かけを気にして出力業務終了まで待てば、けっきょくは病棟業務に支障を来たします。なによりも、その時間帯まで外来をしなければならないほど業務量が多いことをご理解ください。
ご承知のとおり、全国的に医師不足が叫ばれていますが、当院も例外ではありません。従って、当院はこの地域に必要な医療を提供していけるよう、臨床研修指定を受け、若い医師を積極的に受け入れ、医師数確保に努めているところです。
地域の皆様に安全で信頼される医療が提供できますよう指導、精進いたしますので、ご寛恕いただきますようお願い申し上げます。
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副院長は、なんかあんまりかわってないけど、これでいいんだったら送るよと言ったそうな。狸というのか(笑

感情的にクレームつける家族も、一方的に医師を叩いてへりくだろうとする事務も、筋の通った話なのかそれでいいことがおこるのかもうちょっと考えてから動けよ、と彼の弁。
今後この患者らになにがおこっても防衛医療に徹して、他院に誘導する方針で行くそうです。ま、それ以前にもうこないだろうけど、それでぜんぜんかまわないと言い切っていた。
そして、さっさとやめようかね、とも言った。

以上、もらった文書ファイルの、個人情報関係のみ削除し、意味が通る程度に表現はかえたところもあります。
なにがどこまで実話なんだか知らんけど、いまどきよくありそうな話なので一般論としてもってきた次第。もしこの文章と似たような文面をもらった方がいても、たまたまですので、よろしくお願いします。

被災地のアレルギー児2011/04/24 16:08

大変なのはわかるし、命にかかわるのもわかるんですが、対応食を別立てで避難所に流通させるのは無理でしょう。
まともに対応の取れる場所まで患児自体を引き上げるしかないんじゃないですか。それこそが行政が命じるまでもなく、できるものは自分ですることでしょう、自分の命は畢竟自分で守るしかないのだし。
重点的に対応食を集配するレスキューゾーンを設けるようなことは、患者会が立ち上げに動いてるんだから、現地ではそれ以上はもう無理なのでは。患者会が患児を一時引き受けしたりしてるんじゃないかとも思うのですがこの記事には情報なし。

http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110424k0000m040128000c.html
東日本大震災:食物アレルギーの子、被災地からSOS 毎日新聞 2011年4月24日 2時34分(最終更新 4月24日 10時28分)
アレルギー対応食品の備蓄や受け入れ態勢の不備は、過去の大地震の際にも指摘されてきたが、反省は生かされなかった。東日本大震災発生以降、アレルギーの子を持つ母親らで作る患者会には、被災地からのSOSが次々と入っている。